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【医師解説】産後の頑固な便秘!その原因って何? 対処法はあるの?

目次

産後、便秘になったというママも多いのではないでしょうか?産後はホルモンバランスや生活の変化などによって、ママの身体は便秘になりやすくなります。そこで今回は産後の便秘について、原因と対処法を詳しく解説します。

この記事の執筆・監修ドクター 内科医成田亜希子先生 国立大学卒業後、内科医へ。保健所勤務経験もあり、感染症や医療行政、母子保健、精神保健などに精通。行政機関の一員として、妊婦さんやママからの相談にも乗ってきた。国立保健医療科学院、結核研究所などでも研修を積む。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会、日本健康教育学会所属。

産後は便秘になりやすい?産後便秘の原因

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長い妊娠期間を経てようやく出産を終えると、妊娠に伴って悩まされた様々な症状から解放されると思うママは多いはず。しかし、ママの身体や生活は産後も大きく変化し、妊娠中に悩まされた症状が引き続いたり、出産後新たな症状が現れたりすることも少なくありません。

なかでも、便秘は妊娠中・出産後を通して多くのママが悩まされる症状の一つです。では、出産後の便秘の原因にはどのようなものがあるのでしょうか?主に次のような原因が挙げられます。

産後便秘の原因(1)会陰の傷

出産時には狭い腟が産道となって押し広げられ、赤ちゃんが産まれてきます。このため、腟口と肛門の間の「会陰」が過度に引き伸ばされて裂けてしまうことがあります。これを「会陰裂傷」と呼びますが、あらかじめ会陰の一部を切開して裂けるのを防ぐ「会陰切開」が行われるのが一般的です。

いずれも、出産後には切開した部位や裂けてしまった部位を縫合する処置が行われます。傷口はしっかりと縫い合わされますので産後また裂けてしまうことはありませんが、排便時にいきむことで傷口が開いてしまうのでは…と心配になるママも多いようです。

また、傷口の痛みが強い場合は、排便時のいきみでさらに痛みが強くなったり、傷口がしみてしまうことも少なくありません。

これらによって、便意を我慢してしまうことで習慣的な便秘になってしまうことがあるのです。

産後便秘の原因(2)痔

痔は妊娠中から出産後まで多くのママを悩ませる症状の一つです。妊娠中は大きくなった子宮の圧迫により、肛門周囲の静脈はうっ血(血がたまる)しやすくなります。その結果、静脈の一部が瘤のように腫れて、いわゆる「いぼ痔」になることがあります。また、妊娠中にできた「いぼ痔」が出産によって巨大化することも少なくありません。

さらに、妊娠中に痔がなかったママも、出産による過剰ないきみによっていぼ痔になってしまうこともあります。

いぼ痔は排便時に非常に強い痛みを引き起こすため、便意を我慢して便秘になってしまうことが多々あります。また、便秘になると便が硬くなって切れ痔になりやすくなり、それが便意の我慢を助長して便秘を悪化させるケースも多々あります。

産後便秘の原因(3)水分不足

赤ちゃんを母乳で育てているママは、水分不足に注意が必要です。母乳はママの血液から作られているため、母乳を与えることでママの体内に蓄えられた水分は失われていきます。このため、母乳育児中のママは意識的に水分を多く摂らないと水分不足になりやすくなるのです。

水分不足の状態が続くと便は固くなるため、便秘を引き起こす原因になります。また、上で述べたように切れ痔を発症してさらに便秘が悪化することも多々あります。

産後便秘の原因(4)骨盤底筋の脆弱化

子宮や膀胱などの骨盤内の臓器を支えて、正しい位置にキープする役目を担う構造の一つに「骨盤底筋」が挙げられます。骨盤底筋は、肛門挙筋や会陰横筋、外肛門括約筋などいくつかの筋肉で構成されています。

この骨盤底筋は妊娠期間に大きくなった子宮を支える働きを担いますが、長期間にわたって過度な負担がかかることで、産後は筋肉が引き伸ばれて緩み、たるんだ状態となります。その結果、便の排出がうまくいかなくなって、便秘になることがあります。

骨盤底筋 骨盤の底でハンモックのように子宮や膀胱、腸などの内臓を支え、排尿や排便のコントロールを行います

産後便秘の原因(5)直腸瘤

直腸は大腸の最終部位であり、便が溜まると便意がもよおされる部位です。女性の直腸は腟の後方にあり、それぞれを隔てる壁が薄いという特徴があります。

出産によって骨盤底筋や腟の壁が弱くなることで、排便時に直腸に便が溜まって膨らむと、腟の壁に直腸の膨らみが触れる「直腸瘤」を発症することがあります。直腸瘤を発症すると、排便時にいきんでも便が瘤の内部に溜まって正常に排泄されにくくなるため、頑固な便秘になることがあります。便秘がちで、排便時に腟に違和感があるママは要注意です。

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女性のおしりの断面図(左:正常、右:直腸瘤) 直腸瘤ができると、赤矢印のように腟方面に便が押されてしまい、肛門から排泄されづらくなってしまう

産後便秘の原因(6)自律神経の乱れ

妊娠中は多くの女性ホルモンが分泌されていますが、出産後は急激に分泌量が低下します。それにより、ママには様々な不調が生じますが、そのひとつに自律神経の乱れが挙げられます。

自律神経は全身の様々な機能を調節する働きがあり、腸の動きも自律神経に調節されています。このため、自律神経の乱れが生じると、腸の動きが悪くなって便秘になりやすくなります。

また、産後は慣れない育児に追われて睡眠不足やストレスが溜まるママも多く、それが自律神経の乱れを引き起こす原因になることも少なくありません。

産後便秘の対処法

産後便秘の原因は様々ですが、日常生活の上では次のような対策が有用です。

産後便秘の対策(1)トイレにゆっくり座る時間を作る

産後は育児に忙しく、いつ赤ちゃんが泣きだすかわからないため、ゆっくりトイレに座る時間もないというママも多いのではないでしょうか?また、会陰の傷や痔の痛みでトイレに座るのすら怖い…というママもいるでしょう。

しかし、便意の我慢は便秘を引き起こし悪化させる原因になります。便意を感じた場合には我慢せずトイレに行くようにしましょう。また、便秘によって便意が生じない場合でも、1日に一度はトイレにゆっくり座って排便に挑む時間を作ることで、排便習慣を整えられることもあります。

産後便秘の対処法(2)水分と食物繊維を多く摂る

産後は慣れない育児で忙しい生活を送るママも多いと思いますが、妊娠中に引き続き食生活には十分に注意するようにしましょう。

特に、母乳育児をしているママは水分不足になりやすいので、こまめに水分を摂り、また、食物繊維が不足している人では、排便を促す作用のある食物繊維を摂るようにしましょう。

食物繊維のなかでも米や豆類に含まれる不溶性食物繊維は水に溶けず水分を吸収するもので、便のカサを増やし、腸の動きを促します。また、こんにゃくや海藻、果物などに含まれる水溶性食物繊維は便に溶け込んでやわらかくし、便が腸を通過しやすくすると言われています。

食物繊維は、成人女性(70歳未満)では1日18g以上[*1]摂ることが推奨されていますが、実際は女性は平均14g程度しか摂取していないと報告されています[*2]。

毎日の食事で食物繊維を増やすおすすめの方法は、主食に雑穀ごはんやライ麦パン、そばなどを取り入れること。また、しらたき、切り干し大根、さつまいも、かぼちゃ、ごぼう、たけのこ、ブロッコリー、モロヘイヤ、納豆、おから、しいたけ、ひじきなどは積極的に摂るようにしましょう。

ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌食品も腸内環境を整えて便通を促す効果がありますので、積極的に摂るようにしましょう。

産後便秘の対策(3)排便にかかわる筋肉の感覚をつかむ・鍛える

排便の際は、腹筋が便を排出する圧力を生み出すとともに、便が直腸を通れるように骨盤底筋が適切に緩むという動きが起こっています。妊娠や出産によって弱った骨盤底筋は便秘の大敵。産後はしっかり対策を行って弱った骨盤底筋を妊娠前の状態に戻すことが大切です。

骨盤底筋を元の状態に戻すには、エクササイズを行う必要があります。広く行われているのは「ケゲル体操」と呼ばれるエクササイズで、立ったり、座ったり、横になったり、リラックスして楽にできる体勢で、肛門と腟に力を入れて引き締め、そのまま5秒間キープして緩めるという動作を複数回繰り返すものです。

これ以外にも、座った状態で肛門に力を入れたり緩めたりすることで、恥骨直腸筋を緩めるコツをつかむという方法もあります。恥骨直腸筋は骨盤底筋の一種で、排便時にはこの筋肉が緩むことで便が排出されますが、逆に収縮してしまうことでうまく排便できなくなることもあります。

これらの訓練では単に筋肉を強化するだけでなく、筋肉の場所や締め方を意識でき、排泄の際の骨盤底筋の使い方を理解することもできます。

ただし、産後すぐは会陰の傷もあり、骨盤も非常に不安定な状態になっているので、産後に行う場合は、1か月健診で医師のチェックを受けてから始めるようにしましょう。

産後便秘の対策(4)家族と協力してゆっくり休む

産後のママはほぼ24時間付きっ切りで赤ちゃんのお世話をしなければならなくなります。しかし、家族と協力してママがゆっくり休める時間をできるだけ作るようにしましょう。

妊娠・出産によってママの身体は思った以上に様々なダメージを受けています。無理をすると自律神経の乱れなどを引き起こして便秘になりやすくなるだけでなく、長引く心身の不調の原因になることもありますので注意しましょう。

日常生活での対処法でも改善しない場合は…

便秘は放っておくと、腹痛や腹部膨満感、吐き気など様々な不快症状を引き起こすばかりでなく、痔の発症・悪化の原因となります。育児に支障を来たすことも少なくありませんので、上記のような対策を行っても便秘が続くときには病院に相談して下剤を処方してもらうのも一つの方法です。

下剤は市販されていますが、なかには大腸を刺激して排便を促すタイプの下剤のように飲み続けるとクセになって下剤が手放せなくなってしまうものもありますので、自己判断で使用せずまずは医師に相談することが大切です。

まとめ

産後は様々な原因で便秘になりやすいものです。多くは今回ご紹介した日常生活上の対処法で改善しますが、なかなか改善しない場合はひどくなる前に受診して、それぞれに適した治療を受けるようにしましょう。

(執筆・監修:成田亜希子先生)

※画像はイメージです


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マイナビウーマン子育て

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