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先日、「第7回全国家庭動向調査結果」概要が発表されました。それによると、日本ではいまだに、ほとんどの家事と育児を女性がやっていることがわかります。以前から「もっと男性も家事・育児を」と訴えている森戸先生にお話をうかがいました。
(※画像はイメージです)
少し前、国立社会保障・人口問題研究所の「第7回全国家庭動向調査結果」概要が発表されて、ニュースになりました。それによると、妻が60歳未満の夫婦の平日1日の平均の家事時間は、妻が247分、夫は47分でした。夫の家事時間は、毎年微増しているもののまだ少なく、女性が約8割を負担していることになります。
一方、同調査で、妻が50歳未満で12歳未満の子供がいる世帯における1日の平均育児時間は、妻は平⽇ 524 分(8 時間 44 分)休⽇ 724 分(12 時間 4 分)で、夫は平⽇ 117 分(1 時間 57 分)休⽇ 423 分(7 時間 3 分)でした。育児も、女性が約7割を負担しています。
厚生労働省の「男女共同参画白書」には、6歳未満の子供を持つ夫婦が、家事や育児にどのくらいの時間を使っているのかを国際比較した表があります。日本、アメリカ、ヨーロッパでは1日平均8時間を夫婦で分担しているようです。
そんな中、日本だけが妻の家事・育児関連時間が7時間34分と突出して長く、反対に夫の時間は1時間23分とあまりにも短いのがわかります。海外には男女差が3倍を超える国はなかなかなく、日本は他国に比べて突出して女性ばかりが家事と子育てを担っているのです。
今では昔と違って共働き率は5割を超え、パートタイムやアルバイトも含めれば外で仕事をしている女性はとても多いといえます。それなのに家事や子育てのほとんどを女性が担っているのは、明らかにアンバランスでしょう。
朝早く起きて朝食やお弁当を作ったり、子供の世話をしたり、食器を洗って片付けたりと家事をしてから、子供を送って仕事に出かける。仕事が終わった途端にダッシュで子供を迎えに行き、夕食を作って食べさせ、お風呂に入れて、全身のケアや歯磨きをして寝かしつけてから再び家事、さらにそれが終わったら持ち帰った仕事……と働きづめの女性は少なくありません。
だからこそ、日本の女性は世界で一番睡眠時間が短いと言われているのでしょう。実際、OECD(経済協力開発機構)による2021年版の調査では、日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、33カ国の中で最も短いことがわかっています。さらに厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、1日の平均睡眠時間が6時間未満の割合は、男性が37.5%、女性は40.6%と、女性のほうがより睡眠不足です。
もちろん、男性のほうが長時間労働を強いられやすく、育休などを取りづらい現実はあるでしょう。男女とも長時間労働を強いられず、きちんと有給が取れる社会になるようにしなくてはいけません。ただ、同程度の拘束時間の共働きでも、家事や育児をしない男性も少なくありません。
また女性が専業主婦で家事をメインの仕事としているケースがあるのもわかります。でも、だからといって全ての家事を女性に丸投げするのはおかしいですし、育児に関しては夫婦2人ともでやるほうが、夫婦関係、親子関係もよくなるでしょう。
女性だけで家事や育児をすることは、大きなリスクです。まず、寝不足でワンオペばかりしていると、心身の調子を崩してしまうかもしれません。特に産後の女性は出産によるダメージが残っていますし、「産後うつ病」のリスクが高くなります。
次に、そうしてお母さんが心身の調子を崩したり、入院などによって家事や育児ができなくなったら、誰がそれらを担当するのでしょうか。お父さんも普段からきちんとやっておけば、いざというときも安心です。
また、父親と母親の両方が関わったほうが、子供の発達によいという研究結果も出ています。そもそも、複数人で関わったほうが視点が増えますし、違う価値観に触れさせてあげられるという点でもいいでしょう。
ですから、ご夫婦間で家事や育児の時間が違いすぎて大変な場合は、ぜひ話し合いをしてみてください。もちろん、それぞれの仕事の拘束時間、生活習慣、価値観などによって最適な分担割合は違うと思いますが、少なくとも一方だけに押し付けるのはいけません。
そして、もしも家事や育児を「手伝う」という意識の人がいたら、その考えを今すぐに変えましょう。当事者だという意識を持ってください。自宅で家事も育児もしないのは、会社に例えたら同僚同士で片方だけが仕事をしないということなので、本来ならいたたまれないはずですよ。
参照)国立社会保障・人口問題研究所の「第7回全国家庭動向調査結果」
この記事のライター
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