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高齢者を狙い、自宅を売却させる悪質業者に注意。「理解できないまま売却契約をしてしまった」

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当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

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高齢者を狙い、自宅を売却させる悪質業者に注意。「理解できないまま売却契約をしてしまった」

国民生活センターは「高齢者の自宅の売却トラブルに注意-自宅の売却契約はクーリング・オフできません!内容をよくわからないまま、安易に契約しないでください-」と呼び掛けている。どういったトラブルが起きているのだろうか?【今週の住活トピック】
「高齢者の自宅の売却トラブルに注意」の呼びかけ/国民生活センター

売るつもりのない高齢者の自宅売却契約で、トラブルが多く発生

全国の消費生活センターなどに、「強引に勧誘され、安価で自宅を売却する契約をしてしまった」、「解約したいと申し出たら違約金を請求された」、「自宅を売却し、家賃を払ってそのまま自宅に住み続けることができるといわれ契約したが、解約したい」といった、自宅の売却に関する相談が寄せられているという。同センターが紹介した具体的な相談事例を見ていこう。

〇相談事例(1)強引な営業で売買契約をしてしまった(80代女性)
一人暮らしの高齢者の自宅に、自宅を売らないかという不動産事業者が訪れ、長時間繰り返し強引な営業をされ、「マンションを売ったら入所できる施設を探してあげる」などと言われ、断れないまま売買契約をしてしまった。
〇相談事例(2)強引な契約後、解約に高額なキャンセル料を請求された(80代女性)
何度も不動産事業者に自宅売却の営業をされ、理解できないまま売買契約をしてしまい、その場で手付金約450万円を受け取ってしまった。クーリング・オフができると思い、翌日に契約の解約を申し出たら、解約するなら約900万円を払うように言われた。
〇相談事例(3)有利な話だと、売却と賃貸借の契約をさせられた(80代女性)
要介護認定を受け自宅で一人暮らしをしているが、有利な話があると不動産事業者が訪れた。「自宅マンションを1000万円で買い取る。その後は13万円の家賃を払って住み続けられ、管理費や修繕費、固定資産税がかからなくなるのでとても有利だ」と、長時間の営業が続き、意識がもうろうとするなかで契約してしまった。そんな高い賃料は払えないので解約を申し出たが、もっと安い賃貸物件を紹介するというだけで、解約に応じてもらえない。

相談事例はほかにもあるが、共通しているのは、高齢者をターゲットに、強引な営業をしているということだ。これらの相談について、同センターでは以下のような問題点を挙げている。

(1)迷惑な勧誘、長時間の勧誘や嘘の説明によって消費者が望まない契約をしてしまう
(2)契約内容等について消費者の理解が不十分なまま契約してしまう
(3)判断能力が低下している消費者が契約し、後になって家族等が気づき、トラブルになる
(4)契約内容によっては、売却後に住宅の修理等の費用負担を求められることがある

自宅を売却した後で、雨漏りやシロアリ被害などがあったとして、修理費用を請求されたという相談事例もあり、契約内容がわからないまま契約してしまうリスクも指摘されている。

不動産事業者に自宅を売却してしまうと、解除が難しくなる

さて、訪問販売で商品を購入したりした場合は、「クーリング・オフ」ができるということが一般的に知られている。一定の期間内であれば、無条件で契約を解除することができるというものだ。

もちろん、宅地建物取引業法(以下、宅建業法)にも、クーリング・オフの規定がある。ただし、同センターでは、「自宅を不動産業者に売却した場合、クーリング・オフはできません」と強調している。どういうことだろう?

クーリング・オフは、無理やり契約をさせられた買い手を保護することにある。宅建業法では、不動産の売主が宅地建物取引業者(以下、宅建業者)であり、宅建業者の事務所や買い手側が申し出た自宅などではない場所(例えば喫茶店など)で契約をした場合などは、クーリング・オフの対象になる。ただし、買い手が宅建業者の場合は、不動産のプロなので保護をする観点から外れるため、クーリング・オフの対象にはならないのだ。

また、契約の解除についても宅建業法で規定がある。買い手から手付金を受け取った場合、「解約手付け」という扱いになるので、売り手側から契約を解除するには「手付金の倍返し」で解除することになる。さらには、手付解除の期間が過ぎると違約金を請求される場合もある。相談事例(2)のように約900万円もの倍返しの額を請求されることもあるので、注意が必要だ。

また、相談事例(3)は、「リースバック」という手法を悪用した事例だ。「リースバック」は、正式には“sale and leaseback”、つまり賃貸借契約付き売却のこと。自宅などの所有不動産を第三者(この場合は不動産事業者)に売却し、売却先と賃貸借契約を結んで、元の所有者が賃料を払ってそのまま住み続けるという仕組みだ。一般的に、売却額は相場より低く、賃料は相場より高く設定されることが多い。

自宅を売ったことを周囲に知られずに、売却で得た資金を活用できるなど、契約の仕組みを理解していればメリットもある手法だ。相談事例では、この手法を悪用しているので、最初に自宅の売却が成立した時点で、契約の解除が難しくなってしまう。

予防するための対処方法は?子や孫世代の協力も必要に

不動産登記は、手続きさえ踏めば誰でも閲覧ができるので、登記簿の内容から高齢者が所有している不動産だと知ることができる。ほかにもさまざまな方法で集めた情報をもとに、高齢者のみが暮らしている住宅などにターゲットを絞って、強引な営業をかけているのだろう。

他の人と相談できないように囲い込んで契約を取り付けているので、子どもや地域包括支援センターの人などが気づいたときには、売買契約が成立してしまっているということになる。

では、どういった対応をすればよいのだろう?

●よく分からないことや納得できないことがあったら、解決するまで契約はしない
●勧誘が迷惑だと思ったらきっぱりと断り、今後勧誘しないように伝えましょう
●不安に思った場合やトラブルになった場合は消費生活センター等に相談してください

同センターでは、消費者に対して上記のようなアドバイスをしている。加えて、宅建業者の関係団体に対して、法令順守などを要望している。

国民生活センターの啓発資料「自宅の売却トラブルに注意」を転載

国民生活センターの啓発資料「自宅の売却トラブルに注意」を転載

とはいえ、長時間の強引な営業を受けている高齢者自身が、そのときになってきっぱり断ることには、ハードルもある。子どもたち世代(あるいは孫世代)や近しい関係の人が、こういったトラブルが起こりうることを伝え、強引な営業をされた場合にどう対処するか、あらかじめ対処方法を決めておくのがよいだろう。

また万一、高齢の親や知人が強引な営業により売買契約をしてしまい、契約を解除できるかどうか不明な場合には、できるだけ早く地域の消費生活センターや国民生活センター、弁護士などの専門家に相談しよう。もし高齢者自身の判断能力に不安がある場合には、早めに成年後見制度などの利用も検討しておきたい。

さて、いったん売買契約が成立してしまうと、その解決に時間がかかり、解決のために費用負担が生じることも多い。被害に遭ったダメージに加え、解決に至るまでのさまざまな負担もあり、高齢者には耐えがたいことになるだろう。そうした被害から高齢者を守るためにも、子どもや孫の世代を含む周囲の人が、まずは家に入れない、絶対に契約をしないための対処方法を一緒に考えてほしい。

【関連リンク】
「高齢者の自宅の売却トラブルに注意」の呼びかけ/国民生活センター

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