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母乳育児をしたくても、十分に出るかどうかは産後でないとわからないので、不安を感じる人も多いでしょう。でも、じつは母乳育児をスムーズに開始するにはコツがあります。森戸先生に教えてもらいました。
(※画像はイメージです)
「産後すぐに母乳がどんどん湧き出てくるとは限らない」「必ずしも母乳育児がすんなり軌道にのるわけじゃない(苦労することもある)」というのは、実際に子供を産んでから、実体験とともに知る人が多いのではないでしょうか。
小児科医である私自身も、実際に子供を産んで初めて「母乳育児」についての様々な事情や知識を得ました。また、そういう体験のなかで、こと母乳に関してはお母さんたちを追い詰めるような風潮や迷信があることに気づき、様々な記事や本を書くようになったのです。
まず、母乳育児をスムーズにスタートするために、妊娠中から乳房のマッサージなどの準備は必要ありません。また母乳をたくさん出すことのできる食べ物や飲み物、サプリはありません。何より大事なのは、できるだけ産後すぐから、なるべく頻繁に授乳することです。
母乳を作るプロラクチンというホルモンは、出産を終えると劇的に減っていきます。そして、産後は乳首に刺激が加えられたときにプロラクチンが分泌されるのです。つまり、赤ちゃんが吸うと、プロラクチンが分泌され、母乳が作られます。
ですから、産後すぐから1日8回程度の授乳をして、プロラクチンの分泌量を下げないようにすると軌道に乗りやすいのです。ちなみに夜間に授乳することでもプロラクチンの分泌が増加しやすいことがわかっています。
でも、産後すぐのお母さんは、経腟分娩だろうと帝王切開だろうと、出産という大仕事を終えて非常に疲れ果てています。ですから自力で昼も夜も赤ちゃんを抱き起こしてかかえ、頻回授乳をするのはなかなか難しいでしょう。
お母さんは寝たままで、助産師や看護師などのスタッフが赤ちゃんを枕元まで連れてきてくれて、授乳クッションなどを使って姿勢を整えてくれるなどのサポートがあれば続けやすいだろうと思います。ただし、産科自体が減少し、産科の人手不足が深刻な今、授乳のサポートをするだけの人員の余裕がある施設が見つかるかどうか、が問題です。出産する医療機関で事前に相談してみるといいでしょう。
また、もうひとつの手段として電動搾乳器などで両方の乳房から母乳を吸い取ることでプロラクチンの濃度を維持したり、母乳量を増やしたりできるかもしれません。搾乳した母乳はパックに入れて、冷蔵や冷凍で保存することもできます。
最後に、どれだけ頻回に授乳してがんばっても、およそ1割の人は体質的に母乳が出にくいといわれています。母乳が出ないのであれば、無理をしないで育児用ミルクを使いましょう。育児用ミルクも可能な限り母乳に近づけられています。母乳育児は手段の一つであり、目的は赤ちゃんが成長すること、母子ともに健やかであることなのです。
母乳育児をどこまでがんばるかは、それぞれのお母さんの価値観、周囲にサポートしてもらえるかどうかなどの環境、心身の調子などによって異なって当然です。母乳育児だけが育児ではないことを、ぜひ覚えておいてくださいね。
参照)宋美玄森戸やすみ『産婦人科医ママと小児科医ママのらくちん授乳BOOK』(内外出版社)
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