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日本は外国と比べて平均年収の上昇率が低いといわれます。家族が増えると支出も増えますが、なかなか理想通りに収入が増えないという実感を持つ人も多いかもしれません。結婚や子どもの誕生で収入にどのような変化が生じるのか、夫婦ではどのような違いがあるのか、実態を示す調査結果があります。
「専業主婦」が多かった時代もありましたが、現代は夫婦二人で家計を支える共働き世帯の比率が約7割に及んでいます[*1]。結婚や子どもの誕生などのライフイベントによって働き方を変えれば、おのずと収入にも変化が生じます。収入を取り巻く状況について、既婚の男女を対象にしたアンケート結果を紐解き、その気になる実態についてご紹介します。
参考文献[*1]労働政策研究・研修機構:図12専業主婦世帯と共働き世帯1980年~2022年
まず、既婚者の個人年収を男女別に見てみましょう。
女性では年代が上がるほど「100万円未満」の割合が高くなっています。「40代」は34.7%、「50代」36.7%、「60代」44.8%です。この背景には、30代までは正社員などで働いていた女性が、出産・子育てなどで一時的に退職し、パートやアルバイトなどで仕事を再開するという形が想像できます。
また、20代から50代の女性で「収入なし」という人は15~20%ほどでした。
内閣府「令和3年度 人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査」より
一方、男性の場合、女性とはまったく異なる結果に。20代では「300万~400万円台」が49.8%で最も割合が高いですが、30代では「500万~600万円台」が31.2%と、20代と比べて倍以上に増えています。
また、40代ではさらに「700万円台以上」の割合が増え、50代になると「700万円台以上」が38.3%と最も高くなることもわかりました。男性は60歳の定年まで、年収が順調に増えていく傾向にあるといえるでしょう。
子どもが生まれると、それまでと働き方が変わるので、収入にも変化が生じるものです。そこで、「第一子が生まれた後の収入の理想と現実」について、子どもがいる既婚者の回答を見てみましょう。
「理想」としては、「第一子が生まれる前と同様の収入」とした人が男女ともに最も多く、4~5割がこれを挙げています。また、「男性」では「第一子が生まれる前を上回る収入」を挙げた人も39.1%いました。
内閣府「令和3年度 人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査」より
一方、「現実」では、男女で違いが見られました。「第一子が生まれる前と同様の収入」を得ているという回答が最も多いのは男女とも同じですが、男性が5割前後である一方で、女性は3割ほどにとどまっています。
特に「女性20~39歳」で理想と現実のギャップが顕著に見られます。「第一子が生まれる前と同様の収入」「第一子が生まれる前を上回る収入」と答えた人が少ない一方、「第一子が生まれる前を下回っても育児の為に時間をある程度使えるぐらいの収入」が、理想と比べて大きく増えています。子育てに費やす時間のため、就労時間を減らすなどしている女性が多いことがうかがえます。
男性における理想と現実とのギャップとしては、「第一子が生まれる前を上回る収入」が目立っています。夫婦二人の生活から親子三人の生活になれば生活費は増えるので、収入アップを望む人が多いと思われますが、現実には難しい場合も少なくないようです。
夫婦で年収額の違いのある家庭が多いことがうかがわれる結果でしたが、最後に、互いの年収の差についての意識はどうなっているのかをご紹介します。
女性の回答で最も多くなったのは、「相手の年収はもっと高い方が望ましい」でした。20-39歳で44.8%、40-69歳で37.1%と、男性に比べ圧倒的に多くなっています。
また、このほかに「女性」が「男性」より割合が高くなっている項目としては、「相手の年収との関係で、家事・育児等は出来れば自分がやらなければならないと思う」があります。
内閣府「令和3年度 人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査」より
一方、男性では年収の差を「気にしていない」という回答がトップ。20⁻39歳で39.3%、40⁻69歳では51.7%と半数を超えました。また、このほかに女性よりも男性の方が多かった項目は、「相手の年収は今のまま~下がってもいい」「相手が扶養を受けることを考えると、相手の年収は今のまま~下がってもいい」などでした。
これらの回答結果からも、男性の収入が家計の主体となっている家庭が多いことが見えてきます。
今回は、結婚や子どもの誕生を機に、収入はどう変わるのかを男女別に示すデータをご紹介しました。共働き夫婦が珍しくない世の中になっていますが、個人収入で男女に開きの見られたほか、子どもの誕生後に収入が減るのは女性に多いことがわかりました。夫婦の役割分担として、夫が収入面を主に担い、妻が育児や家事を担うケースが多い状況を物語るといえるでしょう。自分の収入が減る分、夫の収入はもっと高い方がよいと望む妻も少なくないようです。物価高など家計を圧迫するニュースが多いなか、理想と現実との乖離は縮まるのか、厳しい状況が続きそうです。
(マイナビ子育て編集部)
※画像はイメージです
■令和3年度人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査/内閣府調査対象:全国20歳~70歳未満の(株)マーケティング・アプリケーションズ社のインターネットモニター登録している男女有効回答:20,000人調査時期:2021年12月27日~2022年1月11日調査方法:オンラインアンケート
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この記事のライター
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