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「扶養の範囲で働きたい!」パート収入の制限や意識すべきポイントとは

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「扶養の範囲で働きたい!」と考えながら、働く女性の皆さんは多いのではないでしょうか。所得税103万円の壁と、社会保険130万円の壁。実は、この2つの壁、金額が違うだけではなく、壁についての考え方も異なっています。特に、社会保険では、年収130万円以下でも扶養から外れてしまうケースがあるのです。

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目次

扶養に入っていた人が外れてしまった場合…

  • 国が運営する協会けんぽ(東京都、平成28年10月1日時点、40歳未満)の場合
  • 健康保険料が4,880円(税込)
  • 厚生年金保険料が8,909円(税込)

計13,789円(税込)天引きされてしまう!

※※2017年1月時点

社会保険労務士って?

はじめまして。社会保険労務士の浦野英樹と申します。社会保険労務士は、主に、企業向けに、出産育児に関わる社会保険等の手続き、社内規定・人事制度の提案を通じて、ワークバランス実現のお手伝いをしています。同時に、私は、地域の中で「節約ママの楽しい家計塾」という子育て中のお母さん向けのマネーセミナーを開催したり、地元の民法ラジオ局で、家計アドバイザーとしてコメンテーターをつとめていたりします。そこで感じるのは、子育てしながら働きたいと考える女性にとって、社会保険や雇用ルールなど知っておいた方がよい知識がたくさんあるのに学ぶ場がない!ということ。これからmichillでは、「知らずに損してしまった」ことがないよう、わかりやすく、社会保険や雇用ルールについて伝えていきたいと思います!

所得税と社会保険 “壁の考え方”が異なる

年末になると、所得税「103万円の壁」を意識して、働き方を調整するパートの方は多いです。所得税では、雇われている給与所得者であれば、1月から12月の間に得る収入が103万円以下で「扶養」されているとみなされ「控除対象配偶者」として所得税の配偶者控除の対象となります。

一方、所得税と同じく「扶養」としての制度がある社会保険(健康保険・厚生年金)では、「年収130万円以下」であれば扶養親族として、健康保険では保険料負担がゼロ、年金では「第3号被保険者」として年金保険料負担がない等のメリットがあります。しかし、社会保険の「扶養」の考え方は所得税とかなり異なっています。実は、年収130万円以下であっても、扶養から外れてしまうことがあるのです。

働き方(労働時間、労働日数)によって扶養から外れてしまう

パートの場合、労働時間や労働日数といった「働き方」も扶養親族となるかどうかに影響してきます。

フルタイム正社員は、会社に雇われていれば当然、社会保険に加入するのですが、パートであっても“正社員の4分の3以上の労働日数、かつ、正社員の4分の3以上の労働時間”であれば社会保険に加入というのが現在の基本ルールです。ということは、現在も、パートだけど、働く時間が正社員に近ければ、社会保険に加入しなければならないということになるのです。

例えば、正社員の労働時間が週40時間(週5日、1日8時間勤務)という会社で、週4日勤務、1日の勤務時間が6時間のパートであれば、会社は社会保険に加入させる義務があり、パートで働いている方は、扶養から外れて自分の勤務先の社会保険に加入することになります。

その場合、当然、健康保険料や厚生年金の保険料は自身で負担する必要があり、給料から天引きされます。月収10万円程度で、扶養から外れて勤務先の社会保険に加入となれば、国が運営する協会けんぽ(東京都、平成28年10月1日時点、40歳未満)の場合で健康保険料が4,880円、厚生年金保険料が8,909円と計13,789円が天引きされます。(※平成29年1月1日時点)

大企業で働くパートには新たなルール「106万円の壁」

平成28年10月から、“大企業”に勤務するパートには、新たな社会保険加入のルールが設けられました。具体的には、“週20時間以上の所定労働時間”、さらに“1年以上の雇用が見込まれる”、さらに“給料が月8.8万円以上”という場合は、職場での社会保険に加入する必要があるというルールで、年間収入にすれば約106万円であることから、「106万円の壁」と呼ばれています。

対象となる事業所ですが、正社員の人数プラス、先ほど解説した“正社員4分の3以上日数・時間勤務のパート”の人数で500人以上の事業所になります。

働き方(労働時間、日数)だけではなく、どんな規模の事業所で働くかによっても、社会保険加入のルールが異なってくるということになるんですね。

所得税と社会保険では「タイミング」も異なる

所得税の「年間103万円」の壁は、暦上の1年間、つまり1月から12月の間に支払いを受けた収入で判断されます。一方、社会保険の場合は、暦の1年とは関係なく、“これから1年間”という考え方をします。例えば、月収8万円程度の収入だったパートが、働く時間を増やして月収12万円程度となった場合、仮に暦上の1年間の収入が130万円以下であっても“働く時間が増えたタイミング”から、自ら被保険者として、社会保険に加入すべきか判断することになるのです。

仮に、労働時間が増えてすぐに自ら被保険者として社会保険に加入しなかった場合でも、後になって年金事務所から勤務先の事業所が指摘を受け「さかのぼって扶養から外れて自ら社会保険に加入」ということもあったりします。

パートとして「扶養の範囲内」で働きたい方は、所得税では「年収」を確認すればよいのですが、社会保険の場合は、“働き方が変わったタイミング”で、扶養に該当するかどうかを確認した方がよいでしょう。



この記事のライター

浦野英樹

昭和44年大分県出身。東京都立大学法学部卒。出版社人事労務部門に勤務の後、平成17年、社会保険労務士として独立。企業内での出産育児に関わる規定の整備・手続きに加え、子育てママが子連れで参加できるマネーセミナー「節約ママの楽しい家計塾」レギュラー講師として、わかりやすく労働法や社会保険の仕組みを伝える活動を展開。地元民放ラジオ局(大分放送)にて、家計のやりくりについてのコメンテーターも担当。

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