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築37年の木造住宅を耐震リフォーム[1] 決意から耐震診断まで

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当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

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築37年の木造住宅を耐震リフォーム、決意した理由は?

熊本地震以降、家の耐震性が気になるという人は増えています。千葉県市川市に暮らすTさんもその1人。Tさんと同居しているTさんのご両親が、耐震補強工事を行って安心してわが家で暮らせるようになるまでを追っていきます。今回は、リフォームを決めたところから耐震診断を受けるまでの経緯と、補助金制度について紹介します。
築37年。実家をリフォームする

Tさんのご両親が市川の地に一戸建てを購入して37年。今年、60歳になった両親が暮らす実家のリフォームを行うことになったきっかけは、1階の和室の柱に見つけた虫食い穴でした。「これはシロアリか、まずい」と思ったTさん。シロアリ駆除は2年前に行い5年保証がついているので、おかしいと思い調べていくと、外壁の隙間から雨が侵入していたもよう。

「これから高齢化していく両親が暮らしていくこの老朽化した家を、ずっとどうにかしないといけないと思っていたんです」とTさん。T邸がある周辺は昔、蓮畑だったそうで、液状化エリアにも指定されている地盤の弱いエリア。やはり地震が心配です。

この家の耐震性、劣化状況、高齢者にとって暮らしにくい間取りなどを考えると、マンション等への住み替えも候補としてあがっていました。「家を売却してマンションに買い替えることも検討しました。査定では2000万円+α。自分が資金を出してもいいですし。近所にはご家族でマンションに買い替えて、娘さんとマンション内近居をしている方もいらして、それもいいなって思っていました」(Tさん)

ただ、お父様が10年ほど前から体を壊し、現在要介護3の状態で、週に3度は病院へ通う必要もあります。そんなお父様を支えているお母様は、「40年近く住み慣れたこの場所が自分たちには合っています。普通に暮らせるなら新天地でもいいのですが、夫の体のこと、通い慣れた病院、やり慣れた介護を考えると、一から新しい暮らしを始めるのはしんどいですね」とご家族をいたわる気持ちが伝わってきます。
そうしてTさん家族は、不安のある耐震性能、バリアフリー機能、断熱性能を向上させることを中心にリフォームすることを決めました。「やりたい箇所はいくつもありますが、費用との兼ね合いです。両親は貯蓄も年金も潤沢というわけではありませんから、優先順位を決めて改善していければ。もっと安心して暮らせる家にしたいですね」とTさん。

T邸のリフォーム概要
〈物件概要〉
●所在地:千葉県市川市
●建築年:1979(昭和54)年竣工、翌1980年10月に入居の一戸建て。
●規模:4LDK、延床面積83m2
●家族:父60歳、母60歳、長男34歳
●リフォーム歴:20年前に外装、ベランダ、浴室をリフォーム

〈今のところ考えているリフォーム内容〉
●耐震改修
●システムキッチンの交換、室内リフォーム
●トイレと洗面の設備交換、間取りを広げてバリアフリー化
●窓と壁の断熱工事
●軽量な瓦に葺き替え

【画像1】T邸の立面図(撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像1】T邸の立面図(撮影/SUUMOジャーナル編集部)


【画像2】左/柱や梁に虫喰いのような孔(あな)が……。右/20年前に塗装した外壁に隙間が空き、そこから雨がしみ込んでいたようです(撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像2】左/柱や梁に虫喰いのような孔(あな)が……。右/20年前に塗装した外壁に隙間が空き、そこから雨がしみ込んでいたようです(撮影/SUUMOジャーナル編集部)

リフォームを決めたTさんはまず、「誰でもできるわが家の耐震診断」(日本建築防災協会:編集)というサイトで、ざっくりT邸の耐震性について調べてみました。その結果、「専門家に診てもらいましょう」という判定が出て、さっそく耐震診断を申請することにしたのでした。

耐震診断&耐震補強には多くの自治体で補助制度あり

耐震診断を申し込むことにしたTさん。耐震診断の費用は、図面の有無や建物の形状、築年数により異なりますが、おおむね10万~20万円程度が相場。耐震改修工事のほうは100万~150万円で行われるケースが多いそうです(日本建築防災協会調べ)。

費用は高額になりがちですが、助成制度を利用すれば負担を減らせます。全国の自治体では、住宅の耐震診断にかかる費用を助成したり、無料で耐震診断士を派遣するなどしています。さらにその結果、耐震補強工事が必要となった場合、多くの自治体がその費用も助成する制度を設けています。

この補助制度の対象は、1981(昭和56)年5月31日以前に着工された住宅であることが必須条件となっています(ほかにも条件あり)。現在の耐震基準は1981年6月に改定されたもので、それ以前の旧耐震基準で建てられた「震度5程度の地震に耐えうる住宅」では倒壊の恐れがあります。耐震診断および耐震補強工事を行って、震災時の被害を減らすという目的でできた制度なのです。

内容は自治体によって異なります。例えば、Tさんの暮らす千葉県市川市の制度を見ると、補助金額は次の通り(諸条件に合致する家が対象)。
●耐震診断
 費用の3分の2(1000円未満の端数切り捨て)を助成(ただし上限8万円)
●耐震改修設計費
 費用の3分の2(1000円未満の端数切り捨て)を助成(ただし上限5万円)
●耐震改修工事・工事監理費
 費用の23%(1000円未満の端数切り捨て)を助成(ただし上限40万円)
●耐震改修に伴うリフォーム工事費
 費用の23%(1000円未満の端数切り捨て)を助成(ただし上限23万円)
上限額で見ると条件次第では、耐震診断に8万円、耐震改修(設計+改修工事+リフォーム工事)に68万円の補助金を受けることが可能になります。

また、「耐震改修促進税制」によって次の税金が安くなるという、うれしい制度もあります(諸条件に合致する家が対象)。
●所得税
耐震改修費もしくは耐震工事に係る耐震工事の標準費用のいずれか少ないほうの10%相当額が、その年の所得税額から最大25万円控除されます(対象:2019年6月30日までに工事を行った物件)
●固定資産税
改修費用が50万円以上かかった改修家屋の固定資産税額の2分の1が、1年間減額されます。
さらに、リフォームローンを組んだ場合、住宅ローン減税の対象となり、年末ローン残高の1%が10年間にわたり所得税から控除されます(工事費100万円超が対象)。

該当する建物に住んでいる方は、これらの制度をうまく利用して地震に備えたいもの。耐震診断と耐震改修補助制度の内容は自治体によって異なるので、ホームページや役所で調べましょう。

T邸はバリアフリー工事や断熱工事なども行うので、耐震改修工事費以外にも費用がかなり掛かることになりますが、住宅金融支援機構の「高齢者向け返済特例制度」付きリフォーム融資でまかなう予定です。この制度については次回の記事で詳しく紹介します。

耐震診断では家の何を見るの?

耐震リフォームを行うには、耐震診断で建物の細かい状況を把握する必要があります。
市川市が設けている「耐震診断助成制度」を利用することにしたT邸に、6月21日、耐震診断(精密診断)を行うため木造住宅耐震診断士が来訪しました。市川市役所建築指導課に登録されている木造住宅耐震診断士の会社から2社を選び、相見積もりをとって1社に絞り込み、依頼した会社です。

木造住宅耐震診断士による耐震診断では、周辺地盤の状態、建物の基礎の状態を確認した上で、天井裏から床下、壁裏まで細かく次の4点をチェックします。
(1)壁量 建物を支える壁である「耐力壁」の強度のこと
(2)劣化対策 雨やシロアリによる被害への対策(防腐防蟻処理薬剤塗布など)
(3)耐力壁のバランス 耐力壁の位置に偏りがないか
(4)柱の抜け防止 地震の揺れによって柱が抜けないような対策がなされているか

古い家は図面通りでないことがあったり、それまでに遭遇した災害の影響、増改築の有無によっても耐震性が左右されたりするので、細かいチェックが必要です。

【画像3】左/2階押入れの天井板を外して、天井裏を確認。ここでは筋交い(すじかい:柱と柱の間に斜めに入れて建築物や足場を補強する部材)の位置が図面通りになっているか、金物(くぎや接合金属)の施工がどうなっているか、雨漏りやシロアリの被害がないかを確認。右/同じく2階の天井裏をチェック(撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像3】左/2階押入れの天井板を外して、天井裏を確認。ここでは筋交い(すじかい:柱と柱の間に斜めに入れて建築物や足場を補強する部材)の位置が図面通りになっているか、金物(くぎや接合金属)の施工がどうなっているか、雨漏りやシロアリの被害がないかを確認。右/同じく2階の天井裏をチェック(撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像4】赤いレーザー光のラインをあて、柱の垂直具合を測ります。結果は高さ2m位置で12mmのずれが生じていました(撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像4】赤いレーザー光のラインをあて、柱の垂直具合を測ります。結果は高さ2m位置で12mmのずれが生じていました(撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像5】コンセントを抜いた穴から壁下地材、くぎのピッチや種類を確認(撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像5】コンセントを抜いた穴から壁下地材、くぎのピッチや種類を確認(撮影/SUUMOジャーナル編集部)


【画像6】2階和室の畳を上げ、2階と1階の間を確認(撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像6】2階和室の畳を上げ、2階と1階の間を確認(撮影/SUUMOジャーナル編集部)


【画像7】壁の垂直具合、床の水平具合を測る(撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像7】壁の垂直具合、床の水平具合を測る(撮影/SUUMOジャーナル編集部)


【画像8】1階キッチンの床下収納庫部分から、床下点検。基礎と土台など木部の劣化具合を見て、筋交いが図面通りかも確認(撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像8】1階キッチンの床下収納庫部分から、床下点検。基礎と土台など木部の劣化具合を見て、筋交いが図面通りかも確認(撮影/SUUMOジャーナル編集部)


【画像9】各部屋の開口部のサイズを測って、壁量を計算。仕上げ材によって建物の加重が変わるので壁と天井の素材も全てチェックします(撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像9】各部屋の開口部のサイズを測って、壁量を計算。仕上げ材によって建物の加重が変わるので壁と天井の素材も全てチェックします(撮影/SUUMOジャーナル編集部)

T邸の今回の耐震診断は3人で行い、3時間程度で終わりました。家の規模や図面の有無によって時間は左右されますが、大抵は半日で終わるとのこと。狭くて暗い中をのぞき込んだり、潜ったりと、計測・確認は細かくて大変な作業だと感じました。
こうして計測したデータを元にT邸の耐震性の総合評価が出され、それによって耐震改修の内容を固めていくことになります。耐震診断結果が出るまで1カ月から1カ月半ほどかかるので、その報告はまた次回に行います。

今回、耐震リフォームとバリアフリー化をすることで、ご両親が安心して快適に過ごせる家を目指すことにしたTさん。無事、耐震診断が終わり、結果を待つのみです。次回は耐震診断結果と高齢者向けのリフォームローン、具体的なリフォーム計画を紹介します。

●参考資料
・市川市「建築物の耐震診断・改修工事の助成に関して」
・一般財団法人 日本建築防災協会「誰でもできるわが家の耐震診断」●関連記事
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