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特別償却準備金とは?押さえておきたい仕組み&処理の仕方をFPがわかりやすく解説!

目次

中小企業が設備投資で一定の固定資産を購入する場合、特別償却が認められることがあります。特別償却には複数の処理方法があり、特別償却準備金を積み立てることも可能です。

特別償却準備金について理解しておくと、設備投資を行う際に業績への影響を最小限に抑えられます。今回は、特別償却準備金の仕組みや処理の仕方、注意点などについて詳しく解説します。

特別償却準備金とは

特別償却準備金とは

まずは特別償却準備金の前提となる特別償却について確認した後に、特別償却準備金の仕組みを説明します。

特別償却とは

特別償却とは、税制措置の適用対象となる固定資産を購入して事業の用に供したときに、通常の減価償却費(普通償却費)と併せて特別償却費を計上できる制度です。特別償却は政策上の観点から租税特別措置法において認められており、幅広い業種に適用されます。

特別償却は、購入年度に多くの減価償却費を計上することで利益が抑えられるため、節税効果が期待できるのがメリットです。

特別償却には、購入年度に一度だけ計上できる「初年度一時償却」と、一定期間にわたって計上できる「割増償却」があります。初年度一時償却は「取得価額の30%」のように特別償却率が決まっており、取得価額の全額を償却できる「即時償却」が認められることもあります。

特別償却準備金の仕組み

特別償却準備金とは、特別償却の適用を受けるときに積み立てる準備金です。特別償却は複数の処理方法があり、通常の減価償却費と同じように処理する方法のほかに、特別償却準備金を積み立てる方法もあります。

特別償却準備金の積立額は、翌年以降に一定期間にわたって益金(法人税法上の利益)に算入されます。具体的な処理方法については、後ほど詳しく説明します。

特別償却の対象資産と計算方法

特別償却の対象資産と計算方法

対象資産

設備投資で特別償却が認められる資産は、税制措置の内容によって異なります。特別償却の主な対象資産は以下のとおりです。

建物附属設備
機械装置
工具器具備品
ソフトウエア

特別償却の適用条件として「1台100万円以上」など、対象資産ごとに取得価額の基準が設けられています。

https://manetasu.jp/1287014

特別償却が利用できる主な税制措置

具体的にどのような設備投資を行うと特別償却が認められるか、気になるのではないでしょうか。特別償却が利用できる主な税制措置をまとめました(2020年7月現在)。

中小企業投資促進税制
中小企業経営強化税制
商業・サービス業・農林水産業活性化税制
地域未来投資促進税制

いずれも対象者は青色申告を行う中小企業者(資本金1億円以下)および個人事業主で、幅広い業種に適用されます。

計算方法

特別償却準備金の積立額は特別償却額と同額ですが、特別償却額は税制措置の内容によって異なります。たとえば、設備投資で機械装置を100万円購入するときに、特別償却率が30%であれば、積立額は30万円(100万円×30%)です。

即時償却が認められる場合は、取得価額100万円を全額償却できます。ただし、特別償却準備金の積立額は、取得価額から普通償却費を差し引いた金額になります。

特別償却準備金の効果と注意点

特別償却準備金の効果と注意点

ここでは、特別償却準備金を積み立てることによって得られる効果と注意点について解説します。

節税効果が期待できる

特別償却準備金の積立額は、税務上損金(必要経費)に算入されます。対象資産を購入した年度の課税所得を圧縮する効果があるため、法人税や所得税の節税につながります。

特別償却をうまく活用すれば、設備投資を行った年度の税負担を軽減できるでしょう。ただし、特別償却はあくまでも課税の繰り延べであり、早期に償却することで課税される時期を後回しにしているに過ぎません。

長期的には、特別償却を行うか行わないかで減価償却の合計額が変わるわけではないので、注意が必要です。

税額控除を選択したほうが有利なケースも

税額控除とは、本来納めるべき税額から一定額を差し引いて納付できる制度のことです。たとえば、納めるべき法人税が100万円のときに「7%の税額控除」が認められる場合、法人税は7万円(100万円×7%)安くなり、納付額は93万円(100万円‐7万円)で済みます。

税制措置が適用される場合、特別償却と税額控除を選択できることもあります。税額控除を選んでも普通償却はできるため、基本的には税額控除を選ぶほうが有利です。

ただし、特別償却と税額控除のどちらが有利かは状況によって異なるので、自分で判断できない場合は税理士などの専門家に相談しましょう。

https://manetasu.jp/1287786

特別償却準備金の処理の仕方(仕訳)

特別償却準備金の処理の仕方(仕訳)

特別償却準備金の会計処理(仕訳)方法は、「通常方式」「準備金方式」「剰余金処分方式」の3つがあります。ここでは、それぞれの仕訳の具体例を示したうえで、特別償却準備金の会計上の表示区分と法人税法上の取り扱いについて説明します。

通常方式(損金経理)

通常方式とは、特別償却費を普通償却費に含めて損金経理する方法です。たとえば、機械装置を300万円で購入して特別償却費90万円、普通償却費30万円を計上する場合の仕訳は以下のとおりです。

借方
貸方

減価償却費 120万円
機械装置 120万円
(減価償却累計額 120万円)

通常方式は特別償却準備金を積み立てないため、翌年以降に必要な処理はありません。

準備金方式(損金経理)

準備金方式とは、特別償却費を減価償却として損金経理し、特別償却準備金を積み立てる方法です。通常方式で示した具体例について、準備金方式では以下のように仕訳します。

借方
貸方

減価償却費 120万円
特別償却準備金(負債) 90万円

機械装置 30万円
(減価償却累計額 30万円)

積み立てた特別償却準備金は、翌事業年度から一定期間にわたって均等額を取り崩し(戻入)、益金に算入されます。

剰余金処分方式

剰余金処分方式とは、剰余金処分によって特別償却準備金を積み立てる方法です。特別償却費を損金経理(費用計上)しないので、設備投資を行った年度に計上する費用が抑えられ、会計上の赤字を回避できるのがメリットです。

通常方式・準備金方式で示した具体例にについて、剰余金処分方式では以下のように仕訳します。

借方
貸方

繰越利益剰余金 90万円
特別償却準備金(純資産) 90万円

減価償却費 30万円
機械装置 30万円
(減価償却累計額 30万円)

積み立てた特別償却準備金は法人税の申告書で税務調整を行い、損金に算入されます。また、準備金方式と同じく、翌事業年度から一定期間にわたって均等額を取り崩して益金に算入されます。

会計上の表示区分

準備金方式の場合、特別償却準備金は貸借対照表の負債の部に計上されます。一方、剰余金処分方式の場合は、貸借対照表の純資産の部に計上されます。

特別償却準備金は、処理方法によって貸借対照表の表示区分が変わってくるので注意が必要です。

法人税法上の取り扱い

特別償却準備金は、特別償却が適用される事業年度に損金に算入されます。剰余金処分方式は損金経理ではないため、申告書で税務調整を行い、損金に算入する必要があります。

また、特別償却準備金は、原則として積み立てた翌事業年度から以下の期間で均等額を取り崩し、益金に算入されます。

法定耐用年数が10年以上のもの:7年間
法定耐用年数が5年以上10年未満のもの:5年間
上記以外のもの:法定耐用年数に相当する期間

特別償却準備金に関するまとめ

設備投資を行う場合、特別償却を活用すれば購入年度の税負担を軽減できますが、多くの減価償却費を計上すると赤字になり、資金調達や取引に影響が出るかもしれません。

剰余金処分方式で特別償却準備金を積み立てれば、会計上の費用が抑えられるので、赤字を回避できる可能性があります。特別償却を利用する際は、この記事で紹介した3つの会計処理方法をうまく使い分けましょう。


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この記事の著者

マネタス

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