薬剤師が解説!今、話題の医薬品「ヒルドイド」の使い方について

更新日:2019年7月31日 / 公開日:2017年12月14日

薬剤師の三上彰貴子です。最近、ニュースで話題になっているヒルドイドについて、どんな薬?なぜ問題なの?といった質問を時々受けますので、詳しく紹介してみようと思います。

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ヒルドイドって?

ヒルドイドは、マルホ株式会社から発売されている医薬品です。クリームやローション、ソフト軟膏、ゲルといったタイプがあります。

ヒルドイドと同じ成分のジェネリックが他の会社から出ており、「ヘパリン類似物質(+販売会社名)」という名前で同様にクリームやローション、スプレーなどがあります。

ヒルドイドの効果は、保湿と血行を促進させるという作用があります。実際には、保湿が必要な患者さんに処方されたり、血行促進の作用で傷あと(ケロイド)の治療や予防、血腫などにも使われます。

ヒルドイドが化粧品のように使われるというのが最近話題になっていますが、確かに保湿作用でしっとりしたり、血行促進作用で傷あとのようなところが薄くなったり、血流が増えることで肌の状態がよく見える可能性はあると思います。

ただ、美白やアンチエイジングをうたう比較的高価な化粧品(※1)にみられるものと違い、美白に特化した成分や肌に栄養を与えるような成分は当たり前ですが入っていません。

なぜヒルドイドが問題になっているの?

ヒルドイドという医薬品が問題なのではなくて、この医薬品の使い方、医療の保険制度の問題です。

ヒルドイドは健康保険が適応されている医薬品です。医師が診察・診断して、この医薬品の効能効果(※2)に合っている症状で治療が必要であれば、処方されます。が、今、ヒルドイドはその診断した症状以外の目的で使ったり、処方された以外の人が使うことが問題になっています。

医療的なヒルドイドによる治療が必要ではないのに、化粧品の代用として使ったり、子供や他の人に処方されたヒルドイドを使うことは、保険治療の違反になります。(ヒルドイド以外にも、処方された本人以外がその薬を使うことは、保険治療や薬事法の違反というだけでなく、健康を害するなど大変危険なこともあります。)

ヒルドイドは市販されていないの?

ヒルドイドというブランドの商品自体は市販されていませんが、同じ成分が入っている医薬品は市販されています。

もし、保湿クリームのように使いたい。ちょっとした手荒れに使いたい。また、傷あとが多少気になるという場合には、市販薬がおすすめです。ただ、いずれも酷い皮膚症状であれば、皮膚科などを受診してきちんと診てもらってくださいね。

市販薬(第2類医薬品)
HPクリーム、ローション
アットノン(ジェル、クリーム)
キンカンHPローション
メディケア ネクストクリーム
ヘパリンZクリーム
メンソレータム ヘパソフトクリーム

なお、保湿データとして1日1回より2回つけた方が効果がありますので、できれば朝、晩2回使えるといいですね。

副作用に関しては、赤ちゃんにも使っている薬で、長期に使っても特に問題はないと思いますが、発疹ができたり痒くなってしまうという症状が報告されています。もし、これらの薬を使って症状がよくならない、もしくは悪化するようでしたら必ず医療機関を受診してくださいね。

また、医師によっては、汗との相性があまりよくないとのことで、あせもを悪化させてしまうかもしれないと、おっしゃる方もいます。汗をかくところに使って、かぶれたようになったりした場合は、使用を控えてくださいね。

医薬品は正しく使って、もし何かあれば医師や薬剤師に相談してください。

【注】
※1:「化粧品」の定義は、「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なもの」を言います。ですので、化粧品も劇的に変化があるわけではないことを追記しておきます。

※2:ヒルドイドの効能効果は、専門的になりますが、「血栓性静脈炎(痔核を含む)、血行障害に基づく疼痛と炎 症性疾患(注射後の硬結並びに疼痛)、凍瘡、肥厚性瘢 痕・ケロイドの治療と予防、進行性指掌角皮症、皮脂欠 乏症、外傷(打撲、捻挫、挫傷)後の腫脹・血腫・腱鞘 炎・筋肉痛・関節炎、筋性斜頸(乳児期)」です。



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