更新日:2023年9月21日 / 公開日:2023年9月21日
目の周りが茶色や黒っぽくくすんで見える「色素沈着(くすみ)」。目の周りの色素沈着は日常生活での行動が関わっていることがあり、知らず知らずのうちに濃くしてしまっている恐れがあります。この記事では、目の周りの色素沈着(くすみ)ができる原因・改善するためのセルフケア方法・美容治療・予防方法を紹介します。
目の周りの色素沈着ができるのは、肌の中で生成されるメラニン色素が大きな要因です。
肌の表面にある表皮は角層(かくそう)・顆粒層(かりゅうそう)・有棘層(ゆうきょくそう)・基底層(きていそう)の4つの層に分かれています。
メラニン色素を生み出しているのは、最下層の基底層にあるメラノサイト(色素細胞)です。
メラニン色素はダメージから肌細胞を守るために分泌されるもので、本来は肌のターンオーバーによって排出されます。
しかし、メラニン色素の分泌量が多すぎたりターンオーバーが乱れていたりすると、メラニン色素が排出されずに淡い茶色〜黒っぽい色が肌に残ってしまうことがあるのです。
目の周りの色素沈着ができているときは、紫外線・摩擦・乾燥などが原因となっている場合があります。
目の周りの色素沈着(くすみ)の原因についてチェックしてみましょう。
紫外線を浴びると、ダメージから肌を守るためにメラニン色素が分泌されます。
紫外線にさらされ続ける環境にいるとメラニン色素も過剰に分泌されるため、色素沈着の原因になります。
以下のような紫外線対策不足が影響している場合があります。
・目の周りまで日焼け止めを塗れていない
・帽子・日傘・サングラスなど紫外線対策をしていない
・日焼け止めが落ちても塗り直していない
摩擦ダメージを与えると炎症が起こり、肌を守るためにメラニン色素が過剰に分泌されます。
また、摩擦などによる刺激を与えると角質が厚くなってターンオーバーが乱れ、メラニン色素が蓄積しやすくなります。
以下のような習慣がある人は、摩擦による色素沈着の可能性があるでしょう。
・洗顔やクレンジングをするときに目の周りを強く擦っている
・アイメイクをするときに力を入れすぎている
・ゴシゴシと目を擦る癖がある
目の周りは顔の中でも皮膚が薄く皮脂腺が少ないため、乾燥しやすい部位です。
乾燥した肌はバリア機能が低下していて外部からの刺激を受けやすくなり、メラニン色素が過剰に分泌されて色素沈着が起きやすくなります。
また、乾燥はターンオーバーの乱れを引き起こすため、メラニン色素を排出しにくくなるのも原因のひとつです。
以下のような人は、乾燥が原因となって色素沈着が起きている可能性があります。
・保湿が足りていない
・乾燥した環境にいることが多い
・濃いアイメイクをしている
・アイメイクをきちんと落としていない
目の周りがくすんでいるときは、血行不良が原因となっていることも少なくありません。
血行不良になって血液中の酸素が不足すると、血液が黒っぽい色になります。
目の周りの皮膚は薄いため、毛細血管が透けてくすんで見えることがあります。
血行不良によるくすみは青クマと呼ばれるもので、主に以下のようなことが原因となります。
・眼精疲労
・睡眠不足
・運動不足
・冷え性
また、血行不良になると肌に栄養が届きにくくなり、老廃物が溜まることでくすんでしまうこともあります。
目尻を下に引っ張ったときにくすみが薄くなる場合は、血行不良が原因の可能性が高いでしょう。
年齢を重ねると肌のターンオーバーが遅れることから、色素沈着が起きやすくなります。
ターンオーバーの周期は人によって異なりますが、およそ28日程度とされています。
40歳になるとターンオーバーの周期は40日以上になるといわれており、メラニンの排出が滞りやすいです。
また、加齢によって肌の水分量が減少して透明度が下がるため、肌のツヤがなくなってくすんで見えることがあります。
目の周りの色素沈着が気になる人は、改善するためのセルフケアをはじめてみましょう。
ここでは、日常的にできるセルフケア方法を3つ紹介します。
ビタミンCやビタミンEには、色素沈着を改善するのに役立つ働きがあります。
【ビタミンCの働き】
・メラニン色素の生成を抑える
・メラニン色素を淡色化する
・ターンオーバーを促す
【ビタミンEの働き】
・血流を促進する
・肌の新陳代謝をサポートしてメラニンの排出を促す
食べ物や飲み物から摂取するのが難しいときは、サプリメントを活用すると補給しやすくなります。
ビタミンCとビタミンEは組み合わせると相乗効果が期待できるので、目の周りの色素沈着を改善したいときはビタミンCやビタミンEのサプリメントを取り入れてみましょう。
目の周りの色素沈着の改善には、ターンオーバーを正常化させてメラニンの排出を促すことが大切です。
保湿効果やエイジング効果の高いスキンケアを使用すると、しっかりと肌の潤いが保たれてターンオーバーを整えやすくなるでしょう。
また、目元のケアに特化したアイクリームや目元美容液を使用するのもおすすめです。
目の周りの色素沈着には保湿成分や美白成分、血行不良によるくすみには血行促進成分が含まれているものを選ぶと良いでしょう。
【保湿成分】
セラミド・ヒアルロン酸・コラーゲン・エラスチンなど
【美白成分】
プラセンタエキス・アルブチン・ビタミンC誘導体・トラネキサム酸など
【血行促進成分】
センブリエキス・トウキエキス・ビタミンE・ビタミンKなど
血行不良によるくすみを改善したいときは、目の周りのマッサージやツボ押しをして血流を促して筋肉をほぐすのがおすすめです。
【目元マッサージのやり方】
①ホットタオルを用意し、目元からおでこを覆うようにのせて目の周りを温める
②マッサージクリームやフェイスクリームを目元からおでこにかけて塗る
③両手の人差し指と中指の腹を額の中央におき、左右のこめかみに向かって滑らせる
④両手の中指の腹を目尻におき、目の下を通って目頭に向かって滑らせる。
⑤両手の中指の腹を目頭におき、目の上を通って目尻まで滑らせる。
【目元のくすみに効果が期待できるツボ】
<印堂(いんどう)>
左右の眉頭の間にあるツボです。
親指の腹でゆっくりと揉むように押しましょう。
<晴明(せいめい)>
目頭と鼻の付け根の間の凹んでいる部分にあるツボです。左右にあるので、親指と人差し指でつまむようにして優しく揉みほぐしましょう。
<太陽(たいよう)>
目尻と眉尻をつなぐ線の中間点から、2cm程度外側のくぼんでいる部分にあるツボです。左右にあるので、両手の親指の腹で外側に向かって刺激しましょう。
<承泣(しょうきゅう)>
前を向いたときの黒目の真下で、骨の縁にある小さなくぼみにあるツボです。左右にあるので、両手の中指や薬指の腹で下に向かって優しく刺激しましょう。
色素沈着の場合、目元のマッサージをすると摩擦によるダメージで悪化する場合があるので注意しましょう。
目の周りの色素沈着は、美容治療で改善することができます。
ここでは、目の周りの色素沈着を改善するための治療方法を5つ紹介します。
ケミカルピーリングは薬剤を塗布し、古い角質や汚れを除去して肌のターンオーバーを活性化させる治療です。
肌のターンオーバーの正常化を促すことができるので、シミやくすみ、そばかす、ニキビ・ニキビ跡、毛穴の開き、黒ずみなどさまざまな肌トラブルの改善に適しています。
ケミカルピーリングは目の周りにも可能ですが、クリニックによって施術範囲は異なります。
フォトフェイシャルはIPLと呼ばれる光を肌に照射し、メラニンや毛細血管にダメージを与えてシミやそばかす、くすみ、肝斑、赤ら顔などの肌トラブルを改善する治療です。
色素沈着の場合、メラニン色素にダメージを与えてターンオーバーによる排出を促すことで改善します。
ただし、まぶたの上には照射NGのクリニックもあります。
ピコトーニングは低出力のレーザーを照射してメラニン色素を破壊していき、くすみやシミ、肝斑などを徐々に改善する最先端の治療です。
短時間の照射で済むので肌にダメージを与えにくく、痛みやダウンタイムがほとんどないのが魅力です。
また、少ない施術回数で高い施術効果が期待できます。
まぶたにも照射可能ですが、クリニックによって施術範囲は異なります。
レーザートーニングは一般的なレーザー治療よりも低出力のレーザーを照射し、メラニン色素を破壊してシミや肝斑、色素沈着などを改善する治療です。
ピコトーニングと同じくレーザーを照射する治療方法ですが、ピコトーニングは衝撃波でメラニン色素を破壊し、レーザートーニングは熱ダメージでメラニン色素を破壊します。
レーザートーニングはまぶたにも照射可能ですが、クリニックによって施術範囲は異なります。
目の周りの色素沈着を改善したいときは、有効成分を配合した外用薬や内服薬を使用する方法もあります。
【外用薬】
<ビタミンC誘導体>
メラニン生成を抑える作用・血行促進作用・抗酸化作用などがあり、美白効果が期待できます。
<ハイドロキノン>
肌の漂白剤と呼ばれ、メラニン色素の生成を阻害する作用があります。
<トレチノイン(ビタミンA誘導体)>
肌のターンオーバーを促し、メラニン色素の排出をサポートします。
【内服薬】
<シナール>
アスコルビン酸(ビタミンC)を主成分とした内服薬です。
メラニン色素の生成を抑える作用やメラニン色素の還元を促す作用により、色素沈着を改善する働きがあります。
<トラネキサム酸>
トラネキサム酸はアミノ酸の一種で、メラニン色素の生成に関わるプラスミンという物質の発生を抑える作用があります。
<ハイチオール>
ハイチオールは-システインを主成分とした内服薬です。
メラニン色素の生成に関わるチロシナーゼという酵素の産生を阻害し、メラニン色素の生成を抑える作用があります。また、ターンオーバーを整える作用もあります。
外用薬は濃度によって皮膚の薄い部分に塗布できない場合があります。
市販の医薬品もありますが、市販の医薬品は処方薬よりも有効成分の含有量が少なく、複数の有効成分が配合されていることがあります。
皮膚科やクリニックでは、適切な薬を処方してもらうことが可能です。
副作用が起こる場合もあるので、外用薬や内服薬を使用する際は医師に相談することをおすすめします。
ここでは、目の周りの色素沈着を予防するための方法を5つ紹介します。
紫外線による色素沈着を予防するには、日焼け止めを塗ってUVケアをすることが大切です。紫外線は「UV-A」と「UV-B」があり、それぞれに以下のような肌への影響があります。
【UV-A】
肌の真皮まで侵入し、シワやたるみといった肌老化の原因となります。
メラニン色素の生成を促し、肌を黒くさせる作用があります。
【UV-B】
肌の表皮に強く作用し、肌を赤く炎症やメラニン色素の沈着を引き起こす紫外線です。
メラニン色素の生産を増加させるため、シミやソバカスの原因にもなります。
紫外線は曇りの日や雨の日、秋冬でも降り注いでいるため、1年中UVケアを行いましょう。
日焼け止めには、UV-Bを防ぐ効果を表す「SPF」とUV-Aを防ぐ効果を表す「PA」の2つの表記があります。
SPFの数値が大きく、PAの「+」が多いほど防止力は高まりますが、その分肌への負担も大きくなります。
そのため、日焼け止めを選ぶときは、使用するシーンに合わせて使い分けるのがおすすめです。
【シーン別のSPF・PAの選び方】
他にも、UVカット効果がある下地やファンデーション、パウダーなどを使ったり、帽子やサングラスなど他の紫外線防止グッズを活用したりして色素沈着を防ぎましょう。
日々のメイクをしっかりと落とさないと、メイクによる刺激やメイク自体が肌に残ることで色素沈着が起こることがあります。
色素沈着を防ぐには、顔全体のクレンジングをする前にアイメイクを落とすのがポイントです。
アイメイクを落とすときは、リムーバーを含ませたコットンを優しく目元に当て、数秒なじませて落とします。
細かいところはリムーバーを含ませた綿棒を使い、優しく丁寧に落としていきましょう。
落としやすいアイライナーやマスカラなどを使うようにすると、肌への負担を抑えることができます。
使用するクレンジングも刺激の少ないものを選びましょう。
乾燥による色素沈着を予防するには、毎日のスキンケアをきちんと行うことが欠かせません。
しかし、スキンケアの方法を誤ってしまうと、色素沈着を引き起こす原因となってしまいます。
スキンケアをする際は強く擦らないことが鉄則です。
洗顔のときは洗顔料をたっぷりと泡立てて、顔の上で泡を転がすようにして優しく洗いましょう。
目の周りは皮膚が薄いので、泡を乗せる程度で構いません。
洗顔後に化粧水で水分を補い、乳液やクリームで潤いを保ちましょう。
目の周りの色素沈着は適切なケアが大切!
目の周りの色素沈着はさまざまなことが原因となるため、まずは原因を把握して適切なケアをすることが大切です。
目の周りの色素沈着は、サプリメントやスキンケアなどのセルフケア、外用薬・内服薬やレーザー治療などの美容治療で改善を目指すことができます。
目の周りの色素沈着を改善して目元をパッと明るい印象にしたい人は、今回紹介した改善・予防方法を実践してみましょう。
・紫外線・摩擦・乾燥・加齢によってメラニン色素の過剰分泌やターンオーバーの乱れが起こると、目の周りに色素沈着ができる場合がある
・セルフケアをするなら、ビタミンCやビタミンEのサプリメント・スキンケア・目元のマッサージといった方法がある
・美容治療では、薬剤を使用するケミカルピーリングやレーザー治療などで色素沈着を改善できる
・目の周りの色素沈着を予防するには、紫外線対策をする・きちんとメイクを落とす・強く擦らないといったことを意識するのが大切
医師:乾 雅人(MASATO INUI) 銀座アイグラッドクリニック
経歴:
2010年:東京大学医学部医学科を卒業
2012年:東京大学医学部附属病院で初期臨床研修を修了
2015年:東京大学医学部附属病院で外科専門研修を修了・東京大学医学系大学院に進学 外科学(肺移植領域)を専攻
2016年:医療コンサルティング会社を設立、経営の実務経験を積み始める
2020年:銀座アイグラッドクリニックを開業
2021年:医療法人社団創雅会を設立
学会:日本外科学会/日本再生医療学会/日本抗加齢医学会/日本美容皮膚科学会 他
賞と栄誉:日本人初のメソガン(U225)の認定証を取得/世界で初めて、5デアザフラビン(TND1128)の臨床研究(観察研究)を開始/商標『幹細胞ソムリエ』を所有
YouTube:Dr.乾 / 〜医の常識を揺さぶる人〜
この記事のライター
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