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住宅金融支援機構が、【フラット35(リフォーム一体型)】の取り扱いを2015年4月20日から開始すると発表した。これまでも、「リフォームパック」などを使えば、リフォーム資金も借りられるケースはあったが、使い勝手がよいとはいえなかった。「リフォーム一体型」では、購入資金とリフォーム資金をまとめてフラット35が借りられるようになる。詳しく紹介しよう。
強まる「リフォーム一体型」住宅ローンのニーズ中古住宅を購入して、リフォームをしてから住もうという人が増えている。課題となるのは、ローンの取り扱いだ。中古住宅を購入する際には、いわゆる住宅ローンが利用できる。最長35年など長期間の返済が可能で、金利も極めて低い。
一方、購入した中古住宅をリフォームする場合のリフォーム費用は、自己資金(現金)で払うか、リフォームローンを利用するか、住宅ローンを利用するかになる。リフォームローンの場合は、10年など返済期間が短くなるうえ、金利も住宅ローンより高くなる。住宅ローンの返済に、リフォームローンの返済が重なるので、当初10年間などの返済額がかなり多くなり、思ったより借りられないということもある。
銀行など民間金融機関の住宅ローンは、リフォームにも利用できるのだが、担保が必要になる。住宅購入の際にすでに家を担保に入れているので、リフォームの借り入れでは担保が必要ないリフォームローンしか借りられないというケースが多くなる。
そこで、住宅購入費用にリフォーム費用を上乗せして、住宅ローン一本で借りたいというニーズが高くなっているのだが、金融機関の一部でしか取り扱いがないというのが実態だ。
「フラット35」で、購入もリフォームもまとめて借りられる「リフォーム一体型」登場これまでフラット35は、リフォーム資金としては利用できなかったが、「独立行政法人住宅金融支援機構法施行令」の一部を改正することで、「フラット35(リフォーム一体型)」が実現した。ただし、フラット35の技術基準に適合することが前提となる。
朗報となるのは、購入する中古住宅がフラット35の技術基準に適合してない場合でも、リフォームによって適合するようになれば、購入資金とリフォーム資金をまとめてフラット35が利用できるようになること。より条件の厳しい「フラット35S」(当初5年または10年金利を引き下げるもの)に適合するようになる場合も同様だ。
4月20日時点で、リフォーム一体型を取り扱う金融機関は42行となっている。今後は、より多くの金融機関が取り扱うことが期待される。
リフォーム一体型の住宅ローンを利用したいなら、事前準備がポイントにまずは、手続きの流れについて見ていこう。
注意が必要なポイントは大きく下記の3点。
1.「既存住宅売買瑕疵保険(かしほけん)」への加入が求められる場合があること
2.「つなぎ融資」が必要なこと
3.リフォーム一体型のローンを申し込む際に、リフォーム工事の金額の提示が必要なこと
一つ目の注意点は、「既存住宅売買瑕疵保険(かしほけん)」への加入が求められる場合があること。
上の図のフラット35の適合証明検査のための一連の流れに加え、「既存住宅売買瑕疵保険」への加入が求められる場合がある。この保険は、検査と保証がセットになった保険制度で、購入後の中古住宅に瑕疵(隠れた重大な欠陥)が見つかった場合は補修費用などが保険金でまかなわれる。
マンションや次の条件に該当する一戸建てについては、この瑕疵保険に加入する必要はないが、そうでない場合は瑕疵保険に加入する必要がある。
・2003年4月以降に竣工(または2002年4月以降に建築確認)された住宅金融公庫融資の適用対象または2003年10月にスタートしたフラット35の適用対象となる一戸建て
・新築時に「劣化対策等級(構造躯体等)」の評価結果が等級2以上の「建設住宅性能評価書」を取得した一戸建て
→「既存住宅売買瑕疵保険とは」(SUUMO住活マニュアル)
二つ目は、中古住宅購入代金支払いのための「つなぎ融資」が必要なこと。
フラット35(リフォーム一体型)の資金を受け取れるのは、リフォーム工事が終わって、その費用を支払う時点になる。中古住宅を購入する際に代金を支払う必要があるので、その分はフラット35を借りる民間の金融機関で「つなぎ融資」となるローンを借り、リフォーム工事後にまとめて資金を受け取った時点で、つなぎで借りた融資を返済するという流れになる。つなぎ融資を借りる間は、その分の金利を負担する必要がある。
三つ目は、リフォーム一体型のローンを申し込む際に、リフォーム工事の金額※の提示が必要なことだ。
リフォーム工事の金額は、購入する中古住宅の現況から判断して、希望するリフォームの内容(間取りや仕様)を決め、その工事の見積もりを取ることで算出できる。通常、中古住宅の現況を詳しく調べられるのは、物件が引き渡されてからだが、これでは遅いということに。したがって、リフォーム工事の依頼先を先に決めておき、売買契約をしてから購入費用を支払うまでに、リフォーム工事の内容を詰められるように、事前に段取りよく準備をしておくことが、ポイントになる。
※リフォーム工事の費用が変わった場合は、再審査となる。
購入+リフォームのトータル費用で、低金利でかつ長期間返済できる住宅ローンが使えるので、毎月の返済額を抑えられるのが最大のメリットだ。また、検査を受けることで品質に安心できる点もメリットになるだろう。これまでフラット35が利用できなかった中古住宅でも、リフォームによって利用できる道を開いたことも魅力だ。
ただし、借りられる額は、フラット35の利用条件である「年間合計返済額の割合(=総返済負担率)」が35%以下(年収400万円以上の場合)を満たす範囲なので、リフォームの計画だけでなく、資金計画も事前にしっかりと確認すべきだ。
●参考この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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