ふるさと納税の始め方/ふるさと納税で損しないために

更新日:2018年9月18日 / 公開日:2017年6月7日

近年、注目が集まる『ふるさと納税』。何となく「ふるさと納税は良さそうだ」と感じているかもしれませんが、金額無制限で行えば良い訳ではないですし、確定申告等の手続を踏むことも必要です。また、減給、途中退職などがあると自己負担額が増えることも。そこで今回は、損しないふるさと納税についてをお話ししたいと思います。

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ふるさと納税、何が魅力なのか?

ふるさと納税はそもそも「地方出身者で都会に出てきた人が、納税を通じて出身地に貢献したい」という発想から生まれた制度です。
実際には、出身地のみならず、自分が応援したい自治体を選べます(つまり、どの自治体にでもできる、ということです)。
そんなふるさと納税、いったい何が魅力なのでしょうか。

①ふるさと納税の寄付を支払うことで、所得税<注1>および翌年の住民税<注2>、ないしは翌年の住民税<注3>が減額される(ただし後述の通り、"節税"ではありません)
②好きな地域に貢献できる
③何といっても、お礼の品がもらえる

ふるさと納税と確定申告

次はふるさと納税の手続の流れについてです。
原則として、次のようになります。

① ふるさと納税を行う自治体を決める
② 申込および寄付金の支払
③ 証明書およびお礼品の受取
④ 確定申告

また、要件に該当する場合、確定申告不要なワンストップ特例<注4>、という方法も選択可能です。
手順は次の通りです。

① ふるさと納税を行う自治体を決める
② 申込および寄付金の支払
③ 証明書およびお礼品の受取
④ 申請書を寄付のつど、寄付先の自治体に送る

なお、ワンストップ特例を選択する場合、ふるさと納税を行う都度、申請書を提出しなければならない等、手続きが煩雑になります。
また、医療費控除等が必要な場合には、どのみち確定申告が必要になります。
私見になりますが、ワンストップ特例の選択が可能であっても、確定申告による手続きをお勧めします。

いずれにしても、いくらふるさと納税で自治体に寄付しても、確定申告ないしはワンストップ特例の手続まで行わなければ、単なる払い損になりますので、くれぐれもご注意ください。

ふるさと納税は節税ではない

以上が、ふるさと納税の概略になりますが、いわゆる"節税"になるわけではありません。

つまり、確定申告等の手続を行うことで、所得税や翌年の住民税を減額できるのですが、そもそもその大前提として、自治体にふるさと納税分を寄付していますので、早い話、ふるさと納税で支払った相応分の一部が所得税・住民税を介して戻されるだけです。
"節税"しているわけではないのです。

そこで「なんだ!ふるさと納税しても何の得もないのか?!」と感じるかもしれませんが、そうではありません。
というのも、『ふるさと納税額から自己負担2,000円を控除した全額を、所得税・住民税から控除できる範囲内』でしたら、実質2,000円の負担で寄付をした自治体からお礼の品がもらえるからです。

損しない!ふるさと納税で得をする基準額とは?!

ここでポイントになるのが、『ふるさと納税額から自己負担2,000円を控除した全額を、所得税・住民税から控除できる範囲内』がいくらなのか、つまり『自己負担2,000円だけで済む上限額』を把握することです。

その計算式は、下記①と②の合計額になります。

①(個人住民税所得割額×20%)÷(100%-基本分10%-所得税率×復興税率1.021)
② 自己負担2,000円

例えば、給与年収400万円(源泉徴収票「給与所得控除後の金額」記載額2,660,000円「所得控除の額の合計額」記載額980,000円、住民税所得割額<注5>173,000円)の場合で計算してみます。

この場合、下記の計算式の通り、①40,756円+②2,000円=42,756円が、自己負担2,000円だけで済む上限額となります。

①[173,000円(住民税所得割額)×20%]÷[100%-10%(基本分)-5%(所得税率)注5×1.021(復興税率))]=34,600円÷84.895%=40,756円
②自己負担2,000円

もし計算が面倒でしたら、総務省サイトに上限目安がありますので、そちらをご参照ください。
「総務省 ふるさと納税ポータルサイト 全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安」

なお、上限額を超えて、ふるさと納税を行った場合はどうなるのでしょうか?
その場合は、『ふるさと納税額-上限額』の差額部分は、単に自腹を切って寄付しただけということになります。

上記の給与年収400万円の例を使って説明します。

ふるさと納税を4万円した場合は、上限額42,756円以下なので、自己負担は2,000円。
他方、上限を超えてふるさと納税を45,000円を行った場合は、45,000円-42,756円=2,244円になり、自己負担額は2,000円+2,244円=4,244円になってしまいます。

ですので、いたずらに自己負担額を増やさないためにも、ふるさと納税を行う際には、上限額を意識するように心がけてください。(もちろん、純粋に自治体に寄付したい、と考える方は、その限りではないですが…。)

ふるさと納税で起こり得るデメリット

以上、ふるさと納税について着目すべき点を見てきました。

重要なこととして、
『税額(所得税・住民税)の負担のある方が対象』
『(自己負担額を増やさないためには)上限額がある』
が挙げられます。

そこで、出産などで途中退職した場合に起こり得るデメリットについて、どのような注意点があるのか見ていくことにします。

まずは、途中退職した結果、その年の給与が100万円以下になった場合など、所得税や住民税がそもそも発生しない可能性。
その場合には、ふるさと納税によって減額すべき税金がありませんので、ふるさと納税を行っても、その分が丸々単なる負担になってしまいます。

また、産休などでの途中休職、ボーナスの減少など、その年の所得税や住民税は発生するけれど、当初の見込みよりも低くなることも十分に考えられます。
その場合には、ふるさと納税の上限額も、当初の見込みよりも低くなります。

例えば、当初は年収500万円で上限額を61,000円程度で見込んでいたところ、途中退職の影響で年収が300万円になる場合には、上限額は28,000円程度に下がります。
当初の見込みに基づいて、ふるさと納税を6万円行っていた場合、当初の見込み通りでは自己負担2,000円だけ済むところ、途中退職により、結局は自己負担が34,000円に増えてしまった、ということになってしまいます。

以上のようなデメリットが考えられますので、出産等による途中退職が想定できる場合、ふるさと納税を検討されるならば、下記の対応を検討しましょう。

・退職により変動する給与額の目途がつく場合には、その範囲内にとどめておく
・旦那様名義でふるさと納税を行う(旦那様の所得税・住民税額や、上限額を踏まえて検討してください)
・所得税・住民税が発生しないならば、ふるさと納税は行わない(もちろん、純粋にその自治体に寄付したいという動機がある場合は、その限りではありません)

昨今、総務省が全国の自治体に「返礼品の価格について、寄付額の3割までに抑えるよう」に要請しているために、返礼品の価格が抑えられる前に駆け込みでふるさと納税を、と考えている方もいらっしゃると思います。
また今後年末になって慌ててふるさと納税を、と考える場合もあるかと思います。
ですが、以上で見てきたように、きちんと計算をしないと思ったようにならないこともあり得ます。
せっかくのふるさと納税を有効に活用するためにも、今回の内容を踏まえて検討していただければと思います。



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