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スマホ一つで銀行口座のお金を入出金できる便利なネットバンキングですが、安全性に問題はないのでしょうか?
本記事では、ネットバンキングの安全性についてお伝えするとともに、利用する際のメリット・デメリット、注意点などを解説していきます。
ネットバンキングとは、口座開設した金融機関でシステムが導入されている場合、利用申し込みをすることによってオンライン上で残高照会や口座間の振込などが可能になるものです。
ネット上でお金を動かすシステムのため、現金を預けたり引き出したりといったことはできませんが、金融機関の口座と紐づけたデビットカードやクレジットカードを持っていれば、金融機関の窓口やATMに行くことなく生活することもできます。
しかし、スマートフォン一つで入出金できてしまう手軽さから、セキュリティ面で怖いと感じてしまう方も少なくないようです。
ネット銀行とネットバンキングは混同されやすいですが、実際には全く異なるものを指す言葉です。
まず、ネット銀行は店舗を持たずネット上でのみサービスを提供する金融機関のことを指します。一方、ネットバンキングとは店舗を持つ従来の金融機関が提供するインターネット取引サービスの総称です。
実際にインターネットバンキングを狙った犯行は多発しており、警察庁によると、2019年10月のインターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生件数は397件、被害総額は5億1,900万円です。また、11月の発生件数は573件、被害総額は7億7,600万円だったそうです。
ネットバンキングは便利なものですが、こうしたリスクもあることを理解しておくことが大切だといえるでしょう。
上記のようなネットバンキングを狙った犯罪を防止するため、金融機関側もさまざまな方法で対策を講じています。
ワンタイムパスワードとは、取引の都度変わるパスワードのことで、これによって他者によるIDやパスワードの悪用を防ぐことができます。
ワンタイムパスワードはメールで送られてくるものや、スマホアプリで生成されるものなどさまざまです。
ハードウェアとしてのキーボードからの入力だと、暗証番号やパスワードを盗むスパイウェアに盗まれる危険性があります。その対策として、ソフトウェアキーボードは画面上にキーボードを表示してパスワードを入力させる方法です。
ネットバンキングにログインしたまま一定期間操作がない場合に、自動的にログアウトする機能です。ログアウトしないまま離席してしまったようなケースで、他人に操作されることを防ぐことができます。
ネットバンキングを利用するメリットには以下のようなものがあります。
時間を節約できる
手数料が安い
ATMが空いていない時間も利用できる
小さなことでも確認できる
手軽に定期預金を作れる
過失がなければ不正引き出しは全額補償される
それぞれ見ていきましょう。
ネットバンキングは、インターネット回線につながったスマホやPCがあればどこにいても手続きできます。
通常、金融機関の口座からお金を入出金したり、振込したりするには、金融機関の窓口やATMに行ったりする必要があります。
これには、まず金融機関の窓口やATMに行くまでの時間がかかってしまいますし、行った先でも自分の番が来るまで並ぶ必要があったり、手続き自体に時間がかかったりします。ネットバンキングであればこうした心配はありません。
一般的に、ネットバンキングの手数料は、金融機関の窓口やATMで手続きするのと比べて安く設定されています。これは、金融機関側にとっても人件費を割かなくていいというメリットがあるからです。
そもそも、金融機関の窓口で手続きするのとATMで手続きするのとでは、ATMで手続きするほうが手数料が安いのが一般的です。さらにネットバンキングであれば、ATM以上に安い手数料で利用できます。
例えば、みずほ銀行の振込手数料(みずほ銀行の同一支店内で3万円以上振込する場合)を見てみると、以下のようになっています。
窓口:660円
ATM(キャッシュカード):220円
ネットバンキング:0円
1回の利用は数百円程度ですが、これが月に何回も振込するような場合には、手数料だけでも結構な金額になってしまうでしょう。
https://manetasu.jp/1268516
金融機関の窓口の場合、通常は平日9時~15時の間で利用しないといけませんし、ATMであっても利用できない時間帯があることが多いです。一方、ネットバンキングはネットにつながりさえすれば、24時間いつでも利用できます。
特に土日休みのサラリーマンの方の場合、平日は仕事でATMに寄りにくいという方も多いでしょうから、この点は大きなメリットになるのではないでしょうか。
通常、口座に入金があるかどうかなどを確認するには、金融機関の窓口やATMに行って通帳を記帳する必要があります。しかし、ネットバンキングであれば、いつでも見たいときに口座の内容を確認することができます。
これにより、例えば今日振込の入金があるなど、わざわざ口座を記帳するほどではないけれど内容を確認したいような小さなことでもすぐに確認できる点は、ネットバンキングのメリットの一つだといえるでしょう。
ネットバンキングのメリットの一つとして、気軽に定期預金を作れることも挙げられます。定期預金は一定期間お金を預けると約束することで、普通預金の金利より高い金利で利用できる口座のことです。
ネットバンキングであればオンライン上で気軽に定期預金を作れるため、しばらく使わない予定のお金は定期預金に預けてしまうとよいでしょう。
特に、メガバンクや地方銀行など一般的な金融機関の定期預金と比べて、ネット銀行(のネットバンキングで作れる定期預金)は高金利で設定されていることも少なくなく、こうした点からもおすすめです。
一定期間預けることを約束するとはいえ、仮に必要となったときは解約も可能で、この場合のペナルティは定期預金の金利を受け取れないということだけです。
ネットバンキングでは不正引き出しの犯罪が多発していることをお伝えしました。
もちろん、不正に遭わないに越したことはありませんが、仮に不正引き出しに合ったとしても、利用者側に過失がなければ全額補償されるという発表がなされています。
ただし、補償を受けるためには銀行へ速やかに通知したうえで内容を説明し、捜査当局に事情説明することが必要です(被害発生日の30日後までに銀行への通知が行われない場合には補償は行われません)。
ネットバンキングを利用する際のデメリットとしては以下のようなことがあるでしょう。
IDやパスワードを忘れると自分でも利用できなくなる
IDやパスワードの管理が難しい
IDやパスワードの再設定が手間
不正送金被害に遭うリスクがある
以下でそれぞれ解説します。
まず、ネットバンキングを利用するにはIDやパスワードを入力する必要がありますが、このIDやパスワードを忘れると自分でも取引できなくなってしまいます。
特に複数の金融機関でネットバンキングを利用するようなケースでは、どの金融機関でどのID、パスワードを利用していたかといったことをしっかり分けて管理する必要があります。
ネットバンキングのIDやパスワードを万が一他人に見られてしまったら、口座に預けたお金を出金されてしまうリスクがあるため、慎重に管理する必要があります。
先ほど、利用者に過失がない場合の出金については全額補償されるとお伝えしましたが、分かりやすい場所にIDやパスワードを書いていたようなケースでは、利用者側に過失があると見られる可能性もあるでしょう。
利用者側に過失があった場合は、どの程度補償を受けられるか個別に判断されることになります。
IDやパスワードを忘れてしまったり、誤った内容を複数回入力してしまったりしたケースでは、IDやパスワードを再設定する必要があります。
ネットバンキングのID、パスワードは慎重に取り扱わないといけないものですので、再設定の際にも金融機関のコールセンターに連絡して本人であることを確認したうえで手続きを進める必要があるなど、何かと手間がかかってしまいます。
何度かお伝えしているとおり、ネットバンキングでは不正送金被害に遭うリスクがあり、この点もデメリットだといえるでしょう。
もちろん、ほとんどの方がこうした不正に遭わずに普通に利用しているでしょうし、仮に不正に遭ったとしても利用者に過失がなければ全額補償されますが、実際に不正送金があるという事例を見てしまうと不安に感じる方も少なくないはずです。
https://manetasu.jp/1267728
ネットバンキングは多くのメリットがありますし、多くの金融機関ではさまざまなセキュリティ対策もしているものですが、利用する際には不正送金されるリスクもあることを留意しておくことが大切です。
ここでは、ネットバンキングを利用する際の注意点についてお伝えしていきたいと思います。
ネットバンキングを利用する際にはIDやパスワードを入力する必要がありますが、例えばカフェやレストラン等でスマートフォンからネットバンキングを利用するようなケースでは、不用意に入力してIDやパスワードを盗み見られないように注意が必要です。
もちろん、一般的にネットバンキングでは二段階認証が採用されており、IDやパスワードを盗み見られたからといって簡単にログインされるわけではありませんが、他人に知られたらまずいものであることに間違いはないでしょう。
できるだけ公の場でネットバンキングのIDやパスワードを取り扱わないように注意するのに加え、仮に入力する際にも画面や手の動きを見られないようにするなどの工夫が大切です。
ネットバンキングの不正送金は、フィッシング詐欺による方法で行われるのが一般的です。
フィッシング詐欺とは、電子メールやメッセージなどでURLなどを入力させることで、本物のように作られた偽物のサイトに誘導するといったものです。これにより、IDやパスワードといった情報を盗み取られてしまいます。
これを避けるためには、ネットバンキング利用時には金融機関から通知されたURLを直接入力したり、普段利用しているWebブラウザで正しいURLをブックマークしておき、毎回そのブックマークからアクセスするといったことを心掛けるとよいでしょう。
また、ネットバンキングへのログイン画面ではSSLという暗号技術が利用されているのが一般的で、この場合、Webブラウザのアドレスバーが緑色の表示になっているほか、鍵マークが表示されるため、そうなっているかを確認することも有効です。
少し専門的な知識にはなりますが、自分を守るためにもこうした習慣を持っていると安心してネットバンキングを利用できます。
ネットバンキングを利用する際は、ネットカフェや会社、学校、ホテルなど、不特定多数の方が利用するパソコンは使わないように意識しておきましょう。
ネットカフェやホテルのパソコン等では、次の利用者に利用情報が残らないよう設定されているのが普通ですが、パスワードを収集するウイルス等に感染しているリスクがあります。
こうしたリスクを回避するためにも、ネットバンキングを利用する際はセキュリティ対策の取られた自分専用のPCやスマートフォンからと決めておくことをおすすめします。
自分専用のPCやスマートフォンであっても、インターネットバンキングを狙ったウイルスに感染してWebブラウザが乗っ取られ、結果としてネットバンキング用のIDやパスワードといった情報が抜き取られてしまうリスクもあります。
最近の事例では、正規の金融機関のサイトを見ている際に、口座情報やパスワードの入力を求める画面がポップアップされ、その画面に情報を入力することで、IDやパスワードが盗まれるといったことも起こっています。
サイト自体は正規の金融機関のサイトのため、先ほどお伝えしたような、URLを直接入力するといったことや、SSLの画面になっているかを見分けるといったことでは対策できません。
これについては、市販のウイルス対策ソフトを導入したり、少しでも怪しいと思ったら金融機関に直接問い合わせたりといったことが求められるでしょう。
ネットバンキングについてメリット・デメリットや注意点をお伝えしました。ネットバンキングは便利でさまざまなメリットがありますが、一方で不正送金被害に遭う可能性があるなどリスクもあります。
実際に被害に遭う方はごく少数であり、かつ仮に不正送金の被害に遭ったとしても、利用者側に過失がなければ全額補償されます。
一方で、無用なトラブルに巻き込まれないためにも、どのような被害事例があり、どのように対策しておくとよいかといったことは知っておくとよいでしょう。
この記事のライター
マネタス
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