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「信州の贅沢な田舎を体感する温泉宿」をテーマとした、長野県にある星野リゾートの温泉旅館「界 アルプス」に、俳優でフォトグラファーの染谷ノエルが訪問。そこでの体験を2回にわたってレポートします。2回目は囲炉裏のある土間でおやきや燗酒をいただいたり、割烹着を着て漬物を作ってみたり、信州の田舎暮らしを体験できるアクティビティのご紹介です!
【ご当地部屋や豪華な夕食を紹介した1回目の記事はこちらから】
翌朝は朝食前に、ロビーで現代湯治体操「アルプス体操」に参加。山岳地帯ならではの、山登りやスキーをイメージした動きを取り入れた、スタッフ考案の体操です。
まずは足踏みから。手にはスキーストックを持ったイメージで。そして、ノルディックスキーをイメージした動きや、アルペンスキーをイメージした動きなど、雪国らしい体操が続きます。運動が苦手な人でも楽しみながらできるアルプス体操で、ゆっくりと身体を目覚めさせましょう。
界 アルプスの公式サイトをチェック >「界 アルプス」のご当地朝食は、「塩の道朝食」。「塩の道」とは、海産物を内陸に運ぶのに使われた道のこと。中でも、長野県松本市と新潟県糸魚川市を結ぶ「千国街道」は最も有名な塩の道の一つです。
戦国時代の上杉謙信と武田信玄の故事「敵に塩を送る」にも登場する道で、「界 アルプス」がある長野県大町市はその中間地点の宿場町として栄えました。朝食には、内陸へ運ぶための保存用として加工された「塩丸いか」が入った煮付けや、キノコたっぷりの味噌汁など、海の幸・山の幸が盛り込まれています。
塩の道の宿場町ならではの、信州の恵みをふんだんに使ったメニューとなっています。
最初に、(後ほど詳しくご紹介する)「お漬物滞在」で作った漬物が。
思わず「わあ!」と嬉しくなります。うまくできているかなとドキドキしながら食べてみると、ポリポリといい音がして、ちょっぴり甘じょっぱくて、癖になりそうな味です。手間をかけて作った自分のお手製の漬物は、美味しさもひとしおです。
大きなお鍋に入っているのは、味噌汁。鉄鍋の中でグツグツと温められた具沢山の味噌汁は、朝の体にとても染みます。最後に、また漬物を食べて、心も体もホカホカです。
信州の漬物文化にどっぷりと浸れるアクティビティ「信州お漬物滞在」。講師は、信州生まれ信州育ちのおばちゃん。
始めに、7種類の漬物をいただきながら、信州の食卓の1年は漬物とともに巡るということ、お茶請けとして家庭で漬けた漬物をお茶と一緒に振る舞うことなど、漬物の歴史や信州の漬物文化について学びます。
合間には、私の祖母が生前は漬物を漬けてくれたことなど、少しの思い出話を挟んだり。「そうなんだねえ。」とニコニコ笑いながらお喋りしてくれ、ほっこりとした時間が流れます。
漬物について学んだ後は、割烹着を着て、いざ実践です。今回は大根、りんご、白菜、きゅうりなどを切って漬けていきます。「このくらいの大きさに切ってね〜。」「このくらいの量のお砂糖を入れてね〜。」など、スタッフと共に優しく教えてくれるので初心者でも安心です。「手際がいいね。」と褒めてもらって、モチベーションも上がります。
最後に記念にツーショット写真の撮影タイム。作った2種類の漬物は、翌朝の朝食でいただくことができます。チェックアウトの際に残りの漬物と2ショット写真をもらえるので、自宅に持ち帰って、写真を見て体験を思い出しながら、自家製の漬物をいつもの食卓でも楽しめます。
ご当地の文化を体験できる、界ブランドのご当地楽。「界 アルプス」では、囲炉裏の設けられた土間にて信州のディープな田舎体験ができます。今回は、おやき、燗酒、おかゆの3つの体験をしました。
ロビーと繋がったところにある囲炉裏のある土間が、ご当地楽の会場となります。担当してくださったのは、囲炉裏の主人である大仁田さん。
水の音が響く中で、蒸したおやきを、囲炉裏の上に並べていきます。片方だけ焼くのが大仁田さんのこだわりだそう。そうすることで、カリカリとモチモチが同時に楽しめます。
外は寒いけれど、囲炉裏の付近は暖かく、静かで落ち着いた時間が流れていきます。
おやきは小さめで、優しいお味。パクパクと何個でも食べられそうです。
夜の時間帯には、囲炉裏で温めた燗酒(かんざけ)を楽しめます。いただくお酒は信州の地酒「北アルプス」です。
お酒のお供には漬物。お酒が強くない私でも飲みやすく、漬物ともよく合います。
私が体験する前の時間帯は、たくさんの方が参加していたのですが、みんなでワイワイと楽しそうに笑い合っていて、夜の暗い中、この囲炉裏の空間だけが明るく光り浮かんでいるようでした。
聞いてみると、みなさん知り合いというわけではなく、この場で出会った仲なのだとか。「どこから来たのですか?」などといった会話から盛り上がって、明るくお喋りしていたのだそう。
人と人との距離を縮めてくれる、そんな力が囲炉裏にはあるのかもしれません。
朝体験したご当地楽は、囲炉裏の空間でいただくおかゆ。「さむい〜!」と言いながら土間へ向かうと、釜戸からもくもくと立ち上る煙。なんだかホッとしながら、おかゆができあがるのを待ちます。
いただくのは、本当にシンプルな優しい味のおかゆです。旅中の体にじんわり。お好みで塩を少々。
もう少しだけ柔らかくして、お米の粘土が上がったおかゆもいただきます。2つを食べ比べて、どちらの硬さがお好みか考えてみるのも楽しいです。
きりえを通して信州の自然や文化に触れられるアクティビティ「きりえ体験」。宿泊する部屋で体験できます。
信州のきりえ作家、柳沢京子さんのデザインの下絵を、きりえ用のはさみで切りぬきます。3種類くらいある下絵から、雷鳥の柄をセレクト。きりえ用のはさみは小さく、扱いが少し難しいのですが、少しずつ丁寧に切り進めていきます。
プライベートな空間で体験できるので、集中して進めることができます。気づいたら時を忘れて没頭してしまっていました。
切りぬいた後は、色鉛筆で色をつけるのですが、私は色を塗らない方が好みだったので、これで完成です。
きりえを体験できる機会は滅多にないので、自分はきりえが好きなんだ、という新たな発見ができました。作品は額に入れてそのまま持ち帰ることが可能。自宅に飾れる旅の思い出です。
天井が高く窓から穏やかな光が入り、居心地のいいロビー。特に用事がなくても、ふらりと訪れたくなる雰囲気で、自分の時間を大事にしたくなるような空間です。
フロント上にずらりと並ぶのは、雪国にできる氷柱をイメージした照明。
ロビーに隣接しているトラベルライブラリー。信州の山々の写真集やスキーに関する本などが置いてあります。コンセントを差す場所もあり、ここで仕事する人もいるのだそう。ちょうどいい明るさなので、コーヒーを飲みながらつい長居してしまいます。
窓辺にはきりえ作品が置いてあり、ふとしたところで職人のぬくもりに触れることができます。
ロビー内にあるSHOPには、信州らしさを感じられるお土産がたくさん並びます。
蕎麦や漬物、地酒といった名産品から、長野の伝統工芸品である信州松崎和紙を使ったプロダクト、地元の作家が手がけた食器など、「界 アルプス」ならではのセレクトです。
そんな数あるアイテムの中から、私が選んだのが眼鏡入れ。信州にある小岩井紬工房で作られた、上田紬のがま口タイプの眼鏡入れです。機械織りが当たり前の現代で「手織りに徹する」という信念をもつ小岩井紬工房で、手間暇かけて織られた作品です。
触ってみるとさらさらとした風合いが独特で、作り手の思いが伝わってくるようです。眼鏡入れは色も豊富なため、きっとお気に入りが見つかるはず。家で眼鏡を使用している自分用に選びました。
敷地内で立ち寄ってみて欲しいのが、「界 アルプス わさび園」。
中庭には小川があり水が流れているのですが、そこで山葵が育てられています。味のある手作りの看板は、囲炉裏の体験で担当してくれた、大仁田さんが作ったものだそう。
こうやって施設の中にスタッフ手作りのものがあると、なんだかほっこり。ぬくもりに触れる瞬間です。
また、「界 アルプス」は施設内を移動する際に、一度外に出る必要があります。朝や夜は少し寒いのですが、その瞬間に見える空がとても美しいので、ちょっと立ち止まって見てみてください。朝は紫がかった空に、月がぼんやりと見えて、山も紫色に染まっています。夕焼けも絶景です。
棟と棟をつなぐ、雁木にも光が差し込むととても美しい影が。ここで写真を撮っている人も多くいました。
自分の手で漬物を作って、実際に食べてみる。自分の手で切り絵をして、飾ってみる。「界 アルプス」は、そういったシンプルな体験を通じて、大事なことを教えてくれる場所です。
田舎で暮らす人は、隣人との距離が近かったり、みんなで同じものを同じ空間で食べて、笑い合ったり。人との繋がりを感じられるのも「田舎」がコンセプトである「界 アルプス」の醍醐味なのではないでしょうか。
施設内は田舎のあたたかみを感じられるデザインになっていて、初めて来た場所なのにどこか懐かしく、安らげる場所です。非日常に身を置いて癒しの旅がしたい人におすすめのお宿です。
界 アルプスの予約はこちらから! ><住所>〒398‐0001 長野県大町市平2884-26
<TEL>050-3134-8092(9:30〜18:00)
<駐車場>あり
<車>長野自動車道「安曇野IC」から約60分/北陸自動車道「糸魚川IC」から約90分
<電車>JR東日本「信濃大町駅」から車で約15分
※この記事は2024年2月の取材内容に基づき執筆されています。時期により、イベントや食事などの内容が変更になっている可能性があります。詳細は「界 アルプス」にお問い合わせください。
星野リゾートの温泉旅館「界」をチェック >染谷ノエル(Noel Someya) / 俳優・フォトグラファー
東京都出身。演劇を学ぶため中学卒業後に単身渡英し、ノーサンプトンのBosworth Independent Collegeなどに通う。4年半後に帰国、上智大学にて英文学を専攻。在学中より劇団、東京ジャンクZに所属、舞台俳優のキャリアは15年目を迎える(2023年時点)。写真は留学中、"Photography"の授業がきっかけで本格的に取り組むようになった。旅や日常をドラマチックに切り取る表現を得意とし、雑誌やWEBメディアなどでの作品掲載多数。 撮影、執筆、被写体の三役をこなすキャリアを活かし、取材、連載などでも活躍する。
Twitter: @noel_engeki
Instagram: @noelle.s12
STAFF
Photo&Writing:Noel Someya
Edit:michill編集部
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