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寒い冬はお風呂でじっくり温まりたいもの。給湯器が故障して、突然お湯が出なくなるなんて悲劇は避けたいところです。そこで、全国対応の給湯器専門店「湯ドクター」の斉木泰光さんに、給湯器でよくある故障原因と修理方法を教えてもらいました。
寒さが原因でお湯がつくれない!? その対処法とは?
給湯器と一口に言っても、そのタイプはさまざま。電力やガスなどお湯を沸かすエネルギー源の違い、お湯をためるタイプか瞬間に温めるかの違いなど、種類が異なります。しかし、どのタイプの給湯器でも、冬場になると、“共通の原因”による不具合が見受けられるようです。
「冬場は、給湯器につながる外の配管が凍結するケースが多いです。これは、配管の中の水が凍り詰まってしまうため起きる現象です。寒冷地の場合は、凍結を防止するために凍結予防ヒーターを配管に巻いていることが多いですが、通常、氷点下以下にならない地域では十分な凍結予防をしていないため、凍結が起きるケースもあります。
ガスで水を瞬間的に沸かすタイプの給湯器は、入ってくる水が凍結してしまうと燃焼しませんのでお湯をつくれません。タンクに水をためて電力でお湯にする給湯器も同じで、お湯になる以前にタンクに水がたまらなくなります」(斉木さん、以下同)
では、この不具合を解消するにはどうすればいいのでしょうか?
「配管が凍ってしまった場合は、凍った配管にお湯をかける、もしくはドライヤーで温めて溶かすことが有効です。ただ、注意点もあります。あまりにも熱いお湯をかけてしまうと配管が破裂してしまう可能性が高いので、せいぜい50℃くらいのお湯にしていただきたいです。沸騰したお湯はNGです。また、お湯をかけると配管のまわりに水がたまるので、翌日も気温が下がるとその部分が凍りやすくなることがあります。なので、一番良いのはドライヤーで溶かすことです。とはいえ、配管近くに電源があれば良いのですが、普通はないので使えないこともあると思います」
なお、氷点下以下の気温はもとより、日陰や風があたるところなどに配管があると、とくに凍結しやすいとのこと。寒波が襲ってくるなど、凍結が予想されるような場合は、予防策もあるようで、「例えば、一晩お風呂の蛇口から割り箸一本程度のちょろちょろっとした水を出しっぱなしにしておくことがオススメです」と斉木さん。水は止まっていると凍りやすく、流れていると凍りにくくなるので、この方法が有効なんだとか。
ちなみに、旅行などでしばらく家を空ける際など、給湯器の電源を抜く場合は、必ず給湯器内部にたまっている水を給湯器の水抜き栓から抜くことも重要なのだそう。これを怠ると、給湯器内部の水が凍り部品が損傷し、水漏れの原因になることもあるようです。
故障かな?と思ったら自力で復旧できる方法も配管の凍結によってお湯がつくれないのはいわば、冬の寒さゆえの外部要因。では、季節問わず給湯器自体が故障する内部要因としては、どういったことが考えられるのでしょうか?
「特にガス給湯器の場合、燃焼にあたっていくつかの順番があり、それぞれにスイッチがあります。そのスイッチが入ってお湯になるのですが、まず1つ目は『水が通るためのスイッチ』、2つ目は水が入ってきたことを感知し、燃焼力を高めるために風を送る『ファンモーターをまわすスイッチ』、3つ目がガスを点火させるために『スパークさせるスイッチ』です。ちなみに、スパークとはよくガスコンロなどを点けるときにパチパチと着火させる装置をイメージしていただければと思います。この3段階を経て、最後にガスが流れてお湯がつくられるのですが、それぞれのスイッチにまつわる機器や回路が故障することがあります」
機器や回路の故障となると、メーカーに部品交換や修理を依頼する必要があるそうですが、その前に自分で直せる可能性もいくつか考えられるそうです。
「給湯器自体のコンセントを抜き差しすることによって、基板がリセットされますので直ってしまうケースも多々あります。なので、一度は試していただきたいのですが、抜き差しをしても直らない場合は、給湯器のリモコンを見てください。不具合が起きるとリモコンに3桁のエラーコードが出るんです。その3桁のエラーコードでどこの部品が悪いのか想像できるのですが、なかには修理会社を呼ばなくても自分で直せるエラーコードがいくつかあります。
代表的なものだと、『111』というエラー。これはなんらかの部品の不具合で『点火しない』というエラーコードです。よくある理由としては、ガスメーターが遮断しているとき。例えば、長時間煮物などをして、とろ火でガスを使った際にガスメーターが微少なガス漏れと判断してしまってガスを遮断してしまうことがあるんです。そうすると、ガスメーターも止まってしまうので、お湯もでません。その場合は、ガスメーターの復帰ボタンを押して、ガスメーターを復帰させれば給湯器も使えるようになります」
給湯器の寿命は10年から15年が目安そのほかに考えられるのは、給湯器自体が「寿命」を迎えているケース。買い替えを検討したほうがいいレベルの故障には、どういったものが考えられるでしょうか?
「例えば、給湯器から水がポタポタと垂れるようになった場合です。これは給湯器内部の熱交換器からの水漏れが原因の可能性が高いです。大体、長く使った給湯器で起きる症状で、熱交換機を交換しなければならないのですが、修理には3万円から8万円ほど掛かってしまうので状況によっては買い替えを検討したほうがいいかもしれません。
また、ほかに考えられる交換のサインとしては『排気のにおいが変わってきた』『運転音が大きくなった』『お湯の温度が安定しなくなった』などです。ちなみに、給湯器メーカーは3650時間(業務用の機器は1万時間)使えるように設計しているので、一般的な使用湯量をふまえるとおよそ10年から15年くらいが交換時期の目安だと考えられます」
修理の場合はやはりメーカーに問い合わせるのが一番早く、的確な修理をしてくれるとか。ちなみに、修理費用はどこに依頼してもあまり変わらないといいます。
普段あまり状態を気にすることがない給湯器ですが、私たちの暮らしに温かいお湯は欠かせません。寒い時期の配管のケアや故障予兆の察知、交換時期の目安などを頭に入れておけば、お湯が出ない事態に見舞われたときにも焦らずに済みそうです。
●取材協力この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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