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お墓は必要? 将来どうする? 漫画で「墓活(はかかつ)」を考えよう

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当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

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お墓は必要? 将来どうする? 漫画で「墓活(はかかつ)」を考えよう

お墓って、先祖代々のもの。自分もそこに入り、子孫が弔ってくれるってイメージ。でも、「子どもは女子だけで嫁いで姓も変わってしまった」「お墓が田舎にあって管理が難しい」「一生独身を楽しむ予定」など、時代とともに必ずしも先祖代々の墓を継いでくれる人がいるとは限らない状況も増えているようだ。どうすればいいか答えが見つからず、結果的に面倒くさいお墓まわりの諸問題。「でも本当はいろんな解決法があるんだよ」、と漫画家・井上ミノルさんは『まんが 墓活』(140B 刊)で描く。少子化、人口減少、非婚の進むニッポン。現生の住宅と同じようにあちらのお家も多様化が進む。井上ミノルさんに、漫画に込めた思いを聞いた。
「代々墓」は続かない。でも選択肢はいっぱいあるお墓事情『まんが 墓活』(井上ミノル 著、140B 刊)

『まんが 墓活』(井上ミノル 著、140B 刊)

終活、墓じまい、墓友。どれもが、最近よく耳にする言葉だ。では、本のタイトルにある「墓活」とは、どういう意味なのだろうか。

「墓活とは、ご先祖の墓を移す墓じまいのことだけを指す言葉ではない、と考えています。自分自身と縁で結ばれた方を偲ぶ場所としてのお墓をどうするのか、まず、みんなで考えること自体が墓活だと思います」(井上ミノルさん:以下同)

「そもそも、幕府が統治制度として寺請制度を創設し、檀家、菩提寺という仕組みができました。また、先祖代々の墓という形も、そんなに長い歴史のあるものではないのです。明治になるまでは庶民には姓すらなかったわけで、江戸後期までは地域の集団墓や共同墓、または個人墓が普通だったようです。代々墓は明治期に制定された家長制度(家制度)のもとで一般化した形態だと思われます」

「わたしのお墓」のページより(画像提供/140B)

「わたしのお墓」のページより(画像提供/140B)

家長制度がなくなった時点で、代々墓のシステムが続かないのは、自然な話だと井上さんは言う。
本に紹介されているのは、みんながイメージで描く「代々墓」から離れた、新しいお墓の形だ。姓の違った者同士が入る合同墓や、夫婦だけのお墓など。お墓と呼べるものだけではない。納骨堂や、永代供養、散骨まで。仏像の内部にお骨を納めて供養する「お骨仏(こつぶつ)」まで紹介されている。

故人を悼み敬うお墓の形は、どんどん変わってバリエーションも増えてきているという。しかもお墓に入るのは、家を単位としたつながりだけではない。実際に宗教関係者の話として、「誰と入ろうが自由だと、お話しします。姓がちがっても、友人同士でも、同性のパートナーでも一緒のお墓に入ればいいと」

「気の合う仲間と墓を建てるのアリですか?」のページより(画像提供/140B)

「気の合う仲間と墓を建てるのアリですか?」のページより(画像提供/140B)

江戸時代から檀家制度のもと、お墓を守ってきたお寺も変わってきている。漫画の執筆にあたり、さまざま種類のお墓や、お寺の住職、宗教関係者などに取材を重ねたという井上さんが特に印象に残ったお寺のお墓は?と尋ねると、「大阪の堺にある由緒ある古寺・月蔵寺(がつぞうじ)の永代供養墓です」とのこと。「大阪芸大の先生が設計した空間は、水が流れ季節の草木に囲まれたデザインで、亡くなった人を偲びながら心地よく過ごすというイメージです。なんといっても自然と調和した明るく楽しい空間で、これなら人も集まりやすいだろうなぁって」。そこでは、法要だけではなくコンサートやイベントも催され多くの人が集まるという。

このお寺では、宗派を問わず受け入れている。「人が集まって気軽にご先祖様に会いに来ることができる場所でありたいと、住職さんは語ってくれました。お寺というのは、もともと地域のコミュニティのような存在だったのだと気付かされました」

本の中で数多く紹介されているように、お寺も宗派も超えてより開かれたものへと、変わってきているようだ。

堺市「月蔵寺」紹介ページより(画像提供/140B)

堺市「月蔵寺」紹介ページより(画像提供/140B)

堺市「月蔵寺」紹介ページより(画像提供/140B)

堺市「月蔵寺」紹介ページより(画像提供/140B)

堺市「月蔵寺」紹介ページより(画像提供/140B)

堺市「月蔵寺」紹介ページより(画像提供/140B)

生きている人のために、「墓活」を考える

実際には思ったより自由で、選択肢が広がる墓活。井上さんに聞いた。究極、墓は要らない?
「お墓の前でおじいちゃんはこんな人だったんだよ。あの人はね、これが好きでね。と子どもたちに話ができる。そういう場所として、お墓はとても大切だと思うのです。でも、家だけを重視したつながりで、お墓を維持していこうとするならば、どこかで無理が生まれます。家という枠を超えて、自分につながる人を悼み、敬う場所は必要。なくならないと思います」

現実問題として、受け継ぐ人がいない、お墓を維持することに負担を感じると悩む人が多い。
「お墓という言葉や形にこだわらず、自分自身と深い縁で結ばれた人を悼み、敬う場所は、生きている人のためにあると思えばどうでしょう。日本では地域によっては、墓前で先祖に思いをはせながらお酒を酌み交わし、楽しむ葬礼文化も残っています。埋葬は、動物にはない人間の人間たるゆえんと、宗教学者の釈 徹宗(しゃくてっしゅう)先生もおっしゃっていました。だから、負担にならない方法で、面倒くさくない方法で、弔いを考えることが大事なのだと思います。ややこしい先入観を捨てて」

著者:井上ミノルさん(写真撮影/140B)

著者:井上ミノルさん(写真撮影/140B)

実に多彩な墓活。その選択に当たっては家族や親類縁者でも、それぞれ意見が異なってくることも多い。では、どうやって決めたらいいのか。

「永代供養墓も納骨堂も樹木墓地も、散骨も、実際にみんなで行って、話を聞いて、感じてみることです。素敵だなとか、あ、これはなんか違うなあとか」

お墓の引越しも、当然アリだと話す。「生活の場所が変わり、遠くへお参りに行くのを負担に感じたり、今のお墓が縁遠くなったら、お墓も引越しです。一度決めたら永遠に守り続けなければ、という考えも捨ててみてください」。現生の住宅と同じ、ライフスタイルに合わせてあちらのお家も考えるということか。

ただ、墓じまいをしようとすれば、役所に届けが必要であったり、日本ではお墓に関しては、法律によってさまざまな規制に守られている。散骨するにしても、どこに撒いてもいいというものでもない。そこは、よく注意してほしいと、井上さんは言う。

普段は話題にすることもはばかられる「お墓」の話。避けて通るのはなく、明るく家族みんなで話し合う。楽しいイラストで綴られた『まんが 墓活』がそのきっかけになれば、と井上さんは語った。

●取材協力
井上ミノル
イラストレーター&漫画家。神戸市生まれ。2000年にイラストレーターとしてデビュー。生来の国文好きを活かして、2013年にコミックエッセイ『もしも紫式部が大企業のOLだったなら』を刊行。続いて『もしも真田幸村が中小企業の社長だったなら』『こどもが探せる川原や海辺のきれいな石の図鑑』(以上、創元社)などを上梓。専門的で難しいことも、おもしろくて分かりやすいイラストで描くことでは定評がある。好奇心旺盛でお酒好きの二女の母。
Twitter●株式会社140B(イチヨンマルビ-)
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