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親子で楽しみたい物語をご紹介している本連載「親子のためのものがたり」。今回は旧約聖書のお話の1つ「ダビデとゴリアテ」をご紹介します。さて、どんなお話なのでしょうか?
「ダビデ」と聞くと、ミケランジェロのダビデ像を真っ先に思いうかべる人は多いかもしれません。ミケランジェロが表現しているのは、旧約聖書のサムエル記・上17のエピソード「ダビデとゴリアテ」の1シーン。ミケランジェロはあえてダビデを筋骨隆々のたくましい青年にしていますが、実は、旧約聖書の物語を読むと少年なんですよ。ダビデ少年の活躍を楽しくお子さんに伝えてみませんか?
「ダビデとゴリアテ」は、古代イスラエルのお話です。イスラエル王国とペリシテ人との間で戦いが起きているなか、のちにイスラエルの王となるダビデ少年の活躍を描いています。では、あらすじを見てみましょう。
イスラエルとの戦いに備えて軍隊を集めているペリシテ人。一方、イスラエルの王サウルも兵を集結し、ペリシテ軍との戦いに備えました。 ペリシテ軍は一方の山に、イスラエル軍は谷を挟んでもう一方の山に陣取りました。
やがてペリシテの陣地から一人の兵士が進み出ます。その名はゴリアテ。背丈は2.9メートルもあろうかという大男です。重い武具を身につけて、剣と槍と大きな盾を持っています。ゴリアテはイスラエル軍にこう呼びかけました。
「どうしてお前たちは、戦列を整えて出て来るのか。誰か一人、下りてこさせよ。もし私が負けたら、我々はお前たちの奴隷となろう!だが、わたしが勝ってその者を討ち取ったら、お前たちが奴隷となって我々に仕えるのだ。相手を一人出せ!一騎打ちだ!」
サウルとイスラエルの全軍は、ゴリアテの言葉を聞いて恐れおののきました。
\ココがポイント/✅敵軍にとても勇ましい大男ゴリアテがいる✅ゴリアテの迫力にイスラエル側は怖気づいてしまう
さて、イスラエルに羊飼いの息子でダビデという少年がいました。ダビデは8人兄弟の末っ子で、年長の兄3人はペリシテ人との戦いに出ていました。ダビデは父親に言われ、兄たちに食料を届けに行きます。
戦地ではゴリアテがいつものように現れて叫んでいました。 ゴリアテの言葉を耳にし、その挑発に憤ったダビデは、「あの男のことで誰も気を落としてはなりません。僕があのペリシテ人と戦いましょう」とサウルに申し出ます。
しかし、サウルはこれに反対します。「お前には無理だ。お前は少年だし、向こうは少年の時から戦士なのだ」これにダビデはこう反論しました。「僕は羊飼いです。羊を狙うライオンや熊を倒したこともあります。あの無礼なゴリアテもこれらの獣の一匹のようにしてみせましょう」
そこでサウルはダビデを行かせることにしました。
\ココがポイント/✅羊飼いの息子で美少年のダビデが兄に食料を届けるために戦地に来る✅ゴリアテの挑発を知ったダビデは自分が戦うと申し出る✅ダビデはライオンや熊を倒すことができる
サウルはダビデに自分の鎧や兜などを与えます。しかしそうした武具に慣れていないダビデはそれらを脱ぎ捨ててしまいます。そして自分の杖1つを持ち、川辺で石を5つ拾って投石袋に入れると、ゴリアテのもとへ向かっていったのです。
ゴリアテは美しい少年のダビデを見て、からかいました。「お前が手にしているのは杖ではないか?私は犬か何かか?さあ、来い。お前の肉を空の鳥や野の獣にくれてやろう」 するとダビデもゴリアテに言います。「お前は剣や槍で戦おうとするが、私はイスラエルの神の名において戦う。お前を討ち、お前の首をはねてやるぞ。今日こそお前たちペリシテ軍を倒す。神の救いに剣や槍は必要ないことがわかるだろう。これはイスラエルの神の戦いなのだ」ゴリアテは身構え、ダビデに近づいてきます。ダビデもゴリアテの方に走っていきます。そして袋から小石を取り出すと、石投げ紐を使って飛ばし、ゴリアテの額を撃ちました。石はゴリアテの額に食い込み、彼はうつ伏せに倒れました。なんとダビデは、石投げ紐と石1つでゴリアテに勝ったのです。
そしてダビデは、ゴリアテの上にまたがると、ゴリアテの剣を使ってとどめを刺し、首を切り落としました。ペリシテ軍は自分たちの勇士が殺されたのを見て、逃げ出しました。こうして、少年ダビデの活躍でイスラエル軍は勝利を収めたのです。
(おわり)
\ココがポイント/✅ゴリアテはダビデが美少年だったのであなどった✅ダビデは武具を持たず、小石1つでゴリアテに勝った
人間離れした体格の手強い戦士を華奢な少年が見事に一発で倒す、胸がスカッとするようなお話ですね。誰もが無理だと思った戦いにあっさり勝ってしまうダビデの無双っぷりに、子どももドキドキワクワクしてしまうのではないでしょうか。
お子さんと楽しむときは、
・自分だったらダビデのようにゴリアテに挑む?・自分だったらゴリアテとどう戦う?・なぜダビデは勝てたんだと思う?
などと子どもに聞いてみるのもいいかもしれないですね。
また、お話をする時にゴリアテの偉そうな感じを上手く演じたり、周りの心配をよそに自信を見せるダビデが本当に勝てるのか、わからないように話したりできると、盛り上がると思います。
ダビデが自信を持ってゴリアテに挑めたのは、自分には神様がついていると信じていたからでしょう。また、神様のことを抜きにして考えても、信じることが人に力を与える力を感じられるお話ではないでしょうか。自分を信じる大切さをお子さんに伝えてあげるとよいかもしれませんね。また、勇敢さと無謀さの違いを一緒に説明してもよいでしょう。旧約聖書というと難しいイメージがあって、敬遠する方もいらっしゃると思いますが、物語としても色々と楽しむことができますよ。
ちなみに、英語圏の男性の名前でポピュラーなものにディヴィッドがありますが、これは「ダビデ」に由来しています。また、ゴリアテという言葉を、ジブリ映画『天空の城ラピュタ』に出てくる巨大な飛行戦艦の名前として知っていた人もいるかもしれません。聖書に由来する名前はとても多いので、それもまた面白いですね。
(文:千羽智美)
※画像はイメージです
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