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小1女児がわいせつな事件に巻き込まれたケースも…小中学生も夢中になる「ZEPETO」とは? #親と子のネットリテラシー入門

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目次

ここ数年で、子どもを取り巻くデジタル環境は劇的に変化。私たち親世代は、子どものデジタル機器の付き合い方や、ITリテラシーの教え方にどう向き合ったらよいのでしょうか? ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザーとして活躍し、自身も二児の母である鈴木朋子さんに教えてもらいます。

執筆者プロフィール 鈴木朋子さん ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザースマホやSNSなど、身近なITサービス全般に関する記事を執筆。なかでもSNSに関しては、コンシューマーからビジネスまで広く取材を行い、最新トレンドを知るジャーナリストとして定評がある。また、安全なIT活用をサポートするスマホ安全アドバイザーとして記事執筆や講演も行う。著書は『親が知らない子どものスマホ』(日経BP)、『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)、『インターネットサバイバル 全3巻』(日本図書センター)など。

実は身近なメタバースの世界

Facebookが「Meta」に社名を変更し、メタバースに注力していくと宣言してから、メタバースへの注目度が一気に高まりました。メタバースというと、VRゴーグルをかぶって自分にそっくりのアバターで本格的な仮想空間を楽しむ、というイメージがあるかもしれません。確かに、メタバースとはアバターを使ってオンライン上に作られた世界を楽しむことを指します。でも、メタバースはもっと身近なものでもあるのです。

例えば、任天堂の「あつまれどうぶつの森」もメタバースの一種で、好きなアバターを使って、仮想空間を自由に移動するゲームです。ユーザーそれぞれが好きな場所で好きなことをして過ごせる、まさにメタバースです。

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「あつまれ どうぶつの森」(任天堂)公式サイトより

また、Epic Gamesのオンラインゲーム「フォートナイト」もメタバースです。フォートナイトはバトルゲームとして知られていますが、2022年6月には星野源さんがフォートナイト内のイベントでコンサートを行うなど、仮想空間としての役割も増えてきています。私たちや子どもたちは特に意識をしなくても、家庭用ゲーム機やスマホを使ってメタバースの世界に触れていたというわけです。

メタバース「ZEPETO」の魅力とは

そんなメタバースのひとつに、「ZEPETO」(ゼペット)があります。ZEPETOの最大の特徴は、魅力的なアバターです。3Dのアバターは初期状態でもかわいいのですが、自分の好みに合わせて髪形や目の形、体型などを変えることができます。さらに、服やアイテムは流行の最先端とも言えるデザインのものが400万以上も用意されています。

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アバターは自分好みに作れる

理想のアバターができたら、「フォトブース」と呼ばれる機能でかっこいい・かわいいポーズを取らせて写真を撮れます。ZEPETOのほかユーザーと一緒に撮影もできます。

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アバターがポーズを取ったり、ダンスを踊ったりできる

さらに、「ワールド」と呼ばれるユーザー同士が交流できる世界へと出かけられます。

ワールドでは、ほかのアバターとテキストや音声で会話を楽しめます。ユーザーたちはみんな自慢のアバターを使っていますから、知り合った人同士で「自撮り」機能を使って写真も撮れます。撮影した画像や動画は、ZEPETO内にあるSNSに投稿したり、TikTokなどの他サイトに共有できます。

ワールドの種類が豊富なところも人気の理由でしょう。ZEPETOやユーザーが作ったワールドだけでなく、大手ファッションブランドのワールドや人気アーティストのワールドもあります。ワールドに行くと、その世界観の中で写真を撮ったり、オリジナルアイテムを入手することができます。2022年6月には、携帯電話会社ソフトバンクがバーチャルのキャリアショップ「ソフトバンクショップ in ZEPETO」を開設するなど、日本企業の参入もあります。

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BTSのワールド「防弾少年団 in BUSAN」ではコンサートを楽しめる

ZEPETOは、自撮りアプリ「SNOW」の韓国SNOWが開発したサービスで、現在はSNOWから分社した韓国NAVER Zが運営しています。ZEPETOのアバターには、SNOWアプリのスタンプのかわいらしさをどことなく感じられますよね。

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App StoreにあるSNOWのアプリ紹介より

ZEPETOのユーザーは日本、韓国、中国、タイ、インドネシアなどアジアを中心に世界で約3億2000万人で、10代のユーザーが全体の約8割を占めているそうです。

YouTubeやTikTokを見ると、ZEPETOのアバターでワールドを楽しんでいる様子や、自分好みにカスタマイズする手順を解説している動画が多数アップされています。いつもの自分とは違う姿をいくつか用意して、仮想空間を楽しんでいるのでしょう。

リスクは「出会い」と「課金」

一方で、ZEPETOによるトラブルも起きています。メタバースのリスクのひとつに、ネットを通じた出会いがあります。ZEPETOでは2020年に33歳(当時)の会社員の男が小学1年生の女児と知り合い、メッセージ機能でわいせつな画像を送らせたことで逮捕されています。もちろん、こうした行為はZEPETOの規約違反にもあたります。

ZEPETOの利用年齢は、App Storeで12才以上、Google Play Storeでは13才以上と定義されています。もしお子さんのスマホに年齢別のフィルタリングを設定していると、インストールできません。ただし、アプリごとに利用の許可をしている場合、親が気づかなければ利用ができてしまいます。

ネットの小学生向け掲示板には、「ZEPETOは楽しい」「10才から始めました」などの声が書き込まれています。また、別の掲示板には「子どものユーザーに親しくされて困っている」などの悩みも相談されています。

筆者も友人から「ZEPETOに入ると、明らかに小学生と思われる子どもがいて、無邪気に話しかけてくるけど大丈夫なのか」と聞かれたことがあります。

もしかすると、小学生の子を持つ保護者の方が「ZEPETOを使いたい」と頼まれたとき、アバターで着せ替えを楽しむアプリに見えたのかもしれません。でもSNSと同様に、ネットを通じて知らない大人と出会う可能性があるサービスです。しかも、相手はかわいいアバターなので、警戒心が緩んでしまいます。ZEPETOには、メタバースの中で恋人ごっこをする「ゼペ彼」という言葉もあります。仮想空間内から出ることはほとんどないとは思いますが、そうした遊び方があることは頭に入れておくといいと思います。

そこで、もし「ZEPETOを使ってみたい」とお子さんに言われたら、ワールドでチャットをしないことやメッセージ機能を使わないこと、他のSNSアカウントを交換しないこと、しつこくされたら必ず相談することなどを約束するようにしましょう。ちなみに、メッセージを受け取りたくないときには、メッセージ機能をオフすることができます。

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メッセージ画面でメニューをタップすると、設定が変更でき、メッセージを受け取らない設定ができる

ZEPETOは、「コミュニティ上のオンライングルーミング(online grooming)対策」という文書を公開し、対策方法を説明しています。グルーミングとは、少しずつ親しくなり、次第に自画撮り画像を要求されるなどの行為を指します。もし我が子が被害にあったら、ZEPETOは相手のユーザーをブロックし、通報することを勧めています。被害が深刻な場合は、最寄りの警察署や、インターネットやスマホでのトラブルの相談窓口「こたエール」に相談しましょう。※「こたエール」の利用は都内に在学・通勤・在住している人が対象

また、ZEPETOの利用で考えられるリスクはもうひとつあります。それは、課金の問題です。

ZEPETOには豊富なアイテムが提供されていますが、有料アイテムが多く、CoimとZEMというゲーム内通貨で購入します。ユーザーはApp StoreやGoogle PlayでCoimやZEMを購入し、アイテムを手に入れます。

かわいいアバター作りに夢中になるあまり、親に黙って課金してしまう子どもがいるため、ZEPETOを始める際には課金について話し合いをしておきましょう。スマホのフィルタリングで課金を制限しておくと安心ですが、どうしても課金したい場合は「お年玉でプリペイドカードを○円までなら買っていい」などの約束をしてもいいですね。

まとめ

ZEPETOで楽しく遊ぶためには、親子で連絡を密にして、どのように使っているのか、トラブルはないのかを確認しながら使うことがおすすめです。親もアバターを作って遊んでみると、理解が深まるだけでなく、新たな趣味として楽しめるかもしれませんよ。

(文:鈴木朋子、編集:マイナビ子育て編集部)

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