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リクルートが2024年のトレンドキーワードに「断熱新時代」を発表しましたが、近年、住宅の断熱性能への関心は高まるばかり。断熱性能の高い住宅は、エアコンの冷暖房効率が良く、一年を通して快適。さらに「使うエネルギー≦創るエネルギー」になるZEH仕様にすることで、高騰する電気代を補うことができ、経済的なメリットが大きいことも魅力です。
そこで今回は、「絶対寒くない家にしたい」と高断熱住宅を建てた神奈川県のSさん一家に、断熱に対する意識と実際の住み心地についてお話をうかがいました。
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(写真提供/ネスト)
(写真提供/ネスト)
神奈川県に住むSさんの家は、2階にLDKと広いバルコニーがある一戸建て。ラップサイディングの外壁とカバードポーチがサーファーズハウスを思わせる雰囲気です。
実はこちら、高性能の断熱材で柱の外側から家を包む外張り断熱工法で、窓は樹脂アルミ複合サッシとLow-Eガラス(低放射複層ガラス)、そして全熱交換型24時間換気システムを採用。HEAT20の断熱性能推奨水準G2グレードとZEH仕様をかなえた、ハイスペックな高気密・高断熱住宅なのです。
■Sさん邸
施工費2600万円工法木造軸組工法階数・間取り2階・2LDK建物面積約120m2住宅性能HEAT20 G2(断熱等級6相当)UA値0.41W/m2・KC値0.4cm2/m2設計・施工会社ネスト(神奈川県平塚市)※1:UA値…外皮平均熱貫流率。住宅の熱の出入りのしにくさを表す(画像作成/鳥取県「とっとり健康省エネ住宅」を参照してSUUMOジャーナル編集部で作成)
※3:HEAT20…「20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」のこと。住宅外皮水準のレベル別にG1~G3と設定し、提案している
とはいえ、家を建てたいと考えた当初、断熱性能は意識していなかったというSさん。
「おしゃれなマイホームにしたいという漠然とした憧れだけで、断熱についての知識はまるでありませんでした。ただ、私がすごく寒がりで、せっかく家を建てるなら『絶対寒くない家にしたい』とは考えていて。あるとき、住宅建築の相談会に行ってみたところ、寒くない家にするには断熱性能を高めることがとても大切だと知り、高気密・高断熱住宅を得意とする建築会社で建てたいと思うようになったのです」と、Sさんの妻は話します。
建物面積120.07m2、2LDK。1階に寝室と子ども部屋、2階に広々としたLDKと浴室を設けた
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2019年に完成したSさんのお宅を見せていただくと、高い天井のリビングが開放感たっぷり。テレビの背面にスキップフロアを設け、お子さんたちがおもちゃを広げて存分に遊べるキッズスペースになっています。
エアコンは2階のリビングと、1階の寝室と子ども部屋に設置していますが、ふだん使っているのはリビングにある14畳用タイプの1台のみだそう。
Sさん(夫・妻ともに30代)は8歳、4歳の子どもとの4人家族。勾配天井のリビングには空気を攪拌(かくはん)するファンが(写真提供/ネスト)
「私は一日の大半を家で過ごすことが多いのですが、本当に快適です」と妻。冬は朝1~2時間エアコンをつければ、日中は日当たりがいいためスイッチを消してもずっと暖かいといいます。「夏は1台だけ27~27.5度の設定で長時間つけっぱなしにしていますが、家中が涼しい。エアコンを止めて外出したときも、玄関に入ると家の中がひんやり感じます。夫はコロナ禍のとき家が快適すぎて外に行きたくないと言っていたほど。子どもたちは冬でも薄手のTシャツと裸足で過ごしています」
以前住んでいたアパートでは、夏も冬もエアコンはフル稼働。さらに悩みのタネは、冬の結露だったといいます。「拭いても拭いても水滴がすごくて、窓のまわりはカビが生えてしまっていました。家ってそういうものか、と仕方ないことだと思い込んでいましたが、実は断熱性能が関わっていたんですね」
家づくりの際、断熱性能を高めるためには窓が重要だと知ったSさんは、樹脂アルミ複合サッシとLow-Eガラスを選択。
「住宅設備メーカーのランクの高いものを選んだので費用はかかりました。でも、子どもが窓枠のところの段差に座って遊ぶとき、窓際が冬ひんやりするとか、夏暑いということがないんですよね。もちろん結露も防げています」と、窓のグレードを上げて良かったと話します。
浴室と脱衣洗面所はキッチンの奥にレイアウト。廊下もなく、リビングと脱衣所は扉ひとつでつながっています。「お風呂から出たら脱衣所や廊下が寒い、ということもなく、家中の温度差がないのは本当にいいですね」(妻)
レンガ調のクロスとアイアンの手すりがヴィンテージ風(写真提供/ネスト)
キッチン横の階段部分には引き戸を付けて、開け閉めできるように。
「私が寒がりなので、エアコンの暖気が逃げるのがいやだなと。ネストさんには、気密性が高いから扉がなくても問題ないよといわれたのですが、一応付けてもらいました。ふだんは開け放して風通しをよくすることもできるし、気に入っています。扉は上から吊っているので足元に段差がなく、掃除も楽なんです」(妻)
黒とダークブラウンが落ち着いた雰囲気のキッチン。奥にはパントリーも(写真提供/ネスト)
太陽光発電+オール電化で、電気代と売電の収支はほぼゼロ。健康的で家計にもやさしい暮らしSさん宅では5kWの太陽光パネルを搭載しています。オール電化ということで、電気代が気になるところ。
「電気代は、いちばん寒さが厳しかった今年の2月が1万2000円、売電収入が7000円で実質5000円。真夏の8月は9600円で売電が1万1000円だったので、プラス1400円。ほかの月はだいたい同じくらいかプラスマイナス1000円程度です」と妻。平均すると、光熱費はほぼゼロという結果に。
「すごく助かっています。電気代が高いから節約しようと我慢するのは、家族の健康のためにもよくない。家自体の断熱性が高いので、エアコンの効きもよく省エネになっているからこそ、電気代を気にすることなくつけられるのはとても良かったと思います」
エネルギーを使わず、家族が健やかに暮らせる、家計にも環境にもやさしい住まいというわけですね。
1階の子ども部屋は将来分割して6畳ずつ2部屋にできるよう設計(写真提供/ネスト)
洗面台のカウンターは造作。レトロ感ある水栓やタイルも素敵(写真提供/ネスト)
断熱性能の高い家は、これから家を建てる人にぜひおすすめしたいというSさん。
「家を建てたとき、もっとこうすればよかったというところが出てきて、『3回くらい建てないと納得いく家はつくれない』とかっていいますよね。でも我が家は本当に満足していて。構造はあとから簡単には変えられないもの。ローン返済が少し高くなっても、光熱費を抑えられれば月々の支出は抑えられます。何十年もずっと住む家だから、快適で健康な暮らしができる家のほうがいいと思います」
(写真提供/ネスト)
居心地のいい空間もさることながら、暑さ寒さを我慢しない、健康的な暮らしには、高い断熱性能が必要不可欠です。建築費は約2600万円で、長期優良住宅や太陽光パネルの設置に補助金も利用できたというSさん。そうしたサポートもうまく活用しながら、変えられない部分にこそ費用をかけるべき、そう実感できる満足度の高いお住まいでした。
●取材協力
ネスト
この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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