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セクハラ、パワハラ、モラハラ、マタハラ、アルハラ、アカハラ……。世の中には「○○ハラ」という言葉が溢れていますが、みなさんはどれだけご存じでしょうか。
部下とは日ごろからコミュニケーションがとれているから大丈夫……。そう思っているのは、実はあなただけかもしれません。
ある会社での話です。大きな仕事を成功させた女性の部下に、男性上司がデパートへ連れて行き、スーツと靴をプレゼントしました。「なんて太っ腹の上司!」と思う方もいるでしょうが、「恋人でもない男性からのプレゼントなんて気持ち悪い」と思う女性もいるでしょう。
このケースでは、部下の女性は後者のタイプでした。後日、上司の行動をセクハラ行為として会社に訴えたのです。
この男性上司にセクハラの意図があったのか、純粋にお祝いの気持ちでプレゼントを贈ったのかは分かりません。
しかし、この女性は「一緒にデパートに行くのはもちろん、試着までさせられて苦痛だった」と会社に直訴したのです。このことを考えると、たとえ好意の表れであったとしても相手にとって不快な出来事になり得ることを経営者や管理職のみなさんは理解する必要があります。
それというのも、直接の加害者はもちろん、企業には職場でのセクハラ防止に必要な措置を講じることが厚生労働省によって義務づけられており、対応に誤りや抜けがあれば、責任を問われることになるからです。
ただ、具体的にどのような行為がセクハラに当たるかを定義することは難しく、個々の事例によって判断されているのが現状です。いったい何がセーフで何がアウトなのか、これだけ気をつければ大丈夫という特効薬があるわけではありません。あえて言うなら、相手にとって不快な言動を避けることが大切なのですが、そんなことを言ったら、女性社員に話しかけられないじゃないか! と頭を悩ませる男性管理職の方も多いでしょう。
相手が不快に思ったらセクハラになる
そもそも「ハラスメント」とは、いじめや嫌がらせのことを指します。1980年代に職場や学校などでの性的嫌がらせ行為を表す「セクシャルハラスメント」が新語・流行語大賞を受賞して世の中に定着しました。1997年の男女雇用機会均等法の改正時に「セクハラ規定」が設けられると、企業に対して対策措置を講ずるガイドラインが作成されました。
セクハラという概念が社会に浸透していく一方で、職務上の地位や人間関係の優位性を利用したハラスメント行為というのは、何も性的なものに限らないという意味で、「パワーハラスメント(パワハラ)」という言葉も浸透するようになりました。
2016年には、大手広告代理店で新入社員の過労自殺が事件化し、直属の上司が逮捕・送検されたことで、中間管理職も責任を問われることが広く認知されるようになりました。厚生労働省では事件を受けて同年末に「『過労死等ゼロ』緊急対策」を打ち出し、違法な長時間労働の是正と併せて、「メンタルヘルス・パワハラ防止対策のための取組の強化」を通達しています。
さらに2017年1月には、介護・育児休業法と男女雇用機会均等法が改正されました。この改正によって、事業主は職場での妊娠・出産、育児休業等に関するハラスメント行為を防止する措置を義務づけられることになりました。
「法改正の狙いはマタハラ、ケアハラ。違反すれば民法上の不法行為が問われる」とドリームサポート社会保険労務士法人の安中氏は指摘します。
ハラスメント行為に明確な線引きがないとはいえ、今後もますます行政の指導は厳しくなるでしょう。また、「会社の取組措置も強化されているので、浸透すれば、ハラスメントを受けたと訴える労働者も増えるはずです」と同氏は続けます。
この記事を読んで、「部下の女性にプレゼントを贈ったくらいで……」と考えている方がいれば、考え方を改めないといけません。
部下への指導は「かりてきたねこ」で
世の中の考え方が変わるなか、社会人としてコンプライアンスの意識を持つことは、部下へのマネジメントを行う上で、今後必須のビジネススキルになることは間違いありません。
パワハラにならないための部下への指導のコツとしては、「かりてきたねこ」というのがあります。「か」感情的にならない、「り」理由を話す、「て」手短に、「き」キャラクター(性格)に触れない、「た」他人と比較しない、「ね」根に持たない、「こ」個別に叱るというものです。
この機会に、業務上に必要な指導とハラスメント行為との境界線をしっかりと学んでおきたいと思ったら、書籍『Q&Aでわかる! 管理職のための労基署対策マニュアル』に目を通してみてはいかがですか?
イラスト/今井ヨージ
この記事のライター
宝島オンライン
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