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大切なかわいい我が子だけど、時として「育てにくさ」を感じること、ありませんか。易い/難いでは子育ては語れないとは思いつつも、どうにもしんどさを拭えない……そんな親は決してあなただけではありません。
子育て経験のある男女202人に、子どもが未就学児までのころに「育てにくい」と感じたことはあるかどうかを聞きいたところ、65%の人が育てにくいと感じたことがあると回答しました。
※アンケートの詳細は記事末に記載
0歳の赤ちゃんが、なかなか寝てくれないのはよくあることです。
しかし、寝室の環境や寝かしつけ方法など、できることを工夫しているのに、あまりにも寝ない・夜泣きがひどい場合や長引いている場合は、その子自身に何か問題があるのではないかとだんだん心配になってくるかもしれません。
ママやパパの睡眠にも支障が出て、健康に影響することも。
このころは「癇癪」がひどいという悩みもよく聞きます。少しでも気に入らないことがあると「わーっ」と泣き出して、なかなか切り替えられない。床に寝そべったり、暴れたりする……。
とくに、「イヤイヤ期」と言われる2歳前後の子によく見られますが、3歳を過ぎてもこのような状態が続く子もいます。ある程度言葉を理解したり、伝えられるようになったりしても続く場合は、親の接し方を工夫したり、その子に合った支援が必要になることもあります。
家庭で子育てをしているときは気にならなかったことが、集団に入って初めて気になるようになることも多いです。保育園や幼稚園に通いだすと、先生からやんわり指摘されたり運動会や発表会の様子を見て「他の子と違うな」と思ったりすることもあるでしょう。
集団生活では、指示を聞けなかったり集団行動できずうろうろしてしまったりするとどうしても目立ちます。家ではできることが園ではできない、なんてこともあるでしょう。
また、コミュニケーションが苦手で、友達と頻繁にトラブルを起こす、なんてことも……。トラブルの中で学んでいければよいのですが、同じことを繰り返しなかなかトラブルが減らない場合は大人の適切なサポートが必要ですね。
「会話をするときに顔を近付けすぎる」「列に並ぶときに前の子に近づきすぎる」など物理的な距離感もありますが、「心の距離感」を適切にとるのが苦手ということもあります。こういった子では、人に対して親しみをもちやすい反面、ほど良い距離感でコミュニケーションが取れないので、トラブルが絶えないことも……。
また、「場所見知りが全くない」ということもありますね。こういった子は知らない場所でも平気なので、一見楽そうに思えるかもしれません。ただ、どこにいてもママやパパの顔色を全く気にせず、自分の興味があるもののところに猪突猛進してしまうことで、事故や事件に巻き込まれるなどの危険が生じる場合があります。
近年、子育てや教育などについて研究が進み、しつけや生活環境のせいではなく、子ども自身の特性が原因の「育てにくさ」も珍しくないことがわかってきました。
育てにくさにつながる子ども自身の特性とは、「自閉スペクトラム症(ASD、アスペルガー症候群)」や「注意欠如・多動症(ADHD)」などといった「発達障害」を持っている場合のことです。
発達障害は、「脳の機能的な問題」によって日常生活や社会生活などでさまざまな困難が起こります。ASD、ADHD以外にもいくつかあり、特徴はそれぞれ異なります。また、個々の程度や複数の発達障害を併せ持つ場合もあるなど、状況は子どもにより千差万別ですが、全国の通常学級の小・中学生のうち平成24年の調査時点では「およそ6.5%は発達障害の可能性があった」ことがわかっています[*1]。
こうした子どもの数は年々増加しており、平成24年時点では、ADHDや学習障害、自閉症などがあり、通級による指導を受けている小・中・高校生の数は、全国で7万人ほどでしたが、令和元年の調査では13万人以上と、10年も経たないうちにほぼ倍増していることがわかっています[*2]。
これは、発達障害の存在が社会で認知されてきたことなどが背景にあると考えられますが、いずれにしてもこうしたもともと困難を抱えている子どもはけして珍しくはないことがわかりますね。
発達障害かどうか心配だという場合は、保健センターや医師などに相談してみましょう。
しかし、「育てにくい子」=「発達障害」と決めつけるのは危険です。俗に言う「イヤイヤ期」などがあるように、発達障害がない子であっても保護者が育てにくさを感じる場面はよくあるからです。
食事中にわざと皿をひっくり返す、スプーンで遊ぶ・親が一緒に食べてくれないから気を引きたい・上手に食べられなくて疲れた・お皿やスプーンがその子の発達に合っていない
本棚から絵本を全て出してしまう・特定の絵本を探している・絵本が出しづらい
おもちゃを片付けない・片付けにくい環境・片付けの必要性がわからない
集中力がない・テレビがつけっぱなし・親が話しかけすぎる
友達を叩く、押す、噛む・言葉でうまく言えない・遊びたいのにかかわり方がわからない
椅子に座っていられない、姿勢が悪い・椅子の高さが合っていない・足がつかない
話が聞けない・雑音が耳に入ってしまっている・話す人の後ろに気になるものがあり集中できない
帽子を被れない、マスクができない・感覚過敏がある
保育園でも「ご飯を食べてくれない」と悩む保護者の方はとても多いです。子どもは味覚や口の中、喉などはもちろん、気持ちもとても敏感です。
「食べない」というとき、単純に味が嫌いなだけでなく、以下のような場合もあります。—————————「(どろどろ・固いなどの)食感・触感が気持ち悪い」「見た目に警戒している」「手づかみで食べたい」「自分で食べたい」「今は気分じゃない」「(眠い・遊びたいなど)ほかのことがしたい」—————————中でも見落としがちなのは、「歯」です。歯がまだ生えそろっていないというのは、ところどころ歯がなくガタガタな状態で、その状態で食事をするのは大人であってもすごく疲れることです。「歯を失ってしまった人」が入れ歯なしで食べているのと似たようなものなのです。
ましてや、子どもはまだ嚙む力やあごの筋肉も弱いですから、その状態を考えると、食事を嫌がることがあるのもわかりますよね。
ある5歳児の女の子の事例です。言葉は話せるし会話もしっかりと成り立つのですが、発音がおかしい、そろそろ年長児クラスに上がるので心配……と保護者から相談され、専門家を紹介しました。
その結果、発達には問題がなさそうなので、耳が原因では?と耳鼻科を受診したところ……なんと、とても大きな耳垢が耳の穴を塞いでおり、耳がきちんと聞こえていなかったことが判明したのです。
耳の「中」の耳垢は自然に出てくると言われていますが、個人差があるので気になる場合は耳鼻科で耳掃除をしてもらうといいですよ。
「言葉が出ない」という心配は本当に多いです。でも実はこれ、「大人が話す必要をなくしてしまっている」ことが原因の場合も。
子どもが困っていることにいち早く気づいて助けてあげることは、一見やさしさに思えるかもしれませんが、実はとっても危険。子どもが何もアクションを起こさないうちから「これ取ってほしいのね、はい」「(水が飲みたいのかな)はい、どうぞ」などなど親が一方的に子どもの気持ちを先取りして行動してしまうと、“何もしなくてもやってもらえる”と話す必要を感じないどころか、自ら何かをしようとする意欲まで失わせてしまいます。
もちろん、まだ上手に話せない子どもの気持ちをある程度汲み取ってあげる必要はありますが、実はそれを「しっかり言葉にすること」が大切なのです。
例えば、おもちゃを欲しそうに手を伸ばしているなら、まずは見守ります(自分で工夫して取るかもしれないからです)。
そして、困って大人のほうを見たり泣いたりと何かしらのアクションを起こしたら、そこで初めて助けにいきます。
助けるときは、無言で行うのではなく、「車を取ってほしいのね、『ママ(パパ)、くるま、とって』だね。はい、どうぞ」などと、子どもの気持ちを代弁してあげると、子どもはその言葉を吸収していきますよ。
また、赤ちゃん言葉も発語を助けます。赤ちゃん言葉で積極的に話しかけた子は2歳時点で、そうでなかった子の約3倍の言葉を知っていたという研究結果もあります[*3]。ただし、3歳ごろを過ぎたら徐々に正しい日本語を伝え、切り替えられるようにしていくとよいですよ。
ある程度言葉を話せるようになったら、代弁しすぎるのもよくありません。子どもが自分で考えて言葉を発するのを待ったり、「何ていうんだっけ」などときっかけを作ってあげたりすることで、話すことの必要性が感じられるようにしましょう。
なお、育てにくさが気になったとき「発達障害ではなさそうだから放っておいて大丈夫」ではありませんし、「発達障害だから何をしてもダメ」でもありません。
どちらにせよ、専門家に相談することで、子どもの特徴を知り、その子に合った接し方や苦手部分を克服できるような声かけを教えてもらうことができます。—————————そのほか、育てにくい子だと感じた場合の対処法や、実際先輩パパママがどうしていたかなどについては、以下の記事の中で詳しく解説しています。▶︎臨床心理士監修|育てにくい子は発達障害なの?<体験談>親ができること(文:mamaco/監修:臨床心理士/公認心理師 たかだちかこ先生)
※本記事は上記の記事を一部抜粋したものです※画像はイメージです
心理カウンセラーが解説「親子の心理学」シリーズの記事はこちら>>>
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※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます
この記事のライター
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