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“暖房をつけても寒い”は家に問題が! 解決策は「住まいの温活」

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当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

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“暖房をつけても寒い”は家に問題が! 解決策は「住まいの温活」

寒さが本格化するこの季節。思わず暖房をガンガン効かせたくなるけど、光熱費がかさむし、地球にも優しくない。そこで考えたいのが、住まいそのものを寒さから守ること。外の寒さを閉め出し、暖かさを逃さない家にする「住まいの温活」の方法について、断熱リフォームからDIYの方法まで、旭ファイバーグラス株式会社渉外技術担当部長の布井 洋二さんに話を聞いた。
暖房しても寒いのは、暖房の熱が外に逃げているから

冬、家の中を暖房しても寒いのは、なぜだろうか? それは、暖房の熱が外に逃げてしまうから。一戸建ての場合、暖房の熱は、窓などの開口部や外壁、床や屋根から失われてしまい、特に開口部からの流失は58%に上るというデータもある。せっかく暖房をつけても、窓や壁、床や屋根から、暖かさが逃げてしまうのだ。

では、どんな家なら、熱を外に逃さないのか。よく言われるのは、「家全体をくるむように断熱する」ということ。気密性を高め、隙間なく断熱することで、熱に逃げる隙を与えないのだ。そこで、開口部や壁、床、屋根など、外気に面していたり、土と接していたりする部分ごとに断熱を施すことになる。

すでに住んでいる家でも、断熱材を追加で施工したり、窓を替えたりする「断熱リフォーム」によって、断熱性能をアップすることは可能。一戸建て、マンションそれぞれについて、その方法を布井さんに聞いてみた。

冬、外気がマイナス2.6度のとき、18度に暖房した部屋から外に逃げていく熱の割合は、開口部(窓)が58%と最大。外壁や換気による流失が15%ずつあり、床や屋根からも熱が失われている(一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会HPより転載)

冬、外気がマイナス2.6度のとき、18度に暖房した部屋から外に逃げていく熱の割合は、開口部(窓)が58%と最大。外壁や換気による流失が15%ずつあり、床や屋根からも熱が失われている(一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会HPより転載)

2月の東京で、断熱材なしの一戸建てと断熱材100mmを施工した一戸建て(ともに窓は無断熱・単板ガラス)を設定20度で暖房した場合を比べると、断熱材なしのケースでは1日に逃げる熱の合計が断熱したときの約3倍だ(一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会HPより転載)

2月の東京で、断熱材なしの一戸建てと断熱材100mmを施工した一戸建て(ともに窓は無断熱・単板ガラス)を設定20度で暖房した場合を比べると、断熱材なしのケースでは1日に逃げる熱の合計が断熱したときの約3倍だ(一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会HPより転載)

一戸建ての断熱リフォーム費は数十万円から数百万円程度に

まず、一戸建て。簡易な方法としては、1.最下階の床下に断熱材を施工する「床断熱」、2.天井裏から吹込み断熱施工を行う「天井断熱」、3.内側、あるいは外側から断熱材を施工する「壁断熱」、4.今の窓の内側に内窓を設置することによる「窓の断熱」、この4つの部位の断熱が挙げられる。

このうち、床(最下階床)、天井、壁(外壁)それぞれを断熱リフォームした場合の費用の目安は下図の試算例が参考になる。昭和55年省エネルギー基準世代の築25~20年前後、床面積135平米の一戸建ての場合、天井にグラスウールを吹込み断熱する「天井断熱」だと1棟36万円。最下階の床下にグラスウールを充填すると「床断熱」だと同101万円、外壁に外側から断熱材を張り付ける外張付加断熱工法による「壁断熱」だと同387万円となっている。

「壁の断熱については、内張断熱工法も。断熱材にもよりますが、1平米あたり2万~5万円ほどかかるようです。得られる断熱性能は今の省エネ基準以下となるケースが多いでしょう」(布井さん)

窓の断熱にかかる費用は、内側に設置する内窓次第。標準的な掃き出し窓の場合、一間分に複層ガラス(数枚の板ガラスの間に乾燥空気やガスなどが封入された窓)を取り付けると、材料費・工事費で6万円台。腰高窓の場合は、3万円台が目安となる(いずれも取り付けや進入に障害がなかった場合)。例えば、1階の掃き出し窓二間分と腰高窓二間分、2階の掃き出し窓二間分と腰高窓五間分に内窓を設置するなら、トータル約50万円という計算だ。

「さらに念入りに断熱するなら、部位ごとの断熱を組み合わせます。例えば、1階のLDKに床断熱と窓の断熱を、2階の寝室に天井と窓の断熱を施す、といった具合です。さらに大掛かりなものとなると、建具や仕上材をはがしてから行うスケルトンリフォームしかないと思われますが、廃棄物の処理を含めてかなりの高額に。規模にもよりますが、一戸建てを新築するよりも数百万円安いくらいの金額、つまり1000万円を超えるレベルでないと、工事を引き受けるリフォーム会社はないように思われます」(布井さん)

(出典:「住宅・すまいweb 環境とすまい・まち」断熱改修のすすめ・戸建住宅編 (社) 住宅生産団体連合会、(株)岩村アトリエ/一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会HPより転載)

(出典:「住宅・すまいweb 環境とすまい・まち」断熱改修のすすめ・戸建住宅編 (社)
住宅生産団体連合会、(株)岩村アトリエ/一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会HPより転載)

〈試算条件〉
築25~20年前後の住宅モデル
1982~1991年(昭和55年省エネルギー基準世代)
延床面積:135平米(1階:80平米 、2階:55平米 )
改修費用:平米単価(消費税別)および1棟あたりの費用(消費税込み)を算出
〈年代相応の断熱仕様(リフォーム前)〉
天井:グラスウール10K 50mm
外壁:グラスウール10K 50mm
開口部:アルミサッシ+単板ガラス
床:押出法ポリスチレンフォーム保温板1種 20mm
(*平成25年省エネ基準の6地域を想定)

高断熱住宅なら、エアコン1~2台で十分な暖かさが得られる

次に、マンション。簡易なやり方としては、一戸建てと同様、1.外に面している壁を内側から断熱する内張断熱工法による「壁断熱」、2.今の窓の内側に内窓を設置することによる「窓の断熱」がある。窓の断熱については、一戸建てと同程度と考えられるだろう。

「大掛かりな断熱リフォームは、大規模修繕と併せて実施するケースが多く、屋上断熱防水工事や、妻壁(建物の短い方の辺の壁)の外断熱改修などを、マンション全体で行うことになります」(布井さん)

なお、一戸建て・マンションのいずれのリフォームでも、床暖房を設置することは少なくない。床暖房の設置も、住まいの「温活」の手段となり得るだろうか?

「床暖房も一つの手段です。ただし、断熱性能や気密性能が十分でないと、効果は限定的。床の表面温度だけが上がっても、隙間から冷気流を感じたり、窓や壁の表面温度が低いままだと、冷放射を受けて寒く感じてしまうからです。また、床暖房の下側を断熱していないと、せっかくの熱が基礎や地盤面に奪われてしまい、非効率。光熱費もかさんでしまいます」(布井さん)

加えて、HEAT20(2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会)が定める断熱性能基準「G2」、などの高断熱住宅で、冬季に昼間の日射が期待できる場合は、ごくわずかの暖房エネルギーでまかなえるので、床暖房がなくても十分温かいケースもあり得るとのこと。また、「G2」よりワンランク下の「G1」クラスや省エネ基準レベルの住宅の場合、エアコンを併用する形で床暖房を用いるケースも多いが、前述の「G2」以上の断熱性能があれば、容量の小さなエアコン1~2台だけ(床下エアコンも含む)あれば、床暖房がなくても十分なケースも多いそう。もちろん、プランや周りの状況によるということだが。

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

リフォームしなくても手軽なDIYによる“セルフ温活”が可能

「断熱リフォームに効果があることは分かったけど、とてもそこまではできない」という場合は、ちょっとした工夫や自分でできるプチDIYを試してみよう。

「家の中で一番、熱の逃げ道となっている『窓』の対策が効果的です。例えば、緩衝材の『プチプチ』や、中空のポリカーボネート板を窓ガラスや窓枠の内側に張るといったやり方があります。ただし、見栄えが悪く、気密性の向上も望めないので、効果は限定的。気密性を高めるためには、パッキンなどの交換も効果がありますが、自分でやるのは難しいかもしれません」(布井さん)

カーテンを厚手のものや遮熱カーテンに替えるといった方法も。また、床にホットカーペットやラグを敷いたり、フローリングに薄手の畳を載せることでも、暖かさを体感できる。ドアの隙間に張る隙間テープで冷気流を防ぐこともできるが、この場合は、換気のためにドアの下の部分を欠き取る『アンダーカット』が施されていることもあるので要注意。手間や材料費、見た目の悪さなどのデメリットも検討した上で、効果的なやり方をぜひ上手に暮らしに取り入れたい。

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

中空ポリカーボネート板や「プチプチ」は、ホームセンターなどで手に入る(写真/PIXTA)

中空ポリカーボネート板や「プチプチ」は、ホームセンターなどで手に入る(写真/PIXTA)

高断熱リフォームなら次世代ポイント制度の対象になる

これから住宅を購入しようという人なら、あらかじめ高断熱の住まいを選ぶのも「温活」のひとつかもしれない。

「日本では、高断熱住宅であることの公的な認定制度は、『BELS』や省エネ基準レベルの断熱性能が最高等級の『住宅性能表示』しかありません。ただ、外皮性能(室内から屋外に逃げる熱の量の合計を、外壁や屋根など外皮の面積で割って算出した値。UA値)の良さは、一つの目安にはなると思います。公的ではありませんが、HEAT20の『G1』『G2』や、ほぼ同じレベルの外皮性能の必要なZEHの『強化外皮基準』『更なる強化外皮基準』などが参考になるでしょう。また『BELS』では、『外皮基準』として外皮性能(UA値)の数値も表示されているので、その数値が自分の地域のHEAT20のG1・G2レベル相当かどうかを比較するのも良いでしょう」(布井さん)

2019年10月の消費税率引き上げに伴い、一定の省エネ性能を満たす住宅の新築やリフォームに対して、さまざまな商品と交換できるポイントを発行する「次世代住宅ポイント」制度もスタートしている。「長期優良住宅」「ZEH」などの認定住宅など一定の条件を満たした新築住宅を購入した場合に加えて、リフォームで「開口部の断熱改修」「外壁、屋根・天井または床の断熱改修」を行った場合も対象に。期限があるので、利用を希望するなら、早めの検討・着手が必要だ。

「温活」した高断熱住宅で得られる自然な暖かさ

「住まいの温活」は、家の中を暖かくて居心地の良い空間にするだけでなく、室内の温度差を解消してヒートショックを防いだり、光熱費が節約できたりといったメリットもあるし、夏の暑さも和らげてくれる。
「ただし、こうしたメリットを享受するには、断熱性だけでなく、気密性も高める必要があります。隙間があり、気密性の低い家は、まるで穴の空いたセーターや布団のようなものですから」(布井さん)。
だからこそ、断熱性とセットで気密性の高い住宅の暖かさは格別なのだという。
「HEAT20の『G2』クラス相当かそれ以上の家を訪れると、暖かさを実感するというよりも、ふんわりとした暖かさのおかげで、暖かさ自体を忘れてしまいます。高断熱の家とはそんな空間なのです」(布井さん)
 
布井さんは、HEAT20のサポート委員として、日本の住宅の方向性を示す取り組みにかかわっている。
「省エネ性能に優れた住宅の生産を促す『トップランナー』制度の対象拡大や、省エネ基準の説明の義務化により、これからは、省エネ基準が、最低限、満たすべきレベルとなりますが、このレベルだと、家の中で部分的に暖房を付けたり消したりする程度では、暖房していない空間はかなり低温になり、ヒートショックなどのリスクは残ります。一方、HEAT20の『G2』クラスの断熱性能を備えた住宅は、わずかな光熱費で全館暖房が可能になるので、家の中の温度差が小さく、健康的で快適な空間に。断熱リフォームを行うのであれば、ぜひ『G2』レベルを目指していただきたいですね」という布井さんのメッセージでこの記事を締めくくりたい。

●参考サイト
HEAT20(2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会)
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