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40代、絶賛婚活中のOTONA SALONE編集長アサミ。44歳から婚活を始めて約2年半になる。婚活パーティや婚活アプリ、個室婚活、知人の紹介などでさまざまな出会いを求め続けていた。しかし、誰ともうまくいかず、好きになることもなかった。
しかし、49歳・アーティストのジェントルさんに久しぶりに恋をする。告白しようと決意した6回目デートで新たな展開が……⁉ これは40代独女の「実名 顔出し」で書いている、リアル婚活ドキュメントである。
食事を終えて店を出たのは20時半を過ぎたころだった。まだそんなに遅い時間ではないから、お茶にでも誘おうと思ったときだった。
ジェントル「もしよければなんですけど、さっきお話した僕のアトリエ、寄っていきませんか?」
食事のときにアトリエの話を聞いていた。店から歩いて5~6分くらいの場所、と言っていた。
ジェントル「今日、美術館は間に合わなかったけれど、ちょっとだけ僕の作品も置いてあるので、もしよかったら」
アサミ「いいんですか?」
ジェントル「はい。コーヒーだけでも飲んでいってください」
これはもしかして、初めて二人きりになるパターンってことじゃない⁉
アーティストのアトリエに入るのなんて初めてだ。マンションの一室。スケッチブックやキャンバス、オブジェなどが置いてある。
そして部屋からは、ほのかにいい香りが漂っていた。
アサミ「いい香りがします。なんの香りですか?」
ジェントル「あ、これですね。乳香。フランキンセンスです」
といって、玄関のそばに置いてあった小さな壺を見せてくれた。お香だった。
ジェントル「僕、好きなんです。この香り」
心が落ち着く、穏やかな香りだった。私もこの香り、好きだな……。
部屋の片隅に置かれたソファをさして
ジェントル「どうぞ、そこ座っててください。コーヒー淹れますね」
ソファに座りながら、アトリエに置かれている彼のものであろう作品を眺めていた。
こんな作品をつくるんだ……すごいな。スケッチブックに描かれた絵は、彼の繊細な感性とやさしさがにじみ出ているような気がした。
静かなアトリエに二人きり。一つの空間で彼と二人きりになるのは初めてだ。なんだか緊張する。
コーヒーを持って彼が来た。
ジェントル「砂糖やミルクは使いますか?」
アサミ「いいえ、大丈夫です」
ジェントル「OK。はい、じゃどうぞ」
彼も一緒のソファに座った。めっちゃ近い。さっきのエスニック料理店での距離より近い。
お店で飲んだカクテルが少し強かったのだろうか、それとも彼との距離感のせいなのか。トクトクトク……脈が早くなっている。
近すぎる距離に照れてしまう……! 沈黙の状況を避けるように、急いで次の言葉を探した。
アサミ「ここに置いてあるの、ジェントルさんの作品ですよね? ステキです。こんなすごいものを作るなんて」
ジェントル「そんな、僕はたいしたことないですから」
アサミ「いえ、すごいです。私は手先が不器用なので、こういう才能ある方を尊敬します」
ジェントル「ありがとうございます。アサミさんは魅力的な文章、書かれるじゃないですか」
アサミ「文章は誰でも書けますもの」
ジェントル「いいえ。魅力ある文章は誰にでも書けるわけじゃありませんから」
アサミ「ありがとうございます……」
なんか誉め合いになってしまって、また照れてしまうのだった。
ちょっと落ち着こう。
コーヒーカップを手に取ろうとして、ソファの背もたれから体を離した。コーヒーを口にする。
ジェントル「髪、キレイですね。ツヤがあってサラサラ」
ソファにもたれていた彼が言った。
アサミ「ありがとうございます。でも最近ちょっとエイジングを感じてますけど(苦笑)」
ジェントル「それに肌もキレイ」
また恥ずかしくなった。コーヒーカップをテーブルに置き、手で顔を覆った。
アサミ「そんな見ないでください。恥ずかしい……小ジワとかシミとかそばかすがありますし」
ジェントル「そんなことないです。キメが細かくて、スベスベ」
そう言って、左手だけ私の顔からはずし、彼は自分の太ももの上に置いて撫でている。わ、どうしよう!
しばらく沈黙が続いた。その間、ジェントルさんはずっと私の手を撫でていた。そして、指を絡ませながら手をギュッと握ってきた。
彼と手をつないでる……! 手を持たれたり、手のひらを合わせたことは何度もあったけれど、手をつなぐのは初めて! 体温が伝わってくる。あったかい。
ジェントル「アサミさん、今日は誘ってくれてありがとう。お待たせしちゃって、美術館も行けなくてごめんなさい」
アサミ「いいえ、今日、お会いできただけでうれしかったです」
素直な気持ちを伝えた。
私の手を撫でるのをやめ、こちらを向く彼。
ジェントル「ホントですか?」
アサミ「私、ジェントルさんと一緒にいるのがうれしいんです。優しいし、お話し楽しいし、色んな事教えてもらってるし」
ジェントル「僕もうれしいです。いつも僕のとりとめのない話を聞いてくれて」
そして彼は私の肩に手をまわし、そのまま引き寄せた。
ジェントル「アサミさん……」
彼の香りにふわりと包まれる。ドキドキドキ。いままでで一番、脈が早くなった。これは、この展開は……!
ジェントル「アサミさん、いいんですか? 僕で」
その言葉が何を意味するのか理解できず、彼の顔をのぞきこんだ。目と目が合った。
ジェントル「僕バツイチで、子持ちですけど……いいんですか?」
なるほど、いいんですかっていうのは、僕とこういう状況になっていてもということか。それは遠回しにお付き合いすることを示してる? ちょっと抽象的だから私が具体的な言葉にしよう。
アサミ「はい。全然。バツイチとかお子さんがいるとか、そういうこと関係なく、私はジェントルさんが好きです」
言った! 自分から告白したといえるかどうか微妙だけど、言った!
あれ、先走りすぎた? いいんだよね、こういう発言して。好きと言っておいて内心オロオロする。
ジェントル「ありがとうございます。僕もアサミさんのこと、好きです」
アサミ「うれしい……」
目がうるんできたのがわかる。うれし涙。やだな、私ったらホント泣き虫だ。
アサミ「むしろ私こそ、こんなんですけどいいんですか? なんかいろいろ経験不足で、たぶん幼いと思うんです」
ジェントル「いいんです。可愛らしい」
ギュッと抱きしめられた。あったかい。そして心地いい……。
婚活歴2年半以上の46歳独女。恋人いない歴9年半という歴史は、この日、幕を閉じたのだった。
【彼氏いない歴がついに終了! 二人の今後は…⁉ 5月22日(水)17時をお楽しみに!】
【前回はコチラ】
#144【あるある】恋愛下手な40代独女にありがちなこと【40代編集長の婚活記】
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