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賃貸の火災保険って何? 契約の補償額はいくらが妥当?

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当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

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賃貸の火災保険って何? 契約の補償額はいくらが妥当?(写真:iStock / thinkstock)

賃貸契約の際に、必ず加入を求められる火災保険。当たり前のように加入の申し込みをしている人も多いはず。でも本当に必要なものか、保険料は適正なのか。言われるがままに契約してしまうと思わぬ出費になることも。

自分の部屋から火を出してしまったら、賠償責任はある?

新年度を控え、大学進学、新社会人、人事異動で転勤など、賃貸住宅を新たに契約する人が多くなるシーズン。これまで賃貸住宅の契約を何度も経験している人もいると思うが、賃貸契約の退去時・更新時の条件はともかく、契約時に加入を求められる火災保険について、内容を把握している人はあまりいないだろう。

一般的に多くの人が不安になるのは、自分が借りている部屋で火を出してしまって、部屋や建物に被害を与えてしまったら、損害賠償をしなければならないのでは?ということだろう。

実は、これには民法の「失火責任法」が関係する。失火責任法では、失火者に「重大な過失(※)」がなければ、損害賠償責任を負わせないことになっている。つまり、自分が賃借人の立場で、火災の火元だったとしても、重大な過失がなければ、大家さんに対して建物の建て替え費用を負担するなどの責任は負わなくてよいというもの。

違う立場から見ると、隣家、隣室から出た火災によって、自分の部屋に被害があり、部屋、建物が焼失しても、その失火者に家財一式を弁償させるなどはできない。

このため、大家さんは自分の所有物である賃貸住宅には火災・家財保険をかけて、万一の場合に備えている。

※重大な過失とは:
1.台所のガスコンロに天ぷら油の入った鍋をかけて加熱中、その場を離れて出火させた場合。
2.たばこの吸殻が完全に消えたことを確認せず、その吸殻を紙類が入ったビニール製ごみ袋に入れて放置したまま外出し、出火した場合。
など。(出典:日本損害保険協会)

賃借人が加入する火災保険は、原状回復のためと自分の家財のため

先に説明したとおり、火災を起こしても重大な過失がなければ損害賠償責任は負わないが、賃借人には、賃貸借契約によって、退去時に「原状回復する義務」が課せられている。これによって、万一火災によって建物が焼失したり損害を与えた場合は、原状回復するための義務があり、それができない場合は損害賠償責任が発生してしまうのだ。

また、隣室や隣家からのもらい火で自分の家財が被害にあっても、その失火者に損害賠償請求することができないので、自分の身(財産)は自分で守るしかないのだ。

そこで火災保険が登場する。一般に火災保険と呼ばれているが、賃借人が加入するのは「家財保険」と「借家人賠償責任保険」の二つとなっている。商品名がまちまちなので補償内容が分かりにくい一面もあるが、大きくは、この二つの契約内容をチェックすれば大丈夫だ。

火災保険には自分のため、大家さんのため、隣家などのためという役割がある

「家財保険」は、文字通り、自身の所有する家電、家具などの損害を補償するもので、これが賃貸の場合の火災保険の基本となる。

補償される損害原因は、火災、落雷、爆発、水害、水漏れなどが主な対象で、家財や現預金の盗難も対象となるのが一般的。このほかに、被害にあった場合に、使えなくなった家財を片付ける費用が実費で支払われるなど、補償内容は多岐にわたっている。この保険は「自分の財産のために入るもの」と考えればいいだろう。

「借家人賠償責任保険(特約)」は、逆に、大家さんのために入ると考えればいい。火災や爆発、漏水などによって借りている部屋に損害を与えてしまったときに、原状回復するための費用を補償するというもの。一般的には家財保険の特約という形で契約することになる。補償対象は、あくまでも自身が借りている部屋に損害を与えた場合に限られるので、例えば自分が火事を起こして、隣の建物に損害を与えた場合は、この保険(特約)では補償されない。

火災で隣家に損害を与えてしまう場合などに備える保険は、「個人賠償責任保険(特約)」。この補償内容は多岐にわたっており、水漏れで階下の部屋に損害を与えた場合などにも補償金が支払われる。自動車保険や損害保険の特約として加入することが多いので、すでに加入している保険があればチェックして、補償が重複しないように気を付けたい。

保険料はいくらが適切? どう加入すればいい?

では、火災保険には加入すべきなのか? といえばYESだ。これまで説明したとおり、万一火災などの大きな事故を自分が起こしてしまった場合、建物自体は大家さんの火災保険でカバーできるとしても、自分の家財や修復費用、隣家への補償などは、大家さんの火災保険には頼れないのだ。賃貸契約の際に火災保険に加入するのは、自分を守るためにも必要なことだ。

しかし、不動産会社から提示されるプランについては、よく検討してほしい。本来、所有している家財などは、人それぞれで補償金額も異なるはずだが、大抵の場合は、すべてがセットされた特定のプランしか提示されないことが多い。

シングルでそれほど家財もないのに、家財補償が本当に500万円必要なのかは考えるべきだ。家電や家具などをもう一度買い直すとして、500万円もの費用が必要かどうか考えればよい。よほど高価な美術品やジュエリーなどを所有していない限り(これらを所有している場合は、契約時に申告が必要)、家財は200万円、300万円で十分だろう。

また、逆に借家人賠償責任補償特約や個人賠償責任補償が1000万円程度というケースも少なくない。しかし、万が一のときは、死亡事故に発展する可能性も考えると補償額は1億円といったプランが安心といえるかもしれない。

1年間で4000円を下回る保険も。まずは提示されたプランの補償額を把握しよう

実際の契約場面では、引越しに伴う手続きで時間も限られていて、なかなか保険の内容までチェックすることはできないかもしれない。2年契約で1万円、2万円なら、いいやという気持ちになるのが実情だろう。しかし、割安な保険がたくさんあるのも事実。もしも時間がなければ、ほかのプランを参考にして、不動産会社に別のプランを要望することがあってもいいだろう。いくつか補償プランを例示したので、チェックしてみてほしい。

【図1】賃貸住宅(賃貸人)の火災保険の一例(出典:各社WEBサイトの見積もり例より)※あくまでも一例で、必ずしも加入をオススメするものではない

【図1】賃貸住宅(賃貸人)の火災保険の一例(出典:各社WEBサイトの見積もり例より)※あくまでも一例で、必ずしも加入をオススメするものではない

保険料は家財補償をいくらに設定するかが基本で、さまざまな特約がある。特約をつけるかつけないかでも保険料が変わる。ネットなどで簡単にシミュレーションできるところもあるので、提示されたプランと比較しながら決めるといいだろう。

不動産会社の多くは損害保険会社の代理店になっているため、特定の損害保険しか提示できないが、自分で探して保険契約をするわずらわしさからは、解放されるだろう。要は、うまく使うということだ。

賃貸住宅選びもいろいろな観点で物件選びをする。それと同じように火災保険も比較検討することが大事。万一に備えるための保険は安心につながると同時に、困ったときに本当に使えるものでなければ意味がない。

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この記事のライター

SUUMO

『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。

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