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リクルート住まいカンパニーが「2014年度 賃貸契約者に見る部屋探しの実態調査」の首都圏版と関西版の結果を相次いで発表した。スマートフォン利用者が増加といった結果のほか、不動産会社への訪問数について「0店舗」との回答が増加するといった傾向も。賃貸の部屋探しの現場で、どういったことが起こっているのだろう?【今週の住活トピック】
「2014年度 賃貸契約者に見る部屋探しの実態調査」(首都圏版・関西版)を発表/リクルート住まいカンパニー不動産会社店舗への訪問数は0、見学した物件数は0が増加!?
調査は、2014年4月~2015年3月に賃貸に入居した人を対象に、首都圏と関西圏それぞれで行われた。
利用した情報源については、減少傾向にあるものの今なお「PCサイト」がトップ(首都圏49.2%、関西圏44.6%)だが、「スマートフォン(スマホ)のサイト・アプリ」が増加を続けていることが注目だ。特に首都圏では、スマホ利用者が29.9%に達し、「不動産会社に直接訪問」の28.7%を抜いて、2位に躍り出た。関西圏のスマホ利用者は23.9%で、不動産会社に直接訪問の33.6%に次いで3位だった。首都圏・関西圏ともに、ひとり暮らしの女性社会人での利用が多いという特徴がある。
次に、「部屋探しのために訪問した不動産会社店舗数」については、平均で首都圏が1.7店舗、関西圏が1.5店舗。内訳を見ると、突出して「1店舗」が多く(首都圏42.8%、関西圏49.7%)、次いで「2店舗」(首都圏25.9%、関西圏24.1%)となっている。注目は、「0店舗=訪問していない」が意外に多いこと。首都圏で12.2%、関西圏で11.2%と1割を超える人が、部屋探しで不動産会社の店舗を訪問していない。
さらに、「部屋探しの際に見学した物件数」では、平均で首都圏が3.4件、関西圏が3.6件。物件数の内訳を見ると、数多く見学する人もいればあまり見学しない人もいて、分散していることが分かる。しかしここでも、「0件=見学していない」との回答が1割弱(首都圏9.5%、関西圏8.7%)あるという点に注目だ。
賃貸に入居するのに不動産会社を訪問しない、物件を見学しないということが、あるのだろうか?
一般的に考えられるのは、入学や入社のために地方から都市部に引越す、または急な転勤で地縁のない勤務先に引越すなどのように、遠方で部屋探しのための時間があまり取れないといった場合だ。勤務先で紹介された不動産会社に、ある程度お任せで決めてしまうといったことがあるかもしれない。
そうした事例だけで、0店舗や0件の人が1割前後いるということになるのだろうか?
この疑問を、賃貸物件の管理運営を手がけるハウスメイトパートナーズ 東京営業部 課長の伊部尚子さんにぶつけてみた。部屋探しの現場では、いったい何が起こっているのだろう。
まず、賃貸に入居するまでに全く不動産会社の店舗を訪れないということは、基本的には考えられないという。賃貸借契約を結ぶ際には店舗に来てもらって、重要事項を説明するなど、法律で定められている契約手続きを行うのが原則だからだ。
ただし「部屋探しのために」という設問に鍵があるかもしれないと、伊部さんは指摘する。というのも、最近は物件見学で現地集合、現地解散というケースが増えているから。契約のために店舗を訪問はしたけど、部屋探しのために訪問はしていないという可能性がありそうだ。
現地集合というスタイルが増えてきた時期は、インターネット上で賃貸情報が充実し、特に外観や室内の写真を多数掲載したり、動画を掲載したりするようになった時期とリンクしているという。ネット上の情報で希望の物件を絞り込むことができるので、その物件を直接現地で待ち合わせて見学するという人が増えたという構図だ。
ネット上で物件の絞り込みができることは、見学物件数の減少にもつながる。また、遠方の場合は、ネット上の情報に加え、メールや電話のやりとりで物件を決めて、契約日になって初めて物件を見学するというケースもあるというので、0件の回答の中にはそうした事例も含まれているのだろう。
さて、住まいを購入するのと比べると、賃貸は移動の自由度が高いと言われている。それでも、不満を感じて賃貸を退去し、新たに住み替えるとなると、時間も労力も、お金もかかる。
事前に物件を絞り込む「決め打ち」スタイルが広がっているというが、実際に物件を見比べることで、気がつかなかったニーズが見つかることもある。また、部屋を十分に見学せずに決めてしまうということには、リスクも伴う。
「現地周辺の環境なども重要なポイントですから、ネットの掲載情報だけでなく、物件を見学してしっかりチェックして決めてほしいです」(伊部さん)
日々の生活の場となるマイルームだからこそ、後悔しないように選んでほしい。
この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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