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「頑張りすぎない片付け術」を提案する片付けアドバイザーの小関祐加先生のご自宅を訪問し、上編では細々としたものが集まり毎日使うキッチン、中編では衣類等の整理に困る寝室などを例に収納の原則を紹介してきた。しかしいざ実行しようと思っても、「子どもがどんどん散らかす」「家族全員分の片付けにいつも追われている」などの悩みをもつママさんも多い。家族がくつろげる家になるよう、今回は子どものしつけや片付けに家族を巻き込んで、小綺麗な状態を長続きさせる工夫を考えてみよう。
まず大人が子どものお手本になり、片付いた状態を体感させる
「子どもが全然片付けられない」といって親子セミナーに来る方の多くは、実はご本人も片付けが苦手だという。子どもにしつけをしたいなら、まずは大人が子どものお手本となり、片付いた状態を見せることが大前提。片付いた状態を知らない子どもに、一方的に「片付けなさい」と言っても、できるはずがないのだ。
そのためにも、片付けルールは子どもでも理解できる分かりやすいものにする必要がある。分かりやすい分類やルールをつくり、片付いた状態を体感させ、さらに一緒に片付けをするなど行動見本を示して、そのうえで「自分でやってみる」ことを促そう。
例えば文房具。ボールペン、はさみ、のり、などが別々にラベル付きの分類引き出しに入っていると、使うときはいくつも引き出しを開けて必要な文具を出すが、使い終わった後にまた引き出しをいくつも開けて戻すのは大人でも面倒になり出しっ放しに。戻したとしてもラベル通りにではない可能性大。そこで文房具は、はさみ、のりなど1つずつにして、まとめて分かりやすい場所に。これなら大人も子どもも収納場所が一目瞭然、探しやすく、また戻しやすい。
ワンアクションにこだわってストレスなく出し入れできる工夫を収納の基本は「見やすい」、そして「出し入れしやすい」こと。出し入れは「ぽん!」とワンアクションですむように工夫すると、子どもにもできるし、負担感なく長続きする。
リビングダイニングに散乱しがちな各種の紙類は、積み重ねると下のものが見えなくなるし、取り出そうとすると雪崩がおきる。紙類はA4のクリアファイルに「学校関連プリント」「請求書や領収書」「手紙類」など大雑把に分類して、ファイルスタンドに立てて収納。自分のファイルスタンドの中のクリアファイルにポンポン放り込むだけですむので、しまいやすく探しやすい。
家族全員が使うものは、最初にひと手間かけて、大人も子どももすぐ使える状態に。例えば食品庫のお菓子は、買ったらすぐ包装袋から出して小袋の状態にしてお菓子カゴに。こうすれば、誰でも食べたいお菓子をすぐ選べるし、散らかることもなく、在庫も管理しやすい。
パッケージに入った食品など、すぐ取り出しやすいようにしまう時点であらかじめひと手間かけておく。紙パッケージに入ったカップスープや調味料はふたを破っておく、大袋に入ったものは中身を出しておいたり、手が入るよう口を開けておいたり。扉を開けてワンアクションで出し入れできればストレスにならない。
「自分の城」や使いやすいゴミ箱選びで自立心を伸ばす子どもが自分で片付ける習慣をつけるためには、自発性を促す仕掛けも大切だ。おもちゃ用の引き出し、自分の衣類の引き出し、自分のコーナーや部屋など、一度子ども専用と決めた場所には、決して大人のものを紛れ込ませないよう注意しよう。子どもが自分の城と認識することで、責任をもって管理する意識が芽生え、自立心が育つ。
子どもにとって「子ども用」のものが使いやすいとは限らないので要注意。例えばバッグの収納に子ども用ハンガーポールを使うと、バランスが悪くて倒れたり、下のものが取り出しにくくなる。バッグを掛ける場合は壁に取り付けた固定式で揺れないフック、置く場合は棚などに立てるようにすれば、しまいやすく中身も取り出しやすく、子どものストレスにならない。
ゴミ箱も子ども用の小さなかわいい物はNG。小さいゴミ箱は大きなゴミが入らないこともあるし、プラスティックなど軽い素材のゴミ箱はすぐ倒れてゴミが散らかる、ということにも。子ども用でも、ゴミ箱は遠くから投げても入るくらいの大きさと触れても倒れない重量感があったほうが捨てる際のストレスがない。
同じように家族全員が使うゴミ箱も、ゴミを捨てやすいものを選び、思いついたときにすぐ捨てられる場所に置こう。これでそれぞれゴミが出た時点でストレスなく捨てることができ、後から片付ける手間が省くことができる。
一人で頑張らず、指揮官として作戦を立てて子どもや家族を巻き込む片付けの基本が分かったら、あとは実行。一人で抱え込んでキリキリせず、子どもや家族をどんどん巻き込んで一緒に片付けできる環境をつくれば、小綺麗が長続きする。「自分の城」を片付けるように子どもの自主性を促す、ゴミを捨てやすいようあらかじめひと工夫する、子どもと一緒のリセットタイムでお片付けをするなど、巻き込む工夫を自ら考えて動くことで、「家族に振り回されている」という受け身の意識は消える。
実際片付け作業に伺ったお宅で、家が綺麗になっていくのとともにお子さんの眼が輝いたり、家族の会話が増えたりするのを何度も見てきたからこそ「お子さんが小さいうちに、家族全員がくつろげる環境を整えてあげてほしいです」と小関さん。
子どものものは成長とともに増える一方。ぜひ少しでも早く、家族全員で毎日ちょっとのお片付けを習慣にして、くつろげる家にしてほしい。
●取材協力この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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