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自分の子に絵本を選ぼうと眺めていたら、自分が子どものころに読んだ本に再会することがあります。なんというか、嬉しさと懐かしさで心が揺さぶられますよね!今回はそんなエモーショナルな「エモ絵本」のなかから、かこさとしさん作の『こぶた四ひきちんちろりん』について、ブックハウスカフェの店長さんに紹介&解説いただきます。
こぶたたちが楽しげに笑っている様子がなんとも微笑ましい表紙に「あ!覚えてる」と思った方もいるのではないでしょうか。ところで、『こぶた四ひきちんちろりん』がどんな話だったか覚えていますか?
ある日4匹のこぶたのが生まれます。名前は上からいのちゃん、にきちゃん、さあちゃん、そして一番下のちんちろりんちゃん。みんな元気に遊び、さわぎまわるのに、いつもみんなから遅れて、いつもなかまはずれで、いつも泣き虫なのがちんちろりんちゃん。ある日、みんながおおかみに襲われて大変な目に遭いますが、意外にもいつもは弱虫のちんちろりんちゃんが……(かこさとし公式サイトより)
それでは『こぶた四ひきちんちろりん』の見どころや、かこさとし先生の作品の楽しみ方について、こどもの本専門店「ブックハウスカフェ」の茅野由紀店長に解説いただきましょう。
「ちんちろりん」ってなあに?マツムシかな?――そんな風に子どもと語りながらページをめくると、途中で分かって大爆笑。かこさん一流の歌うようなテキストに、読むほうも調子づいてだんだんノリノリ、擬音語擬態語もふんだんに使われるし、ひょっととぼけた面白い表現もたっぷりで、聞き手の子どもはニコニコ。途中、音符マークがついている箇所がたくさん。はたしてそこは、歌うのか?ただ読むのか?と、読み手の技量が問われます――なんて、冗談です。だって、かこさんの絵本は、平坦に読もうと、情感たっぷり演技派で読もうと(つっかえつっかえだとしても)、どんな風に読んだって、びくともしない、不動の面白さですから。
かこさとしさんの絵本は、子どもたちが大好きです。
どうしてこんなに、目をキラキラさせて楽しんでいるんだろう。そこには魔法の力が働いているとしか思えない。声に出して読むと心地よい言葉選び、明瞭な文と組み立てセンスの良さ、表現のユニークさなどといった文章の魅力と、素朴なような、それでいて計算づくのような、味わい深い、動きのある絵と、そして物語の面白さと。そういった技巧的な優れ方は私などが言うまでもないのですが、もっともっと奥底に潜むような、魔法の力があるような。
それは、きっと、かこさんの「子どもに対する視線」なのではないかと思っています。
まず、頭の中で考えた子ども像ではなく、目の前の実在する子どもたちと遊び触れあったからこそ得られる事実、そこを大切にして作られていること。
それから、子どもたちを個性を持った一人の人間として敬意をもって向き合うことができる数少ない大人なこと。
年少者に教え諭してやろう、というような上から目線が作家にあれば、どんなに隠しても絵本を読めばうっすら浮かび上がるもの。教育的要素だなんて野暮なものを物語の中に入れ込んだり、逆に媚びたり迎合しすぎたりする煩わしい物語なんて陳腐なものは、真の子どもたちにはすぐにばれちゃいます。かこさんの絵本にはそれがない。子どもの人権をしっかりキャッチして本を作られているから、子どもたちは心底楽しめるし、大人も安心して一緒にそれを共有できるのかな、なんて思ったりします。持論ですけれど。
子どもたちが本当に楽しめる本を。
真摯にそのことを考え続けたかこさとしさんには、「子どもの本の神様」という称号が当てはまるのか、はたまた、「子どもの本の神様に愛された人」という形容がいいのか……そんな他愛もないことを考えては、今日もかこさんの絵本を子どもたちと楽しんでいます。
(ブックハウスカフェ店長茅野由紀)
コチコチやまのおさるさんが、どんな商売をしようかと、一生懸命考えてはじめたとこやさん。始めたのはいいのですが、ひとのいいおさるさんは、くるお客さん、くるお客さんにいろいろなものを売りつけられてしまい、もうかるどころか赤字になってしまいます。困ったおさるさんは、さてどうなるのでしょうか?(かこさとし公式サイトより)
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かわったたまごから生まれたニワトリのひよこは自分でツピティと名前をつけてお嬢さん気取りです。お友達と遊んでいてもすぐに文句を言ったり不満ばかり。孔雀の真似をして叱られ家出をしますが、わがままがなおりません。そんな時にキツネだけがやさしい言葉で家に招き入れます……(かこさとし公式サイトより)
たのしいまつりとは、クリスマスのことで、大きな大きなクリスマスツリーのてっぺんから根のある地下まで、動物たちによって綺麗に飾り付けされていく様子が縦にめくる場面で紹介されていきます。鳥や動物などさまざまな生き物、きれいなもの、楽しいこと、おいしいものなど、大好きなあれもこれもがある不思議なクリスマスツリーをご覧ください。(かこさとし公式サイトより)
今回ご紹介した5作品は、残念ながら今では重版未定で手に入らない状態に……しかし、今回オンデマンド印刷で復刊され、入手できることになりました(詳しくはこちらのページにまとめております)。
懐かしの絵本で、心はあの頃にタイムスリップ!ぜひ、親子で楽しんでください。
(マイナビ子育て編集部)
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