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ひと昔前までは、コインランドリーといえば家に洗濯機がない単身者や学生などが利用するものでした。そのイメージは「狭い、暗い、汚い」など、どちらかといえばネガティブなものだったかもしれません。
しかし、最先端のコインランドリーは大きく進化。明るい店内にオシャレな内装、肝心の設備もドラム式洗濯機は当たり前で、洗濯以外にもさまざまなサービスが行われているようです。そんな今、注目の「進化系コインランドリー」を取材しました。
日本初上陸! ドイツ発のスタイリッシュなウォッシュサロン
まず、お伺いしたのは今年の7月にオープンしたばかりの「フレディ レック・ウォッシュサロントーキョー」。遠目にはカフェや美容室のようにも思えるほどオシャレな外観です。
内装もスタイリッシュ。コンクリート打ちっ放しの床と天井、かわいい壁紙、シャンデリア……、洗濯機が設置されていなければ、とてもコインランドリーとは思えません。
洗濯スペースの隣には、カフェもありました。豆から挽いて抽出したコーヒーをはじめ、カフェラテ、オーガニックレモネード、マフィン、シナモンロールクッキーとメニューも充実。洗濯を待つ間の時間つぶしはもちろん、カフェのみの利用も可能とのことで、地域の人々の憩いの場になっているようです。
また、店内では定期的に洗濯にまつわるワークショップも開催。オリジナル商品を使い、「襟袖汚れの落とし方」や「正しいアイロンがけの仕方」といった実用的なテクニックを学ぶことができます。
このように、従来のコインランドリーの型を破る、さまざまな取り組みを行っているフレディ レック・ウォッシュサロントーキョー。その狙いについて、プロデューサーの松延さんに話を聞いてみました。
―― オープンからまだ1週間(取材時)ですが、利用状況はいかがですか?
「最近までキャンペーン期間でしたし、時期的にも梅雨だったので多くの方に来ていただけました。おかげさまで常連さんもでき、地域の方々に受け入れてもらえて良かったと思います」
―― 内装の雰囲気も、目黒区のオシャレな雰囲気に合っているように思います。
「目黒区はオシャレ感度が高く、一方で人情味あふれる商店街も多く残るエリアです。そんな地域の特色もふまえ、ラグジュアリーよりも『カジュアル』を目指してデザインしました。長く地元で愛されるランドリーになってほしいですね」
―― どんな方が利用されていますか?
「周辺地域のママが多いように思います。例えば、先日は洗濯機を回している間にカフェスペースでパソコンを開き、お仕事されている女性がいました。その横では、お子さんが宿題をしていて。そんなふうに働くママの“居場所”になれているのはうれしかったですね。
単に洗濯をするだけの場所ではなく、街のパブリックスペースとして利用してもらいたい」という松延さん。その狙いは見事に的中しているようです。なお、ゆくゆくはほかの街にも出店し、さらに子育て世帯への認知を広げていきたいといいます。
最近は、子育てのために自宅などでリモートワークをするママやパパも増えています。だからこそ、こういう家事の合間に仕事ができたり、子どもと一緒にリフレッシュできる場所が街中にあると便利だし、もっと必要になると思うんです。まだまだ知名度は低いですが、ゆくゆくはフレディ レック・ウォッシュサロンのようなランドリーがあることが街の魅力につながる。そんな価値を感じていただける場所にしていきたいですね」
洗濯のついでにペットもリフレッシュさて、魅力的なコインランドリーはほかにもあります。例えば、東京の代々木上原にある「クリーンプラザルーシー」もフレディ レック・ウォッシュサロンに負けず劣らずオシャレかつ先進的。
店内には、16kgまで対応可能な大型全自動洗濯乾燥機(洗濯のみであれば27kgまで対応可能)やスニーカー専用の洗濯乾燥機が備わっています。大量の洗濯物だけでなく、布団や毛布などの洗濯・乾燥を約1時間で完了させる優れもの。
また、洗濯代行サービスも充実。自宅では洗濯しづらい大きな布団などを洗濯専門業者に依頼できる「お布団丸洗いサービス」では、2週間ほどで家に配達してくれます。
そして、最大の特徴は「ペット専用のシャンプーハウス」を併設していること。プロのトリマーが使う専用のオゾン温水シャワー&マイナスイオンドライヤーで、愛犬をキレイにしてあげることができます(小型犬30分1500円~)。ペット用の洗濯乾燥機も設置され、毎週土・日曜日はプロのトリマーによる洗い方教室も開催しています。
洗濯を待つ間、かわいいペットのリフレッシュができるという、ありそうでなかった斬新なシステム。セルフサービスにはなりますが、ペットサロンに頼むよりずっと安上がりなため、愛犬家に好評のようです。
北欧発! おしゃれコインランドリーのパイオニア一方、こうしたある種のムーブメントを受けて、“老舗”のコインランドリーにも改めて注目が集まっています。例えば、「エコラックスランドリー」は、スウェーデンに本社を構える老舗家電メーカー「エレクトロラックス」が手がける“おしゃれコインランドリー”。1970年代から日本でコインランドリーを展開する、いわばパイオニアです。
母体が世界的な家電メーカーだけに、洗濯機自体の機能性・耐久性も折り紙付き。最大の特徴は世界基準の“ドラムの大きさ”で、強力なたたき洗いでしっかり汚れを落としてくれます。さらに、乾燥機の風量も強力なため、短時間で乾燥を終えることが可能。見た目のかっこよさ、居心地の良さだけではなく、確かな技術をもつランドリーです。
2017年7月現在、エコラックスランドリーは全国に10店舗以上展開していて、いずれもブルーとホワイトを基調にした、爽やかな外観。洗濯のイメージには欠かせないクリーンな色合いです。都内1号店の葛西店の店内は清々しい木目のフローリングで明るく開放感のある空間。待ち時間をゆっくりと過ごすことができるカウンターやイスが設置されています。
さらに葛西店では、忙しい方のためにメールで洗濯・乾燥の終了をお知らせするサービス、高齢者の方や体の不自由な方にも利用してもらえるよう洗濯代行サービスなども行われています。もう、至れり尽くせりですね。
コインランドリーで、地域住民の特技とニーズをマッチング最後に紹介するのは全国に360店舗を展開する「マンマチャオ」。2020年までに1000店舗を目指しているという、関東随一の勢力を誇るコインランドリーです。
2000年からスタートしたコインランドリーですが、今年からスタートした斬新なサービスが大きな話題に。それが、店舗を舞台にした「マッチングプロジェクト」です。
この「マッチングプロジェクト」は、マッチングアプリを運営するエニタイムズと共同展開する同サービス。洗濯の待ち時間を有効活用したい人と、何かのスキルを提供したい人をコインランドリー内でマッチングさせるというもので、神奈川の「横浜町田店」、「瀬谷店」、「北山田店」、東京の「足立区中央店」、千葉の「ちはら台店」で利用できます。
例えば、洗濯の合間に整体師によるワンコインマッサージがうけられたり、マザーズコーチングの資格をもった人が子育てママの相談にのってくれたり、カメラ通による一眼レフの使い方講座が受けられたりと、その内容も多種多様。単にスキルを学ぶというだけでなく、地域のつながりを生み出すという点からも意義深いものといえそうです。
現代のコインランドリーはもはや洗濯を行うだけの場所ではなく、地域のコミュニケーションサロンのような役割を果たしているようです。それは、住宅街のなかにあるコインランドリーならではの利点といえるでしょう。
久しく行っていないという人は、あえて足を運んでみるのもいいのではないでしょうか? 洗濯の合間に、すてきな発見や出会いがあるかもしれませんよ。
●取材協力この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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