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日本語の表現の中には時代を経て、実際の意味とは違う意味が一般化してしまっている言葉も多く存在します。今回は、文化庁が実施した「国語に関する世論調査」の結果をもとに、「涼しい顔をする」という慣用句の本来の意味を、どれだけの人が理解しているか見ていきます。
文化庁が毎年行っている「国語に関する世論調査」を見ると、間違って理解されやすい慣用句や言葉を知ることができます。今回は、全国の16歳以上の6,000人を対象に行われた令和4年版の調査報告から、「涼しい顔をする」という慣用句の理解度を見ていきましょう。
※画像はイメージです
小説などで見ることもある「涼しい顔をする」という慣用句。それでは、「涼しい顔をする」の意味として合っているのは(ア)と(イ)どちらだと思いますか?
(ア)大変な状況でも平気そうにする(イ)関係があるのに知らんぷりする(ア)と(イ)両方(ア)、(イ)とは、全く別の意味
この設問で、最も多かった回答は(ア)の「大変な状況でも平気そうにする」で61.0%の人がこれを選んでいます。本来の正しい意味は(イ)の「関係があるのに知らんぷりする」なのですが、こちらを選んだ人は22.9%でした。なんと6割以上の人が本来の意味とは違うように覚えている、または本来の意味とは違う使い方をしていることがわかりました。さらに、「両方の意味」と回答した人も13.5%。その意味はかなり曖昧に理解されていると言えます。
文化庁国語課「令和4年度 国語に関する世論調査」より
年代別で見てみても、すべての年代で本来の辞書に載っている意味合いである「イ」を選択した人より、本来の意味合いとは違う「ア」を選択した人が多いという結果でした。年代に関係なく、「大変な状況でも平気そうにする」という本来とは異なる意味合いで覚えている人が多いようです。
とくに「ア」を選択した人と「イ」を選択した人の開きが最も大きいのは30代で、68.5ポイントに及んでいます。若い世代ほど間違っている人が増えるというわけでもないことがわかりました。
今回は慣用句の「涼しい顔をする」の調査結果を見てきました。その意味は「自分に関係があることなのに、知らないふりをする」であり、「素知らぬ顔」や「何食わぬ顔」などと同義語とされています。しかし、「大変な状況なのに平気そうにする」という異なる意味で覚えてしまっている人が多いことがわかりました。おそらく、「平然としている」「あっけらかんとしている」などと同様に使われてしまっているのでしょう。どの世代でも、間違っている人が多いことから、大人の間違った使い方を子どもや若者もそのまま覚えてしまったのかもしれません。言葉は使われる中で変化していくとはいえ、できれば本来の正しい意味合いを忘れず、次の世代にも残していきたいところです。
(マイナビ子育て編集部)
■令和4年度 国語に関する世論調査/文化庁国語課調査対象:全国の16歳以上の個人調査時期:令和5年1月16日~3月15日有効回答数:3,579
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