雇用保険の育児休業給付金を知って、賢くライフプラン!

更新日:2019年7月5日 / 公開日:2017年9月4日

「このまま今の職場に居続けてキャリアを伸ばしていくより、出産後も安心して仕事と子育てを無理なく両立できるよう子育てに、理解がある職場にいまのうちに転職しておきたい…。」 と将来を描いている女性は多いのではないでしょうか? 出産・子育てを見据えて転職を考える時、"雇用保険の育児休業給付の受給要件"をきちんと確認しておくべき!と社会保険労務士の浦野さんが教えてくれました。

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失業だけじゃなく「育児休業給付」もある雇用保険

雇用保険というと"失業時に給付を受けられる保険"というイメージが一般的には強いかと思います。
実際には、雇用保険には失業時の給付(基本手当)以外にも、育児休業給付もあり、特に出産や子育てを経験する世代は、失業の給付より、子が1歳になるまで、給料の約66%~50%の金額を受給できる育児休業給付の方が、はるかに金額が大きくなることがあります。

実は、転職によって育児休業給付に必要な条件を満たせなくなってしまうという事例があります。
子育てに理解のある職場に転職したのに、育児休業給付が受けられないとなったら生活設計がくるってしまうことも。
出産・育児を見据えて転職を考える場合、事前に"育児休業給付の受給要件"を確認しておくことをおススメします。

月11日の勤務が12か月必要で、過去の職歴の通算もできる

育児休業給付の要件に「休業を開始した日前の2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が通算して12か月以上あるときに育児休業給付金の受給資格者となる」という定めがあります。

わかりやすく説明すれば、実際には出産前も休むのが普通ですので、産休にはいる前の2年間のうち、きっちり働いた月(月11日以上勤務)が12か月あればよい、ということになります。
ですので、同じ職場で1年以上一定の日数以上勤務実績があれば、この要件はほぼクリアできます。

では、今の職場ではまだ就職から1年未満という場合はどうなるのか?
雇用保険の定めでは「通算して12か月以上」あればよく、前の職場を退職して1年以内に今の会社に就職したのであれば、前職の勤務実績を足し算(通算)することが可能です。
前職と今の職場で過去2年に12か月以上、きちんと勤務した月(11日以上勤務)があればOKということになります。
ただし注意しなければならないのは、過去の勤務実績を通算(足し算)ができないケースがあるのです。

退職後、ハローワークにて手続きで過去がリセット!?

雇用保険の定めには「最後に被保険者となった日前に、当該被保険者が基本手当の受給資格を決定したことがある場合には、当該受給資格に係る離職の日以前における被保険者であった期間」は通算できないと定められています。
わかりやすく説明すると、前の職場を退職後失業の給付を受けていたら前職期間は通算できません。
さらに失業の給付金を1円も受け取っていない場合でも、ハローワークに離職票を持ってゆき受給資格決定の手続きを行っていたらアウトということになるのです。


この場合失業期間、失業の給付を受けておらず、ハローワークにて何も手続きしていなければ産休前の2年間に「8か月+6か月=計14か月」勤務しているということになり、"月11日の勤務が12か月必要"の条件は満たせます。


失業期間に失業の給付(基本手当)を受けようと考え、離職票を持ってハローワークにて手続を行い(受給資格決定)その後実際には失業の給付を受けることなく今の職場に就職した場合、一度、受給資格の決定を行っている為、前の職場の勤務期間(12か月)は通算できません。産休前に6か月のみ勤務ということになり、育児休業給付の受給資格を満たせないということになってしまうのです。

有期雇用の場合は、新たに1年以上働く必要がある

さらに、前職を退職後、失業給付の手続きをしていなくても、過去の勤務分が通算できない場合があります。
それは、新たな就職先が「有期雇用」だった場合です。

雇用保険の定めでは、
「被保険者が期間雇用者(期間を定めて雇用される者)である場合は、育児休業給付の受給資格が確認され、休業開始時において同一事業主の下で1年以上雇用が継続しており、かつ子が1歳6か月までの間に、その労働契約の期間(労働契約が更新される場合にあたっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者が、育児休業給付の対象となる」
とあります。
つまりは、同じ職場(同一事業主)で1年以上働き、さらに子が1歳6か月以降も雇用契約が継続(更新)される見込みがある場合のみ条件クリアということになるのです。

まとめ
出産・育児を見据えて今の職場を退職する場合、新たな職場でどのくらいの期間働くのか、入社を考えている会社が「有期雇用」なのかどうかを考慮した上で、失業の給付の手続きを検討することをおススメします。


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