男性4割 女性3割以上「反抗期がなかった人」が陥りがちなリスクとは?発達障害との関連

更新日:2022年9月15日 / 公開日:2022年9月15日

反抗期の子どもの言動にイラついたり凹んだりする保護者は多いものですが、一方で子どもにこれといった反抗期がなく、「これって問題?」と不安になる親御さんもいます。今回は、子どもの成長にとって反抗期のありなしがどのような意味を持つのか、そして、反抗期がない場合に注意したいことについて臨床心理士が解説します。

(文:臨床心理士 大岡みほ/うららか相談室

反抗期は何歳ごろにあるもの?

ほとんどの人がいつからか無意識に知っていて、日常会話で使うこともある「反抗期」という表現。でも、あらためて考えてみると、そもそも反抗期とはどんなことを指すのでしょうか?はじめに、その定義や特徴についてご説明しましょう。

反抗期は子が意志を持ち始めた証拠

反抗期とは、子どもが成長の途中で、周囲に対して否定や拒否をし、反抗しているように見える行動や態度が増える時期のことです。 大人側にしてみれば反抗されると困る場面が増え、育てにくいと感じてしまいがちですが、子ども自身が自分で考え、意志を持ち始めた証としてとらえて養育態度を工夫していくことが求められます。

時期は第一次、中間、第二次の3回

第一次反抗期は2~3歳頃で、それまでは素直に従ってきた周囲の大人からの指示に対して、いや!と拒否をすることが増えるので、イヤイヤ期と呼ばれることもあります。何でも自分でやってみたくなり、でもうまくいかなくてイライラする時期と重なります。「自分は自分」という意識が芽生えて自己主張をし始めることが大きな特徴です。

第二次反抗期はおおよそ12歳~15歳頃に始まり、いわゆる思春期と重なります。子どもから大人へと変わっていく時期で、社会の在り方など漠然とした対象にも意識が向かいます。自分らしさを強く主張したくなり、認めてくれない権威や権力を象徴するような人物に対して特に強く反発することが多いでしょう。

第一次反抗期と第二次反抗期の間の時期は、中間反抗期と呼ばれることがあります。

大切なポイントは、子どもが反抗するか従順かという点だけを重視するのではなく、自己主張をしながらも思い通りにならない場合にどうするかといった経験を通して、子ども自身が成長しようとしていると受け止め、対応することです。

反抗期がない子はどのぐらいいる?

子どもが精神的な発達を遂げている表われとして大切な意味を持つ反抗期ですが、全ての人に必ず自覚があるかというと、そうではありません。自分自身、あるいは自分の子どもに反抗期がなかったと感じている人はいらっしゃいます。

3〜4割の子どもが「反抗期なかった」

明治安田生活福祉研究所ときんざいが、親1万人、子6千人を対象に行ったある調査[*1]では、親世代で反抗期がなかったと答えた人の割合は男女ともに3割に満たなかったけれども、子の世代では男性で42.6%、女性で35.6%とかなり増えているという結果が示されました。

反抗期がない子の特徴は?

反抗期があるかないかという判断は、実際は判断しようとする側の主観がかなり影響するものです。成長のペースが人それぞれであるように、反抗期を迎える時期にも当然個人差がありますね。ある時点で、反抗的な態度が見られるお子さんもいれば、まだその時期ではないお子さんもいらっしゃるでしょう。 そうした個人差以外に、反抗期がないお子さんの特徴にはどのようなものがあるでしょうか。

反抗期がない子ども自身の共通点

お子さんのもともとの個性、性格傾向がある程度影響すると考えられます。 例えば ✅ 甘えん坊さんタイプ:大人からの指示に従っている方が安心だという時期が長引く場合も ✅ 優しく忍耐強いタイプ:ちょっと納得がいかなかったり腹が立つことがあってもひとまず抑えることができ、すぐに態度で示さない などが挙げられます。

反抗期がない子どもの親の共通点

ご家庭の雰囲気や、親子間のコミュニケーションの様子も影響します。 例えば、 ✅ よく子どもの話を聞く ✅ 褒めることが多い ✅ 子ども目線で説明できる ✅ 価値観が同じである といった場合は、子ども側に反抗する必要がなくなります。もし衝突が起きそうになっても、落ち着いて対話を行うことで激しいやりとりにならず、反抗期だと意識しないで済んでいるということもあるでしょう。

反抗期が激しい子の特徴は?

逆に、 ✅ 好奇心がとても強い ✅ 自立心が旺盛 といったお子さんの場合は、周囲よりも早く、そして強く自己主張を始める可能性があります。

また、周囲の特徴としては、 ✅ 関わる大人が心配のあまりに指示が多い ✅ 1つの方法にこだわって言うことをきかせようとしている などの場合は、子ども側が強い反発を感じて反抗が激しくなることがあります。

反抗期がないことのリスクは?

子どもが自立していく過程で重要な意味を持つ反抗期ですが、では反抗期がない場合は何かリスクが生じているのでしょうか?

反抗期はなくても大丈夫

反抗期だわ!と感じられるような態度が見られないからといって、必ず何か問題があるとは限りません。心配しなくても良い場合と、注意が必要な場合について、それぞれ説明をいたしますね。

心配1. 自立へ向かっていない?

いいえ、そんなことはないので大丈夫です。 お子さん自身の性格や周囲との関わり方が影響して、反抗期を迎える時期には個人差があります。親子で価値観が似ている場合は、小さな反抗で済むこともあるでしょう。

前述の調査[*1]によると、昔より褒めて育てる親の割合が増えていることが示されており、このような子育て環境の変化により、反抗期がないと感じている子どもが多くなっているのかもしれません。怒りの感情をともなってぶつからなくても、親離れ子離れできるご家庭が増えています。

心配2. 発達障害との関連は?

反抗期の有無だけで発達障害かどうかは判断できないものです。

確かに、発達障害があると定型発達のお子さんに比べて自己主張が弱いですとか、合理的思考を好むため感情を表現しないタイプのお子さんもいます。受け身で素直な期間が長く、反抗期の訪れが遅い場合もありますが、皆さんがそうだということではありません。 また、情緒的な成長の証として自己主張が強くなったり、イライラして反抗的な言動が増えたりすることは、どのお子さんにも起こる可能性があります。

こんな「反抗期がない」状況は要注意

反抗期がなくても問題ないとお伝えしましたが、一方で、以下に挙げるような場合は注意が必要です。これらが原因で自然なタイミングで反抗期を迎えることができないと、後になって ・情緒不安定 ・社会不適応 ・安定した対人関係が築けない など、心理的な問題へとつながってしまう可能性があります。

【1】親のコントロールが強い

親が支配的な考え方をしていて、子どもの主張を認めない場合、子どもの自然な自立へのステップを妨げてしまうことがあります。

こういう関係性を強いられた子どもは、 ・自己主張することをあきらめてしまう ・自己主張したくても、不安や怖れを感じて悩んでしまう などに陥ることが考えられます。 そうなってしまうと、自分を受け入れてもらえない寂しさや怒りを抱えたままになり、そのストレスが後から反動となって顔を出してしまうのです。

なお、指示や禁止が多い親にもそうなってしまう背景があります。例えば、心理的に不安が強い場合や、自分自身が子ども時代に自由な自己表現を許されなかったため、解決されないままの依存心や怒りが自分の子どもに向いてしまっていることも少なくありません。

【2】親が甘やかしすぎている

支配的な親とは反対に、子どもに対して何でも許可してしまうような場合でも、反抗期が来ないかわりに心理的なリスクが生じていることがあります。 ・家庭内でのルールが曖昧 ・必要な躾がなされていない といった、「甘やかしている」環境下では、とても依存的な性格を作ってしまうかもしれません。何でも人にやってもらい、自分のわがままが通るのが当然だと思ったままだと、社会生活でつまづいてしまうというリスクにつながるでしょう。

子どものこんな様子を確認してみて

これら「コントロールしすぎ」「甘やかしすぎ」という両極端な環境は、自然な自立のプロセスを妨げる要因となりやすいのです。「我が家はどうだろう」と心配なご家庭では、親御さん自身の言動を振り返るとともに、 ・お子さんの従順さに無理がないか ・表情は自然で豊かであるか ・感情を自由に表現できているか という点を時々チェックしてみてください。

まとめ

近年、反抗期がないお子さんが増えていることをご紹介しました。親が躾のために厳しく接しなければならないという考え方は、古くなっていくようです。 お子さんの自立が進んでいるサインとしてとらえられる反抗期ですが、ないからといって、心配しすぎる必要はありません。親とは異なる価値観や考えを表現できるようになってきたら、すぐに否定したり答えを与えたりしないで、その内容に耳を傾けてあげましょう。自分の意見を持てるようになったことをともに喜び、何でも話し合える雰囲気を心がけることで、ぶつかる必要のない反抗期が実現するかもしれませんね。

(文:うららか相談室 大岡みほ/構成:マイナビ子育て編集部)

※写真はイメージです

この記事の執筆者 臨床心理士・公認心理師 大岡みほ 先生

臨床心理学系大学院を卒業後、精神科・心療内科の心理相談室常勤心理士となる。その後、小・中・高校、教育相談所などで心理相談に携わり、本人と家族のセラピーだけでなく、関係機関や地域との連携も経験する。一男一女の母。 現在、うららか相談室にてビデオ・電話によるオンラインカウンセリングを受付中。 ■大岡みほ先生への相談

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参考文献 [*1]「親子の関係についての意識と実態」明治安田生活福祉研究所

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、専門家の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます


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