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「2016年版 みんなが選んだ住みたい街ランキング 関東版」で上位にジャンプアップした東急東横線の「自由が丘」「武蔵小杉」と、東急田園都市線の「二子玉川」。編集部では、東急線のイメージをけん引するこの東急東横線と東急田園都市線に着目。沿線に住んでいる人150名ずつ(計300名)にアンケートを実施した。今回は、各路線のユーザーの声とデータから「東急東横線」と「東急田園都市線」を比較してみた。
東横線ユーザーは店やスポット、田園都市線ユーザーは雰囲気を重視
まず、なぜその沿線に住んでいるのか、その理由を尋ねたところ、東横線ユーザーの回答では、「都心や繁華街へのアクセスが良いから」(37.3%)と「学校や勤務地へのアクセスが良いから」(33.3%)が並び、利便性の高さが沿線居住の理由となっていることが分かった。
一方、田園都市線ユーザーで見ると、「沿線の街の雰囲気が好きだから」(35.3%)が最多となり、「都心や繁華街へのアクセスが良いから」(32.7%)と「学校や勤務地へのアクセスが良いから」(32.0%)が続いた。「沿線の街の雰囲気が好きだから」については、東横線ユーザーの24.0%と11.3ポイントも差が開くこととなり、田園都市線ユーザーのほうが「街の雰囲気」をより重視する傾向が色濃く表れた。
対して、東横線ユーザーに顕著な傾向が表れたのが、「好きなお店やスポットが多いから」(17.3%)で、田園都市線ユーザーの6.7%のほぼ2倍に上った。総じて、東横線ユーザーには特定の場所へのアクセスの良さや店・スポット等の有無を重視する傾向が、田園都市線ユーザーには街のテイストや雰囲気を評価して住む傾向が見られた。
東横線ユーザーのほうが全体的に満足度が高い!?続いて、住んでいる沿線のどんなところが好きなのか、気に入っているのかというポイントについて、両線ユーザーに尋ねた結果を比較してみたところ、「どこに行くにも便利」「運行本数が多い(5分に1本くるなど)」「ほかの沿線に乗り換えしやすい」が1位、2位、3位と続いたのは両線に共通していた一方で、いずれの選択肢も、東横線ユーザーのほうが、回答率が高い結果となった。
一番、差が開いたのは「ほかの沿線に乗り換えしやすい」で、東横線ユーザーが54.7%と半数以上が選んでいるのに対して、田園都市線ユーザーは35.6%と、19.1ポイントも開きがあった。
ほかの項目を見ても、ほとんどの項目で東横線ユーザーの回答率が田園都市線ユーザーを上回り、総じて、東横線ユーザーのほうが、多くのお気に入りポイントを答えている傾向が如実に見られた。田園都市線ユーザーの回答率が上回ったのは、「都心のターミナル駅に出なくても沿線上に栄えた駅があって便利」のみ。それも0.4ポイントと、ごくわずかに上回るのみとなった。
田園都市線ユーザーの混雑に対する不満が爆発次に、両線ユーザーが改善を望んでいるポイントについて尋ねたところ、最多の回答は、ともに「通勤ラッシュ時の混雑が激しい」となった。ただし、東横線ユーザーの39.3%に対して、田園都市線ユーザーは72.0%と、ほぼダブルスコア。次いで回答が多かった「悪天候時や事故など、遅延が多い」についても、東横線ユーザーの21.3%に対して、田園都市線ユーザーは38.7%と、やはり倍近い数値になり、田園都市線ユーザーが、ラッシュ時の混雑や遅延に強い不満を感じていることが分かった。
一方、東横線ユーザーの方が不満が多かったのは、「ほかの線との乗り換えが不便・面倒」「電車の種類が多くて複雑」「駅やホーム、トイレが清潔ではない」「駅のエレベーターやエスカレーターが少ない」など。田園都市線と比べると、使い勝手や駅の施設に対する不平が、比較的目立つ結果となった。
データからも分かる田園都市線のヘビーな混雑ぶり田園都市線ユーザーの不満が爆発している混雑度について、客観的なデータで比較してみよう。「平成27年度 三大都市圏における鉄道混雑率について」(国土交通省)の「東京圏内における主要区間の混雑率」によると、東横線、田園都市線ともに混雑度トップ20にランクイン。しかし、個別に見ると、以下のように、田園都市線のほうが過酷な混雑度となっている。
・東横線(祐天寺→中目黒)混雑率 163%
・田園都市線(池尻大橋→渋谷) 混雑率 184%
※混雑率:最混雑時間帯1時間の平均
田園都市線のこの区間の混雑度は、「東京圏内における主要区間の混雑率」の抽出ポイント31区間の中で6位。東横線のこの区間が13位であることを考えても、田園都市線のほうが、混み具合がひどいことが分かる。
家賃相場は、東急田園都市線のほうがリーズナブル最後に、両線の沿線に住むことを想定して、家賃相場を比較してみよう。同じような条件の駅どうして、駅から徒歩15分以内のワンルーム・1K・1DKの家賃相場を比べてみたのが下の表だ。
東横線・妙蓮寺駅と田園都市線・江田駅のケースを除けば、どうやら、総じて田園都市線の方が、家賃がリーズナブルな傾向がある模様。渋谷だけでなく、横浜という巨大ターミナルを擁する東横線の利便性が、東横線沿線の家賃相場に反映されていることが考えられる。
東横線と田園都市線。同じ東急電鉄が経営している上、雰囲気も似ている両線だが、各沿線に居住し、日常的に利用しているユーザーの声を聞いてみると、それぞれ特色があることが分かった。
かく言う筆者は、幼少期から「たまプラーザ」と「つくし野」で育ち、今は用賀にマンションを買ってしまった筋金入りの田園都市線ユーザー。「東横線なんて何さ、フン!」と言いつつも、田園都市線と双子のような東横線のことは、実はずっと気になっていた。
それだけに、この記事をきっかけに、東横線の持つ多くの魅力にも気づかされた次第。使い勝手の良さやショッピング施設等の充実度、沿線駅や街のテイストや雰囲気といった好みの面からも、各々さまざまな魅力のある東横線と田園都市線に、これからも注目し続けたい。
●調査概要この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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