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賃貸で住まい探しをしていたら、「この物件にするなら、家賃保証会社使ってくださいねーー」なんていわれた経験はないだろうか。近ごろ、こうした家賃保証会社の利用がマストという物件が増えているという。では、その理由は? 会社の選び方なども聞いてきた。
普及の背景にあるのは、住人と保証人の「高齢化」
近年、急速に増えているのが、家賃保証会社を利用して契約する賃貸物件。今まで必要だった連帯保証人は不要になるものの、契約時に家賃の0.3カ月~1カ月分、もしくは数万円などの固定額を家賃保証会社に支払う必要がある。場合によっては保証人+家賃保証会社というケースもあるという。
これは入居時に連帯保証人が用意できない人にとっては朗報だが、初期費用が高くなるとデメリットに感じる人もいることだろう。では、家賃保証会社を利用する物件が増えている理由はどこにあるのだろうか。家賃保証サービスを行うリクルートフォレントインシュア(※)の経営企画室の次長・相浦浩一さんに話を伺った。
(※)「リクルートフォレントインシュア」は2017年10月3日より「オリコフォレントインシュア」になりました
「大きいのは社会全体の高齢化です。連帯保証人の方が高齢化し、年金生活なので保証人になれない、滞納したときに払えないという状況が増えてきました。実質的に連帯保証としての意味をなしていないんです。そのための受け皿として、家賃保証会社が普及してきたのです」と背景を解説する。
連帯保証人が用意できても、家賃保証会社を利用しなくちゃダメ?では、連帯保証人が用意できる人の場合でも、家賃保証会社を利用しなくてはいけないのだろうか。
「基本的には、大家および不動産管理会社が、家賃保証会社をつけるかどうかを決めていますので、気に入った物件が家賃保証会社をつけなくてはいけない場合、原則として利用しなければなりません。また、家賃保証会社は選べないことが多く、この部屋を借りるならこの会社かこの会社で、と指定されることがほとんどです」(相浦さん)
もう少し詳しく解説しよう。保証会社を利用すると入居者が家賃を滞納した場合でも、保証会社が家賃を立て替えて支払うため、大家・不動産管理会社には、毎月、確実に家賃が振り込まれるようになる。大家や不動産管理会社からすれば、家賃の回収不能リスクはゼロになるわけだ。そのため、連帯保証人制度を併用するのではなく、家賃保証会社に切り替え、一本化したいという背景もある。
ただ、管理会社によっては、家賃保証会社でなく保証人に変更することや、家賃保証会社を自分で選ぶことが可能なケースもあるそうなので、家賃保証会社を利用したくない場合、一度相談をしてみるといいかもしれない。
では、家賃を滞納するとどうなるの? 怖い取り立てがある?では、あまり考えたくないことだが、家賃を滞納してしまった場合はどうなるのだろうか。
「家賃を滞納しても、家賃保証会社が立て替えているだけですので、入居者の支払い義務は当然、残ります。当社でも、家賃が引き落とせない場合、入居者にすぐに連絡します。いちばん多いのがうっかり、つまりたまたま口座にお金がない場合です。そんな場合はすぐにお支払いいただけることが多いです」と話す。一般に住まいは生活の基盤になるため、家賃が滞納になるケースは少ないのだという。ただ、それでも、家賃を支払えない/支払わないというトラブルはつきものだ。
「家賃が滞る理由はさまざま。病気や失業などと切実なこともあります。家賃保証会社は個々の事情を伺いながら、相談に乗ることで生活を立て直すお手伝いを行うこともあります」と相浦さん。
ちなみに、家賃保証会社に支払う金額が大きいほど、保証内容が手厚くなるのだとか。ただ保証内容が手厚くても、滞納すればするほど金額は雪だるま式に増え、最終的には入居者の支払い総額が増えるだけ。自分で自分の首を締めるだけなので、これは注意したい。
賃貸住宅を借りる際の連帯保証人制度は、特に高齢者や外国人だと用意することが難しく、不公平・不透明と批判されてきた制度だ。家賃保証会社が普及することで、大家、不動産管理会社、そして入居者も、より安心して住まいを借りられるようになっている。今はその過渡期といえそうだ。
●取材協力この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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