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【医師監修】胸水が起こる原因は? 診断と治療方法

目次

「胸水」とは、簡単にいうと胸腔に水が溜まってしまう病気のこと。お腹の赤ちゃんの胸腔に水がたまる「胎児胸水」もあります。なぜそんなことが起こるのでしょうか?ここでは、胸水の原因についてお話していきます。

この記事の監修ドクター

吉武姿子先生 女医+(じょいぷらす)所属。呼吸器内科医として大学病院に勤務した後、高齢者医療や在宅訪問診療の分野へ。コーチングスキルを通じて、患者さんやご家族とのコミュニケーションを大切にした医療を心がけています。プライベートでは二児の母。「生き生き働き、しっかり育児」を目指し、働き方改革に関心が高いです。

胸水とは?どのような症状が起こる?

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胸水とは何か?

肺の表面は「胸膜」という薄い膜で覆われています。胸膜は、肺側の表面を覆う「臓側胸膜」と、胸壁側の表面を覆う「壁側胸膜」の2重構造になっています。これらの2枚の胸膜のすき間の空間(胸腔)には、健康な人でもほんの少しだけ「胸水」という水が溜まっていて、呼吸をしたときに肺と胸壁がこすれるのを防ぐ潤滑油の役割をしています。

この胸水という水は、壁側胸膜でつくられて臓側胸膜に吸収される仕組みになっているので、本来であれば、増えすぎてしまうことはありません。しかし、何らかの原因で、産生と吸収のバランスが崩れて胸腔に胸水が異常に溜まってしまうことがあり、このような状態を「胸水貯留」と言います。

胸水貯留により起こる症状は?

胸水が増えすぎると、胸の違和感や痛み、呼吸困難、咳などの症状が現れることが一般的です。また、感染症などが原因の胸水であれば、発熱を伴うこともあります。しかし胸水の原因となった疾患が何であるかによって症状も多岐にわたり、胸水貯留だけに特異的な症状はありません。一方、胸水の貯留量が少ない場合には、無症状で健診などの胸部レントゲン写真で偶然見つかる場合も少なくありません。

胸水の原因は何か?

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胸水は、大きく分けると「滲出性(しんしゅつせい)胸水」と「漏出性(ろうしゅつせい)胸水」に分類されます。また、胸水には、お腹の赤ちゃんに起こる「胎児胸水」というものもあります。それぞれの原因について見ていきましょう。

滲出性(しんしゅつせい)胸水の原因

滲出性(しんしゅつせい)胸水は、炎症によって毛細血管から水分が染み出しやすくなることや、胸膜リンパ管系の通過障害で起こる胸水です。主な原因には、「肺炎(細菌性肺炎)」や「結核」といった感染症、「肺がん」や「悪性中皮腫(胸膜から発生するがん)」といった腫瘍、関節リウマチなどの「膠原病」が挙げられます。

漏出性(ろうしゅつせい)胸水の原因

漏出性(ろうしゅつせい)胸水は、毛細血管内の水圧が上昇したり、血液中のタンパク質濃度が減少して浸透圧が低下したりすることで起こる胸水です。

主な原因には、心臓のポンプ機能が低下して全身に血液を送り出せなくなる「心不全」、肝臓障害が慢性化したために肝臓が硬く小さくしぼんでしまう「肝硬変」、血液をろ過する腎臓の糸球体が障害されて、体に必要なタンパク質が尿の中に大量に排出されてしまう「ネフローゼ症候群」などがあります。

胎児胸水の原因

胎児胸水は、大きく分けると「原発性胎児胸水」と「続発性胎児胸水」の2種類があります。

原発性胎児胸水

原発性胎児胸水は、胸水以外に異常が見つからない胎児胸水です。胸水の中でも、胸腔のリンパ管から漏れ出した乳び(乳化した脂肪や脂肪酸が混ざって乳白色になったリンパ液)が溜まった状態のことを「乳び胸(乳び胸水)」と言います。原発性胎児胸水は、「先天性乳び胸」とも呼ばれ、先天性のリンパ管の形成不全が原因だと考えられています。

続発性胎児胸水

続発性胎児胸水は、他の病気によって引き起こされる胎児胸水です。主な原因には、心臓の奇形や不整脈、赤ちゃんとママの血液型が異なる血液型不適合、感染症(PB19感染、CMV感染)、染色体異常などが挙げられます。

胸水の診断と治療

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レントゲンやCTによる診断

一般的な胸水の場合は、まず胸部のX線検査(レントゲン撮影)や超音波検査、CT(コンピュータ断層撮影)などの画像診断で胸水が溜まっていることを確認し、その部分に針を指して胸水を採取する「胸腔穿刺(きょうくうせんし)」を行います。そして、胸水が溜まった原因を特定するために、採取した胸水に含まれている細菌の種類や、がん細胞の有無などを調べます。胸腔穿刺で原因を特定できなかった場合は、胸腔鏡(胸に小さな傷を入れて挿入する内視鏡)で胸膜の表面を直接観察したり、組織の一部を採取して顕微鏡で調べたりします。

一方、胎児胸水の場合は、妊婦健診の超音波検査で赤ちゃんの胸腔に胸水が大量に溜まっていることが確認されたら、診断と治療を兼ねて胸腔穿刺を行います。

胸水の治療方法

一般的な胸水の場合は、原因となる病気の治療を行うほか、息切れなどの症状があれば対症療法としてチューブで溜まっている胸水を排出する「胸腔ドレナージ」を行います。胸腔ドレナージを行っても繰り返し胸水が溜まってしまうときは、胸腔に薬剤を注入して2枚の胸膜を癒着させ、胸水がたまるスペースを閉じる「胸膜癒着術」を行うこともあります。

胎児胸水の場合は、胸腔穿刺をしても胸水が再び溜まってしまうようであれば、赤ちゃんの胸腔に細いチューブを入れたままにしておき、溜まった胸水をママの羊水腔内に排出する「胸腔・羊水腔シャント術」を行います。

まとめ

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胸水貯留の原因となり得る病気は数多くあります。また、お腹の赤ちゃんに起こる胎児胸水は、妊娠12,000件に1例の頻度で発生するといわれる珍しい病気ですが、処置が遅れると、赤ちゃんが死んでしまうこともあります。妊婦健診で胎児胸水の可能性があると指摘されたら、医師の説明をよく聞いて、しっかりと対処をしていきましょう。


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この記事の著者

マイナビウーマン子育て

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