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日本で数社しかないカニ缶詰製造元、マルヤ水産が製造する「CANNED 南三陸産銀鮭の醤油煮缶詰 180g」750円(税別)が、第32回全国水産加工品総合品質審査会において最高賞である農林水産大臣賞を受賞した。
マルヤ水産は、宮城県名取市閖上で創業以来、カニ缶詰や冷凍のカニ製品を製造してきた。カニ缶詰は百貨店ギフトの花形の一つだが、実際に製造している会社は全国でも数社しかなく、珍しい商品でもある。
東日本大震災の際は、津波で名取市閖上の本社・工場・倉庫が流失。その後グループ補助金を受け、第二工場であった亘理工場への増築で現在の缶詰ラインを立ち上げた。
震災を機に、地元との結び付きをもっと大切にしたいと考えるようになった同社は、以前から構想していた地元の食材の缶詰商品を開発することに。地元の食材×地元の工場×地元のデザインを生かした商品づくりをしたいとの考えから、単発商品ではなくブランドとして「CANNED(キャンド)」が誕生した。
缶詰は常温で長期保管でき、防災等での機能面が注目されることが多いが、同社では“缶詰加工は調理である”と考えている。高温・高圧下での殺菌をすることで長期保管を実現するが、殺菌工程は圧力鍋で煮込むように食材が柔らかくなり、味がよく染み込み馴染む。この缶詰ならでは美味しさを追求し、伝えていきたいという想いがあり、それを鍋の意匠に託した。
このたび農林水産大臣賞を受賞した「南三陸産銀鮭の醤油煮缶詰」の材料には、刺身用の脂がのった宮城県産銀鮭を使おうとしたが、刺身用銀鮭は身が柔らかいので缶詰の殺菌に耐えられずに溶けてしまい、殺菌条件を緩めると中骨が硬いまま食べられない状態に。
そこで長年の缶詰技術を生かして試行錯誤を重ね、現在の商品のようにふっくら身質は保持しつつ中骨まで丸ごと楽しめる仕上がりを実現した。
味については、同社が仙台市内でコロナ禍まで経営していた懐石料理店の料理長の「煮付」の味からスタート。刺身を美味しくする醤油でも缶詰だとミスマッチとなり、醤油選びが難しかったというが、複数の醤油で試作し、素材の味を良く引き出してくれた石巻の山形屋商店の醤油を採用することとなった。
同商品は、元々和食の味なので、日本酒と合うのはもちろん、ワインとの相性も抜群。
「CANNED」シリーズの「南三陸産牡蠣のしぐれ煮缶詰」と宮城ワインのマスカットベーリーAとの組合せに衝撃を受け、その後、「南三陸産銀鮭の醤油煮缶詰」も宮城ワイン甲州シュール・リーと合わせたところ、同ワインの柑橘系の爽やかさと酵母の香りが非常に良く合うと分かった。この美味しさを伝える為に同社は昨年酒販免許を取得し、宮城ワインとのセットも販売している。
「CANNED」シリーズは、小売店や各種通信販売、自社ネット通販などで全国販売しているほか、香港、シンガポールの店頭にも並んでいる。これからは「CANNED」の新商品展開を進めつつ、もっと東北、宮城の食を楽しめる提案を国内外に向けて発信していくという。
農林水産大臣賞を受賞した「南三陸産銀鮭の醤油煮缶詰」を、ワインとともに味わってみては。
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