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築37年の木造住宅を耐震リフォーム[2] 工事費700万円なのにローン返済は月額3000円台!? その驚きの仕組みとは

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当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

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築37年の木造住宅を耐震リフォーム[2]工事費700万円なのにローン返済は月額3000円台!? その驚きの仕組みとは!

耐震性や暮らしやすさを向上させるため、自宅のリフォームを計画したTさん家族。「築37年の木造住宅を耐震リフォーム[1]決意から耐震診断まで」で紹介したとおり、家のすみずみまで専門の耐震診断士に見てもらいました。今回の記事では「耐震性が予想以上に低かった」という診断結果をお伝えします。さらに、Tさんのご両親が活用した“高齢者向けのリフォームローン”についても詳しく紹介します。
耐震診断で分かったのは、必要な耐力の13%しかなかったこと

昨年、築37年になる自宅のリフォームを決意したTさん。T邸は液状化エリアに立地していることもあり、耐震面の不安があったことと、介護認定を受けているお父様、仕事と介護を並行しているお母様のために、バリアフリー機能や断熱性能を向上させて、安心して暮らせる家にしようと考えました。

まず、耐震改修工事の助成対象となるために、耐震診断を受けました。費用は13万円、そのうち5万円をお住まいの千葉県市川市の助成金でまかないました。経緯は「築37年の木造住宅を耐震リフォーム[1]決意から耐震診断まで」参照。

耐震診断の判定は4段階あり、耐震リフォームを行う際には「基準点である評点1.0」以上の耐震性に改修工事を行うことが求められます。評点1.0は建築基準法が定める最低限の耐震強度で、「一応倒壊しない」というレベル。評点が0.7未満の建物は震度5強程度の揺れでも大きな被害を受ける可能性があります。

耐震診断の評価
[1.5以上]倒壊しない。現在の建築基準法の1.5倍の耐震強度があると考えられます
[1.0~1.5未満]一応倒壊しない
[0.7~1.0未満]倒壊する可能性がある
[0.7未満]倒壊する可能性が高い

およそ1カ月後に出たT邸の耐震診断結果(【画像1】参照)は、総合評価が[0.13]で[倒壊する可能性が高い]というものでした。「評点0.13」という値は、それだけ見てもピンと来ませんが、つまり「必要な耐力の13%しかない」とも言えます。かなり低い耐力であると診断されたわけです。
「想定していた以上の低さでした」とTさんは振り返ります。

「工事に入って壁や天井内部を見ないと本当の数値は分からない、実際はこれより評点が高い可能性もある」と言われたそうですが、家の倒壊を想定した3Dシミュレーション画像を見て、「かなりショックでした」とTさん。

【画像1】構造が弱いほうへ倒壊している想定画像。命の危険が生じる状況であることが分かります(画像提供/Tさん)

【画像1】構造が弱いほうへ倒壊している想定画像。命の危険が生じる状況であることが分かります(画像提供/Tさん)

耐震診断を受け、建物の耐震補強工事が必要と分かった場合、改修工事のポイントは主に2つあります。

1. 基礎・土台の補強
古い木造住宅の場合、無筋コンクリートを使用していたり、コンクリートにヒビが入っていたりというケースがあり、これらを鉄骨やコンクリートで補強します。最近では建物全体をジャッキアップして、土台・建物間に免震装置を設置して揺れを吸収するという方法も行われることがあります。

2. 壁の補強
古い木造住宅は、筋交いがない、柱と梁(はり)の連結が強固でないことなどによって、耐力壁(建物を支える壁)の強度が弱い、耐力壁が少ない、耐力壁の配置バランスが悪いといった点が見られます。これらへの対応は、「強度のある特殊パネルで壁を補強する」「筋交いを入れる」「柱や梁、筋交いなどの結合部分を金具で補強する」「建物のバランスをとるために耐力壁を新設する」などがあります。

壁を剥いで耐震改修するのに合わせて、内装やバリアフリー工事も計画

T邸の耐震性が低い原因は、屋根材の重量に対して構造が弱い、地盤が弱い、耐力壁の配置バランスが悪い、耐力壁が少ない、柱・梁・筋交いなどの接合が弱いといったもの。そのため、耐震補強工事では、構造用合板、筋交い、接合金具などを用いて壁を補強することと、基礎のクラック(ひび割れ)を補修することになりました。

【画像2】耐震補強工事の様子(画像提供/Tさん)

【画像2】耐震補強工事の様子(画像提供/Tさん)

【画像3】オレンジ色で記されているのが補強した箇所。壁や柱を何箇所も補強しているのが分かります。紫色で記されているトイレ兼洗面脱衣所は、間取り変更と設備交換等によりバリアフリー化も(画像提供/Tさん)

【画像3】オレンジ色で記されているのが補強した箇所。壁や柱を何箇所も補強しているのが分かります。紫色で記されているトイレ兼洗面脱衣所は、間取り変更と設備交換等によりバリアフリー化も(画像提供/Tさん)

「瓦屋根をスレートなどの軽い屋根材に葺き替えるというプランも考えましたが、予算的な理由で断念。既存の瓦屋根を残して構造を補強する方法を選びました」とTさん。T邸の場合、軽い素材の屋根に葺き替えるプランは、一番安い素材であるスレートを選んだ場合でも、プラス20万円ほど工事費がかさむという見積もりだったそうです。

「耐震補強工事は壁などを剥がして行うので、それに合わせて設備や内装を一新して、使いづらかった水まわりも一部間取りを変えて、バリアフリー化するというリフォームプランにしました。工事の依頼先は、耐震診断を行ってくれた会社に決め、他社に相見積もりをとることはしませんでした。日々多忙ななかで打ち合わせが増えると、それだけしんどいと思ったからです」(Tさん)。工事の見積もりは次のとおり、およそ700万円という費用になりました。

T邸のリフォーム内容と見積額
●耐震改修工事……177万1200円(税込)
●リフォーム工事…534万6000円(税込)
・LDK(システムキッチン交換、内装工事、建具交換、断熱サッシに交換、内窓設置、断熱工事)
・洗面、トイレ(間取り変更と設備交換等によりバリアフリー化、内装工事、建具工事、断熱工事)
・浴室(暖房機設置ほか)
・4居室、玄関、廊下(内装工事、断熱工事)
・外壁(一部塗装工事)
●総工事費…………711万7200円(税込)毎月の返済額は3700円!「高齢者向け返済特例」で返済がとってもラクに

耐震改修工事に対しては自治体による補助金の助成や税控除などがあるものの、700万円という費用は高額です。リフォーム費用を支払うに当たってTさんは、住宅金融支援機構が行っているリフォーム融資(部分的バリアフリー工事または耐震改修工事)【高齢者向け返済特例】を利用しました。

これは、満60歳以上の人が行うバリアフリー工事もしくは耐震改修工事を含むリフォームが対象で、返済額が利息のみでOKという、収入が年金のみという高齢者にとっても利用しやすい融資です。

「高齢者向け返済特例」の特徴

1. 毎月の返済は利息のみでOK
例えば耐震改修工事のリフォームローンで1000万円の借入なら、月々の負担は次のとおり、かなり低く抑えられます(下記は2017年6月時点金利で計算)
 ◯高齢者向け返済特例制度(年0.80%の場合、全期間固定金利) :6666円(利息のみ)
 ◯通常のリフォームローン(年0.59%、10年間元利均等返済の場合):8万5836円(元金+利息)

2. 元金はローン申請者の全員が亡くなったときに一括で返済
元金の返済は、相続人が住宅・敷地の売却益や自己資金等によって一括で行うというものです(繰り上げ返済も可)。自宅を抵当にして融資を受ける、いわゆる「リバースモーゲージ」のリフォーム資金版とも言える制度です。

3. 「一般財団法人 高齢者住宅財団」が連帯保証人になる
利用に当たっては、高齢者住宅財団に対して、次の3項目の手続きを行います。保証料、保証制度額設定料、保証事務手数料も別途必要となります。
・カウンセリング(制度の概要説明)
・保証限度額設定(不動産鑑定士による価格調査報告書もしくは評価証明書の提出)
・住宅支援機構の取扱金融機関(民間銀行)で融資申し込み

対象となる建物は、申込本人やその配偶者、親族いずれかが所有し、申込本人が居住している住宅で、工事完了後の床面積が50m2以上、共同建ての場合は40m2以上あることなどです(ほかにも利用条件あり)。

Tさんのご両親はお二人とも60歳以上なので、お母様名義でこの制度でローンを組むことにしました。「貯蓄も年金も潤沢というわけではない両親にとって、毎月まとまった額のローン返済を続けるのは負担ですから、この制度を知って、当初から利用しようと決めていました」(Tさん)

融資限度額は「1000万円/リフォーム工事費/高齢者住宅財団が定める保証限度額」のうち一番低い額という決まりです。Tさんが高齢者住宅財団に保証限度額について確認したら、「『固定資産税評価額を上限とすることが基本ですが、この土地条件だと不動産鑑定士による鑑定が必要です』と言われました。わが家は旗竿地(※)だからだそうです。鑑定費用に8万円もかかったのは正直痛かったですね。鑑定の結果、土地と建物の評価額は950万円ほどでした」(Tさん)

※旗竿地とは:細い通路状敷地の奥に広めの敷地がある、形が旗竿状の土地。公道からのアクセスの不便さ、周囲を隣地に囲まれている条件から、地価水準が比較的低いのが特徴

「その結果、620万円の融資を受け、市川市から耐震改修の助成金80万円を頂き、プラス自己資金で、計711万7200円のリフォーム費用をまかなうことができました。毎月のローン返済は利息払いだけで、3700円で済んでいます。家計にほとんど響かない額なので、安心して暮らしていけます」(Tさん)

この制度は社会的にあまり認知されておらず、この記事で初めて知ったという人は多いかもしれません。
「住宅金融支援機構の担当者から聞いた話によると、今までの利用者は全国で100人程度だそうで、融資窓口となった都市銀行でも初めて取り扱うと言われたほど(笑)」(Tさん)

Tさんのお母様も融資について振り返ります。「高齢者向け返済特例については、息子が調べて教えてくれたのですが、この制度を知らなければリフォーム話は進んでいなかったでしょうね。わが家のように家や土地はあっても資金がない、でも耐震面で不安な点を解消したり住みづらい箇所を直したりして、快適な老後を送りたいという人にとっては、本当に良い制度だと思いますよ」

こうして、高齢者向け返済特例や耐震改修工事の助成金によって、資金的な負担を低く抑えられることになり、T邸のリフォーム工事が具体化していきました。

次回の記事では、リフォーム手続きや打ち合わせについての苦労、耐震補強以外のリフォームプラン、住みながらリフォームを行うこと、リフォーム後の住み心地などについて紹介します。

●参考
・住宅金融支援機構「高齢者向け返済特例について」
・高齢者住宅財団「リフォーム融資の債務保証」●関連記事
・築37年の木造住宅を耐震リフォーム[1] 決意から耐震診断まで
・築37年の木造住宅を耐震リフォーム[2] 工事費700万円なのにローン返済は月額3000円台!? その驚きの仕組みとは 住まいに関するコラムをもっと読む SUUMOジャーナル

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この記事のライター

SUUMO

『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。

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