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毎日パートで、長時間働いているけど、有給休暇はないの?そんな疑問をお持ちの方は、多いのではないでしょうか。正社員じゃないけれど有給休暇の権利はあるのか、使った場合の給料はどうなるの??社会保険労務士の浦野さんが教えてくれました。
社会保険労務士として、「パートの有給休暇」について相談を受ける機会がたくさんあります。パートで働く側、パートを雇う側、双方から質問がきますが、答えは簡単。
「有給休暇は、正社員でもパートであっても同等の権利があります。但し、働く日数が少ないパートの場合、働く日数に応じて、有給休暇の日数も少なくなります。」
労働基準法で定められている年次有給休暇の基本ルールは「雇い入れ日から6ケ月経過+全労働日の8割以上出勤」で、有給休暇の権利が「1年あたり10日」発生します。
以後、1年経過する毎に有給休暇の日数は増えてゆき、上限は1年間20日(勤続6.5年以上)となります。
雇い入れ日から付与日を計算するのが原則ですが、基準日(例えば4月1日)を定めて、基準日に有給休暇を付与している会社もあります。(基準日方式の場合、必ず上記基本ルールの日数以上を付与する必要があります)なお、雇い入れ日からの勤続年数には試用期間も含まれます。
1年間で使い切れなかった有給休暇は、1年間に限り繰り越して使うことができます。(付与された有給休暇は、計2年間有効)
パートの場合でも、労働時間が比較的長く、労働時間が週30時間以上という場合、また、労働時間は短いけれど、労働日数が多く週5日以上という場合、有給休暇のルールは先述した基本ルールの通りとなります。
例えば下記のような働き方の場合、有給休暇の日数は正社員と全く同じです。
例
1日7.5時間 週4日勤務→週30時間以上勤務となり、正社員と同じ扱い
1日3時間 週5日勤務→週5日以上勤務なので、正社員と同じ扱い
労働時間が週30時間未満で、勤務日数も週4日以下という場合、有給休暇の日数は、働く日数に応じて変わってきます。これを有給休暇の比例付与と呼びますが、基本の計算式は
通常付与日数×週所定労働日数÷5.2
※「5.2」は厚生労働省令によって定められた数値。
となります。
週3日勤務のパートが入社して半年経過した場合、下記の計算によって、「5日」有給休暇の権利が発生することになります。
10日(通常付与日数)×3日(週勤務日数)÷5.2=5.76→5日
※小数点第三位以降は切り捨て。
勤務シフトによって、週あたりの労働日数がバラバラという場合は、年間労働日数によって比例付与の日数は決まり、下記の表の通りとなります。
月給制社員の場合、有給休暇を使うと、休んでも給料がカットされません。では時給制のパートが有給休暇を使うとどうなるのか? 答えは
「基本的な1日あたりの給料が支払われる」
です。
「基本的な1日あたりの給料」は会社が決めることになりますが、標準的な1日の労働時間が決まっている場合、「時給額×標準の1日労働時間」が有給休暇1日あたりの給料とされているケースが多いです。つまり、普通に1日働いていればもらえるはずの金額ということになります。
シフトによる1日の労働時間がバラバラという場合、労働基準法上の「平均賃金」を採用している会社もあります。「平均賃金」とは、直近3ケ月の給料合計を直近3ケ月の暦日数で割ったものです。
※暦日数とは、休日も含めた日数のこと。労働日のことではありません。
その他、社会保険の「標準報酬日額」を採用している会社もありますが、いずれの方法であっても、1日あたりの給料を不当に安くしたり、実態とかけ離れた金額にしたりすることは認められていません。
パート勤務で有給休暇を使うという場合、どのような方法で1日あたりの給料が計算されるのか、あらかじめ勤務先に確認しておくとよいでしょう。
この記事のライター
浦野英樹
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昭和44年大分県出身。東京都立大学法学部卒。出版社人事労務部門に勤務の後、平成17年、社会保険労務士として独立。企業内での出産育児に関わる規定の整備・手続きに加え、子育てママが子連れで参加できるマネーセミナー「節約ママの楽しい家計塾」レギュラー講師として、わかりやすく労働法や社会保険の仕組みを伝える活動を展開。地元民放ラジオ局(大分放送)にて、家計のやりくりについてのコメンテーターも担当。
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