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7月18日から放送がスタートしたTBS 火曜ドラマ『カンナさーん!』。渡辺直美さん演じるファッションデザイナーの主人公・カンナさんが、次々直面する家族や仕事のピンチを持ち前の明るさで乗り越えるストーリーで、初回の放送以降たくさんの反響を呼んでいます。
ドラマの内容もさることながら注目したいのが、カンナさん一家が暮らす部屋。CG制作会社を経営する夫・礼、愛息・麗音(れおん)と3人で暮らすマンションはおしゃれにリノベーションされており、“クリエイター夫婦”ならではのセンスが見受けられます。どのようなこだわりがあるのか探るべく、ドラマのセットを訪ねてみました。
最初に『カンナさーん!』のあらすじをご紹介しましょう。
“イケメンだけど自由奔放なダメ夫と、息子と孫を溺愛する姑に振り回されながらも、泣き虫で甘えん坊の4歳児とハッピーに生きる主人公・鈴木カンナ。ファッションデザイナーをしながら、毎日を懸命に生きる「逃げない!負けない!くじけない!」スーパーポジティブママが、どんな困難にもくじけずに立ち向かう“
カンナさんを演じる渡辺直美さんも「自己啓発本的な感じで楽しんで見ていただけたらと思います」とメッセージを寄せているように、テレビを通して勇気と元気をもらえるドラマです。
ということで、今回足を運んだのは横浜にあるスタジオ。ちょうど第3話目を収録中で、カンナ役の渡辺直美さん、夫・礼役の要潤さん、息子・麗音役の川原瑛都くんがスタンバイしていました。
今回、カンナさんのお部屋を案内してくれたのは、美術デザイン担当の岡嶋宏明さん。
部屋のコンセプトを固めるうえで、大事にしたことについて次のように語ります。
「カンナはファッションデザイナー、礼もCGクリエイターという役柄なので、お互いの仕事を尊重しながらも家でもクリエイティブなことができる環境にしたいと考えました。住まいにもそれぞれの居場所を持ちながらも、麗音くんという宝物を大事にする、そんな価値観をお部屋の随所で表現しています」(岡嶋さん、以下同)
また、キッチンにもカンナさんの人柄を感じることができる仕掛けをしていると岡嶋さん。
「ワーキングマザーでもあるカンナさんですが、家事にも興味をもって、楽しみながら料理をつくっている雰囲気を出したかったんですよね。一見すると“がさつな人”と思われがちなカンナさんですが、クリエイターらしく、アイテム一つひとつにもこだわりをもっている人なんだというのを、キッチンの雰囲気を通して伝えられたらと」
リビングはシンプル&ナチュラル、住まい全体のリノベ費用は800万円を想定!続いて、リビングスペースへ。こちらには息子・麗音くんの玩具や絵本がたくさん置かれています。小さい子どもがいる家庭ならではのアットホームな空間。
「家族一緒の楽しいイメージを前面に出したかったので、みんなの居場所にするつもりでつくりました。インテリアはカンナさんのポップな衣装を引き立たせるため、全体がビビットにならないようにベースの色はナチュラル系にしました。その分、小物でクッションに明るいトーンのアイテムを使って、キャラクターになじませるようにしています」
カンナさん宅はリノベーションをしていて、2DKから1LDKに間取り変更しています。なぜこのような設定にしたのでしょう?
「カンナさんの会社が表参道にあって自転車通勤のため、まずは物件がどこにあるか設定を考えました。そうなると自転車で15分圏内が妥当かな……と考えて、初台あたりの中古マンションで価格は4000万円くらいを想定。その中を700万円から800万円を掛けてリノベーションしたイメージですね。ギリギリ5000万円には届かないかな……っていうくらいの費用感で設計しました」
エリア選定やマンションの価格まで、ここまで緻密に詰めているとは! こうした細かい背景を住まいから漂わせることで、人物像がよりリアルに浮かび上がってくるのかもしれませんね。
最後は家族3人で寝ていたベッドルーム。礼が出て行ったあとは麗音と2人っきり。夫婦おそろいの枕カバーが何だか切ない……。
夫の浮気がバレたのは部屋のせい? カンナさん一家の物語をインテリアに込めるリビングやキッチン、寝室まで、いたるところから登場人物の人柄がにじみ出るようにつくり込まれていたとは驚きです。
「部屋のセット制作は、キャラクターのつくり方と同じです。どういう経歴で、どんな生活をしているのかを掘り下げることが重要です。例えば、子どもにピアノを教えているとか、勉強はリビングでしているとか、映像には見えない部分のストーリーを組み立てていきます。それを監督とすり合わせて、方向性を決めるかたちです。そうした作業を通して、視聴者の皆さんがふとした瞬間に『この人これが好きなのかな』とかイメージが膨らむことを心がけています」
ちなみに、カンナさん宅は家族の愛情に満ちあふれていますが、岡嶋さんいわく、じつは礼の「浮気発覚」につながる落とし穴もあるんだとか。
「家族写真もお客さんが来るリビングにたくさん貼っていますが、僕なんかは寝室にこっそり嫁さんとのツーショットを置く程度。やっぱり恥ずかしいですからね。でも、全面から家族を愛しまくっていることがあふれ出ているのが、まさに“カンナさんらしさ”。そんなオープンなところを夫の礼は、かわいく感じていたんだと思います。
ただ、礼自身は自分の書斎を完全に壁で仕切ってないじゃないですか。パーテーションも上は抜けていますし、入り口もカーテンだけ。それゆえ、魔が差して浮気をしてしまったとき、何も隠せる場所がないわけです。もちろん大前提として、悪いことをしている本人がいけないんですけど、何とかバレずに家庭を壊さないように……と思っても、この家じゃ無理ですよね。そういう礼のアホで隙だらけだけど、なんか人間らしくて憎めない部分も部屋のつくりから伝われば面白いかなと」
最後に、今後の展開と住まいの変化のリンクについて、注目ポイントを教えてもらいました。
「正直、悩んでいるんですよね……。まず、離婚して名前が鈴木から河東に変わるので、玄関の手づくり表札をどうしようかな、とか、おそろいの枕はなくしたほうがいいのかなとか、リビングに家族写真を貼りまくっているけど減らしたほうがいいのかなとか。子どもの手前、お父さんの存在をゼロにしてしまうのも難しいですよね。そうしたカンナさんの心境の変化が、インテリアの中でどのように反映されるのか、楽しみに見守っていてください」と、どこまでも深く掘り下げる岡嶋さん。
人生の困難に直面しながらもポジティブに突き進むカンナさん。これからどんな出来事が起きるのか!? 礼との関係は!? などなど、これからのストーリー、そしてインテリアがどう変化していくのか目が離せません。
●取材協力この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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