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『産後が始まった! 夫による、産後のリアル妻レポート』『夫婦のミゾが埋まらない 産後にすれ違う男女を変えるパートナーシップ学』(ともにKADOKAWA)など、夫婦のパートナーシップをテーマにした著書が話題の渡邊大地さんによる新連載! 令和における新たなワーパパ像を、読者のみなさんとともに考えます。
執筆者プロフィール 渡邊大地さん 株式会社アイナロハ 代表取締役/札幌市立大学看護学部非常勤講師大学卒業後、会社員を経て、2011年に株式会社アイナロハを設立。2012年より「産後サポート“ままのわ”」事業をスタート。自治体の産後サポート事業、全国の産院での両親・父親学級の開催、講演など、多方面で活躍中。三児の父。◆株式会社アイナロハHP:https://www.ainaloha.com/→1話目から読む→前回のお話はこちら→これまでのお話はこちら
中学1年生になった長男、学校ではノートを一切使わないそうで、すべての筆記を「タブレット」(学校支給)で行うのだそうです。“ひたすら書いて覚える”世代のぼくなんかからすれば、「ノートを使わない勉強なんてあるのか?」と驚愕ですが、これからの時代は、パソコンやタブレットを使いこなさないと仕事できないでしょうから、今から慣れさせるということなんでしょうね。さて、そんな長男が入学して初めての中間試験が迫ったある日。ノートもとらずにどうやって試験勉強するのかと思って見ていると、息子がおもむろにタブレットを開いて、「英語」を選択します。
タブレットから聞こえてくるネイティブの声。それに英語で答える息子。直ちに正解・不正解が画面表示と音声で判明します。
……マジか、今の勉強って、こんな感じなのか……。すごすぎる……。「This is a pen.」を果てしなく書き綴っていたあのころから30年、現代のヤングはワンタッチでネイティブを呼び出して英会話で勉強するのか(「ヤング」が既に時代遅れではある)。すげえなあと思って、息子の部屋から漏れる音を聞いていると、
「ブツブツブツ(英語)……」♪ブブー!「ええっ!?」「ごにょごにょごにょ(英語)……」♪ブブー!「はっ!?」「ぼそぼそぼそ(英語)……」♪ブブー!「うそっ!?」
ほとんど間違ってんじゃねえかよ。
皆さん、こんにちは。渡邊大地です。今回も、「ワーパパ」とは何たるかを一緒に考えていきましょう!
SMAPが歌う『セロリ』という曲の歌詞をご存知でしょうか。2番には、「価値観はイナメナイ」という歌詞がありますが、これ、夫婦でお互いに「否めない(=否定できない)」のならいいですが、自分が相手の価値観を否定したり、逆に相手から価値観を否定されるケースってありませんか? 自分と違う「価値観」は、そんなに簡単に受け入れられないですよね。
僕の知人に、「夫は野球観戦がめちゃくちゃ好きだけど、妻はまったく野球に興味がない」という夫婦がいました。でもいつの間にか、妻も野球好きになって夫婦で観戦するようになった、という話を聞くと、相手の価値観に無理なく合わせられてすごいな~と思います。逆に、「夫はひとりで観戦に行き、妻はそのことを別に気にしない」という夫婦もいて、お互いの価値観を認め合ってこれもすごいな~と思います。でも、そんなふうに価値観を共有できる夫婦ばかりとは限りません。
そこで今回は、夫婦の価値観の違い、「普通」「当たり前」に対する認識の違いに、世の中の夫婦はどう対処しているのか? というテーマでお届けします。
価値観が違うことで戸惑ったことは、ぼくも山ほどあります。妻はたくさんの人とにぎやかに過ごすことが好きなので、何かと言ったら家に人を連れてきたがります。一方、ぼくはいつもの時間にご飯を食べ、いつもの時間に風呂に入り、空いた時間に読書をして、いつもの時間に寝たいので、できるだけ家に人を連れてきたくないと思っています。「たくさんの人といる方が楽しいじゃん」という妻の感覚はぼくにはわかりません。圧倒的に「ひとりの方がいいじゃん」と思ってますから。
こんなのは、夫婦の数だけギャップがありますよね。僕が知人に聞いた夫婦間の「当たり前」の違いには、こんなものがありました。
●「電気をこまめに消す方が無駄という夫」N子さんの場合私はいつも、使わない電気を片っ端から消していくのですが、夫はつけっぱなしです。夫に「もったいないから電気は消そうよ」と伝えたこともありますが、「つけたり消したりする方がお金がかかる」と言われました。私はお金のことよりも、使っていない部屋の電気がついていたり、見ていないテレビがついていることが性に合わないのですが、夫はそうではないようです。
●「ご褒美は先に買う主義の妻」U太さんの場合ときどき自分のためにいい服を買ったり、趣味の道具に少しいいものを購入したりと、自分にご褒美をあげることは誰しもあると思います。ぼくは、自分へのご褒美のために、しばらく節約するなどして「ご褒美代」を貯めて、どーんと使う、というやり方なのですが、妻はそうではありません。妻は、貯める前に先にクレジットカードなどでご褒美を買ってしまって、それをモチベーションに「あとからその分を貯めるぞ!」というタイプです。「普通は逆じゃないの?」といつも思います。
●「週末、実家に姉妹で集まる妻」K男さんの場合妻は、毎週末子どもを連れて実家に帰ります。実家に帰れば孫の顔を見せられて親孝行にもなるし、家事や育児を甘えられるので体が休まるからだそうです。また、妻の妹(既婚・子持ち)も毎週末実家に帰ってくるため、実家に女性陣が集まることが恒例になっています。夫婦ともに仕事が休みなので、ぼくは家族で過ごしたいのですが……。
パートナーの「当たり前」が自分の価値観に合わないと、精神的にも疲労しますよね。
一方で、価値観が違ってよかった、という面もあります。
ぼくは起業して11年目なんですけど、会社員時代は転職歴が多くて、23歳から30歳までの約8年の間に4回職を変わっています。ひとつの会社の在籍期間が短いうちに転職を重ねると、だんだん次の門戸が狭くなっていきます。その結果、希望した条件でなくても転職を決めてしまい、また転職したくなるという悪循環でした。
そんなぼくに妻が言ったのが、「就活は企業が採点するだけじゃなくて、こっちも企業を採点するんだよ。面接に行ったら、入ってもいい会社かどうか見極めてきなよ」という言葉でした。就職は企業が絶対「上」だと思っていたぼくからしたら、「当たり前」をひっくり返される思いでした。
ほかにも、こんな声もありました。
●「怒るポイントが違うことがストレスだったけど……」A子さんの場合子どもに怒るポイントが夫婦で違うため、最初は、「夫はなんで私の気持ちがわからないんだろう?」とネガティブに受け止めていましたが、あとになって、夫婦が同じような怒り方をしていたら、子どもの心の拠り所がなくなってしまうかもしれない、と気付きました。私が怒ったときは夫がフォローする、夫のときは私、というように、子ども側についてあげる人がいられるのはいいことだったと思い直しました。
●「間食はよくないと思っていたけど……」M太郎さんの場合子どもが間食を欲しがることについて、ぼくはなるべく与えない方がいいと思っていましたが、妻はちょくちょく与えていました。幼稚園入園後に知ったことですが、子どもは一度に食べられる量が少なく、3食だけでは栄養を摂りきれないため、捕食として果物やおにぎり、幼児向けのお菓子を食べるものだと知りました。甘いものばかりではよくないと思いますが、食べさせること自体は問題ないとわかりました。妻ももともと知らなかったそうですが、妻がしていたことは間違いではなかったんだと反省しました。
●「“モノより思い出”に抵抗があったけど……」T助さんの場合お金の使い方として、ぼくは「モノ」派で、妻は「思い出」派です。誕生日プレゼントも、ぼくはアクセサリーなどを買ってあげたいのですが、妻はいつも「〇〇に連れて行ってほしい」「▲▲でおいしいものを食べたい」というようなリクエストをしてきます。付き合い始めた当初は、手元に残らないプレゼントなんてすぐに忘れちゃうだろうと思ってイヤでしたが、結婚して10年以上経った今でもそのときの思い出話に花が咲くので、夫婦で体験してよかったな、と思います。
何かのきっかけで、パートナーの「当たり前」のよさに気付くこともあるんですね。
「普通」「当たり前」の怖いところは、そのものズバリ、「普通」「当たり前」と思い込んでしまうところですよね。人は「当たり前」と思うことに対して「当たり前ではないかもしれない」と考えることがすごく難しいです。
ぼくも、就職活動では企業に自分のいい面を見せて「雇ってもらう」ように努力するのが当たり前だと思っていました。でも、こちら側からも企業のいい面を見極め、「入社する価値があるか」を検討するものだと知って以来、就職活動に対する考え方がガラッと変わりました。そんな妻からの指南もあって、やがて自分で起業するに至るんですけどね。
すべての価値観の違いを受け入れることは難しくとも、パートナーが自分と違う視点で物事を見ているということは、上に紹介した例のようなメリットもあります。特に、
●子育て●経済感覚(家計、出費、保険など)●人付き合い(ご近所、親族、保育園や小学校の保護者など)●仕事(仕事への向き合い方、会社との付き合い方)
については、生まれ・育ちだけでなく、男女でも「当たり前」の捉え方が違ってくると思います。
「そんなの普通に考えておかしいだろ!」と決めつけず、「そう考える人もいるのか」「もしかしたら自分の方が少数派かも?」という気持ちで耳を傾けると、視野が広がり、夫婦のパートナーシップが強くなるかもしれません。
自分の当たり前は「自分だけの当たり前」かもしれないと肝に銘じて、パートナーの意見に耳を傾けよう!
(文:渡邊大地、イラスト:村澤 綾香、編集:マイナビ子育て編集部)
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