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「自分の心地のよい時間の使い方をデザインする」ための方法を紹介した書籍『やりたいことがどんどん叶う!じぶん時間割の作り方』(川瀬はる著、吉武麻子監修)。著者対談後編では、1児のママでもある川瀬さんが、タイムコーディネートを始めてみて起きた変化が明らかに!
前編ではお二人の対談を通してタイムコーディネートが大事にする「心地いい時間の考え方」について対談を通して教えてもらいましたが、今回は具体的なタイムコーディネートの始め方や誰もが抱えている時間の思い込みについてピックアップ。お二人にお話をしてもらいました!
――川瀬さんは、どういう時間が心地いいと感じましたか?
川瀬一番は一人の時間ですね。もともとは子どもが小さいのに一人時間を持ちたがる自分をすごく責める気持ちがありました。だけど、吉武さんと出会ってからタイムコーディネートの考え方がじわじわと自分の中に浸透してきていて。「自分の心地よさを大切にする」考え方が、すごく腑に落ちたんです。子どもを愛することと、一人の時間をしっかり保つことは両立するなと思えるようになりました。実は今、月に1回ビジネスホテルに泊まっているんです。
吉武え!それは初耳!すごい進歩ですね!
川瀬ホテルの部屋だと誰も入ってこないから漫画のことを考えたりするときにとてもよくて。ただただ没頭できるんですね。だから、夫と相談してそういう時間を月1回、積極的に持つようにしています。
――一人時間という心地よい時間を持てたことで、家族の関係にも変化がありましたか?
川瀬自分の心地よさを大事にすると、人の心地よさも大事にしたくなります。夫は釣りが好きなんですけど、夫は釣りの時間を持つことが心地いいんだなと思うと、それを大事にしてほしいので、協力しやすくなったりしましたね。
吉武素敵ですね!はるさんの変化が本当に嬉しいです。タイムコーディネートを素直に実践してくださったからこその気づきですよね。この対談もそうですが、書籍が仕上がって、私も初めて読ませていただいたときに、こんなに汲み取っていただけたんだと驚いたんです。本当に実際に自分の生き方に落とし込んで取り組んでくださったのが、すごく嬉しかったです。
――自分の時間の使い方を変えたい!と思ったときにまず何から始めるとよいですか?
吉武まずは、自分の時間の使い方を可視化すること。皆さん、実は自分がどういう時間の使い方をしているのか具体的にわかっていないことが多いんです。そこで私はいつも実際の24時間と理想とする24時間を書き出してもらいます。
とある研修で、自分の24時間の使い方を参加者に書き出してもらったときのことです。その中で通勤や残業を合わせて仕事に15時間も使っている方がいました。そのうち、通勤時間が往復3時間ほど。通勤時間を抜いたとしても残り12時間は仕事をしているわけですから、残業は長時間に及んでいます。だけど本人はこう言うんです。「私の効率が悪いんです。もっと効率よくできたら、やりたいこともできるのに……」と。
――確かに、時間がないと思ったときには「まずは効率化」って考えますね。
吉武仕事における時間の効率化は必要だと思います。ただ、効率化の前にできることを考えてみましょうと。その方の場合、睡眠時間が6時間だとしたら、自由に使える時間は3時間しかありません。ご飯を食べたり、お風呂に入ったりしたら、3時間なんてあっという間になくなってしまいます。「常日頃から時間がないとは思っていたし、残業が多いと思っていたけれど、まさか自由に使える時間が1日3時間しかないとは思わなかった!」と本人も驚いていました。
吉武こうなると、仕事の効率化だけ考えていても時間の少なさは解決しないと気づいたようです。まず長い通勤時間を活用して、何か自分がやりたいことをできないか考えてみたり、仕事の中にはやらなくていいこともあるはずだから、まずそれを見つけたりしましょうと提案しました。こうして具体的に詰めていくことが大事!
実は、私が紹介した方のように「もっと効率よく時間を使いたい」と話す方がほとんどなのですが、「効率化」という言葉の漠然としたイメージに苦しめられているケースが多いと感じます。だけど実際に24時間を書き出してみると、それが基準となるので具体的に改善すべき点がわかります。しかし、それは決して「効率化」のためではありません。「自分の心地いい時間の使い方を叶える」ため。それがタイムコーディネートの考え方です。
川瀬私も吉武さんに教えてもらって、24時間を書き出してみたんですよ。もともと私、数字が嫌いなんです。なんでも数字で可視化って言うけど、そんなの知りたくないし、ふわっとさせておきたい(苦笑)。書き出すことの大切さに気づいていなかったし、「無駄な時間にこそクリエイティブな何かが生まれる」と漠然と思っていました。
川瀬だけど、えいや!と取り掛かってみたら、不思議なことにその後はできるようになってきて。ログをつけるのが習慣になりました。もちろん、ストイックなやり方なんて全然していなくて、自分が何にどれくらいかかったかメモ帳に殴り書きするだけ。ただ、記録することで自分の24時間の使い方を俯瞰して見られるようになったし、自分にとって心地よい時間の使い方は何だろう?と考えられるようになったんです。
吉武はるさんの数字に対する感覚は珍しくなくて、数字が苦手で見たくないみたいな人も多いですね。ただ、お金と違って時間は24時間と決まっているので、わりと整理しやすいと思います。例えば、夫婦の家事の分担で「私のほうがやってる!」という話になることがあると思うんですけど、普通は感情のやり合いでうまくいきませんよね。だけど、客観的な数字を使いながら、やっていることとともに時間を書き出して提示していけば、相手とも話し合いをしやすくなるように思います。
川瀬書籍にも描いたのですが、私は吉武さんの「人間って怠けようとする生き物だ」っていう言葉が結構心に残っていて……。
吉武結構いろいろなところでこの言葉はお伝えしているんです。私自身も基本的にめんどくさがり屋で。人間ってやっぱりやらないほうが楽じゃないですか。ついスマホ見てだらだらしちゃうし、外にウォーキングに行くにしても、雨が降っているからやめようみたいな。やらない理由を自ら探していくこと、多くありませんか?
――あります……!
吉武人間は基本設定が怠けものなのに、そうじゃないって思いこんでいるから、苦しくなっていくのかなと思うんです。「効率よくできない自分はダメだ!」って自分を責めちゃうんですよ。でも、最初から怠けものに合った24時間を設定しておけば、 厳しい時間の使い方にならなくていいですよね。そんな考え方も1つの例としてあるので、私は「人間って怠けものだよ」とよく言うようにしています。
そもそも自分に期待している人が多いんですね。目標や計画ってたいてい無理なものを立てるじゃないですか。それはある意味自分に期待している行為だから、やっぱりハードルを上げがち。それを少し下げるために私の実例も出しながら「そんなに完璧を目指さなくても大丈夫ですよ」と伝えていますね。
――現代人がとらわれている、時間の思い込みをクリアにするのがタイムコーディネートだということを、お二人のお話を伺って感じました。お二人はタイムコーディネートをどんな人に知ってもらいたいですか?
川瀬育児中の時間の使い方で悩んでいる方がいたら、ぜひ知ってほしいです。ほかにも、子どものこと以外でも介護とか誰かのサポートをしないといけない人にもなんらかの形で届いたらと思っています。タイムコーディネートは「時間」という誰もが共有できるものを土台にして、吉武さんがわかりやすく考案してくれているので誰にでも当てはまりますし、誰しもが自分ごととして「私にフィットする時間の使い方はどんな感じだろう?」と考えられると思います。
吉武「子どもたちが“生きる楽しさ”を感じて生きていってほしい」という、自分の中のビジョンがあって。なので、子どもたちもそうなんですけど、まずはその子どもたちの近くにいるお母さん、お父さんに届いたらいいなと思っています。やっぱりご両親が自分らしく時間を使って、楽しく生きているからこそ、その背中を見て子どもたちも楽しいと感じられると思うんです。
時間は大事だし、減っていくのも、限りがあるのも、皆さん知っています。だけど、悩んでいてもお金みたいに目に見えるものじゃないので、具体的には何もしないことのほうが多いと思います。
「お金貯めるには投資!」とか、それも大事ではあるけれど、結局は時間の使い方にすべてがひもづいてくるはず。投資したいけど、その投資のことを勉強する時間がないとか。結局、みんな時間です。なので、はるさんが言ったように「時間がない」と言っている人全員に届くといいですね。「時間がない」が解決したら、皆さんいろいろなことができます。それって本当にすごいことだと思いませんか?
最初は自分が何に時間を使っているのか書き出すのが怖かったという川瀬さん。どちらかというと、腰が重い性分ということですが、そんな川瀬さんが変化をたくさん起こしていることが何よりタイムコーディネートの良さを物語っていますね。
書籍『やりたいことがどんどん叶う!じぶん時間割の作り方』では、川瀬さんの実体験をベースに、吉武さんの監修つきでタイムコーディネートについて漫画でわかりやすく紹介されています。「従来の時間管理術は挫折してきた……」「ワーママやワーパパが実践しやすい時間の使い方って?」、一度でもそう考えたことのある人におすすめの一冊です。
川瀬はる長野県出身。2021年『私をとり戻すまでのふしぎな3日間』(オーバーラップ)でデビュー。2024年4月『おはよう、しっぽ』(文藝春秋)発売。早起きが好き。X(旧Twitter):@mkawasemInstagram:@kawase_haru吉武麻子TIME COORDINATE 株式会社代表。大学卒業、旅行会社勤務・韓国留学などを経て独立。キャリアとライフイベントの狭間で葛藤した経験から、疲弊せずに毎日を楽しみながら仕事のパフォーマンスもあげていくオリジナルのタイムコーディネート術を考案し、のべ3000名以上に指南。手帳の製作販売も行う。著書『目標や夢が達成できる1年・1カ月・1週間・1日の時間術』(かんき出版)。神奈川県出身、2児の母。X(旧Twitter):@time_coordinateInstagram:@time.coordinate
(取材・文:江原めぐみ)
この記事のライター
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