/
正面がガラス張りのまるでピラミッドのような家。植物園と見間違えそうになる緑に覆われた外観だが、これは正真正銘、人が生活する住宅なのだ。確かに開放的であることは間違いだろうが……ここまで行くとプライベートが確保できるかが少々心配でもある。
そこで、この『ガラスのピラミッド』の設計者であり住民でもある、水野行偉建築設計事務所の水野行偉さんに、住み心地などの話を聞いてみた。
そもそも、どうしてこのような家を建てようと考えたのだろうか。
「ここ富山県では、雪の降る冬はとても寒く家の中が暗いんです。それで明るい家にしたくて、ガラス張りの家を建てようと思いました。この辺りは冬は雪が積もります。そのため合掌造りに代表されるような、強い勾配のある屋根が多いんです。雪を落とすために急勾配屋根にしたところ、ピラミッドのようになった訳です」ガラス張りだと日光などの外の環境を受けやすそうですが、その辺はいかがでしょう?
「ガラス張りですから当然ながら夏は暑く、冬は寒いですよ(笑)。元々外の環境や季節を肌で感じられるような家が好きなんですが、雪がふる時期もありますので対策はしています。じつは、ピラミッド型の家の中には、2つの大きな箱が入っているんです。1階は鉄筋コンクリートでできた箱で、2階は木材でできた箱で形成されています。コンクリートの箱の中は冷暖房が効きますし、快適ですね」ではプライバシーはどのように確保していますか?
「この家は生活の場以外にも3つの用途があります。私のオフィスと、妻が陶芸家ですので工房として使う部屋があり、ギャラリーもある。寝室やキッチンは外から見えない部分にあるので、うまく使い分けができています。ただ、パジャマを着たまま階段を降りていると、ご近所さんと目が合ったりするのは注意です(笑)。この家は誰にでもオススメできるというわけではありません。ですが、家中どこにいても空が見え、中庭やガラスの壁を伝う植物鑑賞ができ、季節を肌で感じながら生活するのは最高です」確かに水野夫妻のような職業を持つ二人だからこその家だと言えるかもしれない。自然を慈しみ、四季をとことん楽しむ柔軟な姿勢を持つ我こそはという人は、ガラス張りの家に住むのもいいかもしれない。
住まいに関するコラムをもっと読む SUUMOジャーナルこの記事のライター
SUUMO
172
『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
ライフスタイルの人気ランキング
新着
カテゴリ
公式アカウント