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2017年3月27日(月)、午前6時。先日、東京では桜の開花宣言がされたというのに、激しい雨と低すぎる気温のなか、筆者は所沢にいた。なぜかって? 目的はただひとつ、“座れる通勤列車”と話題の「S-TRAIN」に乗るためである。
「S-TRAIN」の平日運行デビューに乗車!
「S-TRAIN」とは、平日は所沢⇔豊洲(西武池袋線・西武有楽町線と東京メトロ有楽町線の区間)を、休日は西武秩父⇔元町・中華街(西武秩父線・池袋線・西武有楽町線と東京メトロ副都心線、東急東横線、横浜高速みなとみらい線の区間)を結ぶ、全席指定の直通列車のこと。乗車料金プラス510円(所沢駅~豊洲駅間)で乗車が可能だ。
前述のとおり、平日と休日で停車駅が異なるのが特徴で、2017年3月25日(土)に運行を開始したばかり。平日運行は、私が乗車した27日が初めて。そのためか、電光掲示板やホームに入ってくる車両を撮影する人も数多くいた。
平日の始発となる所沢(埼玉県所沢市)は、ベッドタウンとして人気のエリア。都心部へ通勤するビジネスパーソンも多く、途中駅には池袋駅(有楽町線)もあり、多くの乗車客で混雑する路線ゆえ、「S-TRAIN」の運行を期待する声は多かった。実際、乗り心地はいかがなものだろうかと乗車してみると、全席指定なため当然といえば当然だが、満員電車にみられる“おしくらまんじゅうのような状態”は、まったくなく、極めて快適! 走行中、池袋駅のホームに並ぶ行列を横目に通過したのは、なんとも優越感を覚える。
今回は所沢から乗車したが、保谷・石神井公園の乗車可能な2駅を過ぎても、まだ空席はあった。朝の通勤時間、運行まもないということもあり、満席ではなかったこともあいまって、ゆったりとした通勤を疑似体験できた。
仕事・新聞・睡眠……車内の過ごし方はさまざま「S-TRAIN」には、西武鉄道の新型通勤車両「40000系」を採用。コンセントやWi-Fiが完備されているほか、トイレまで設置されている。
スマホやノートパソコン、タブレットなどの電子機器も思う存分使えるし、列車が地下に潜っても、Wi-Fiがあるから電波が途切れる心配もない。さらに、朝時間がなくて急いで家を出ても、トイレがあるから“お腹弱い族”の方でも安心だ。
所沢から豊洲までは約1時間。これまでの在来線を利用しても、所要時間は1時間10分前後と移動時間こそ大して変わらないが、その質は大きく異なる。「S-TRAIN」に乗車した筆者は、パソコンで仕事をすることにしたのだが、同じようにパソコンやタブレットで作業をする人や新聞を広げて読んでいる人は多い。従来の列車の場合、通勤時間中にパソコン作業をしていると、怪訝な顔をして見てくる人もいる。周囲に気兼ねなく、正々堂々パソコン作業ができる点はありがたい。
また、座席スペースも広く、膝の上でパソコンを開いても窮屈な印象はあまり感じなかった。ただ、ひとつ贅沢を言えば、新幹線のようなテーブルがあれば文句なしなのだが……。
「週に1、2回は乗りたい」……自分へのプチご褒美として活用!筆者は、今回が所沢初上陸だったため、普段の通勤との差がどれほどなのか分からない。そこで、隣に座っていた、所沢在住の31歳・会社員(男性)に話を聞いた。
ーーやっぱり普段の通勤とは違いますか?
「確実に座れるのはうれしいです。これまでだと、有楽町線に入る手前くらいから混み始めるので、豊洲に着くころにはなんとなく疲れてたんですけど、この列車なら石神井公園から先は誰も乗ってこないのでほっとしますね」
ーー「S-TRAIN」に乗ってみて、どうですか?
「移動中はタブレットをよく使うんですけど、普段の通勤だと隣との距離が近いし人も多いので、のぞかれてるんじゃないかって思ってました。でも、この列車なら自分のスペースが確保できるし、わりと広いので、周りを気にせずに仕事ができる気がします」
ーーこれからも利用しますか?
「1回味わってしまうと、普通の通勤ができなくなりそうで怖いです(笑)。でも、毎日だと財布が厳しいので……週に1、2回なら乗りたいですね」
周りを気にせず自分の好きなことができるメリットはあるが、毎日乗るとしたら片道だけでも1カ月で1万円ほど料金が上乗せされることになる。残念ながらこのような特別料金は、通勤のためとはいえ、会社から支給されないことが多い。しかし、車内で仕事がはかどることで、自身の働き方の効率アップやストレス軽減につながるのであれば、“そのための投資”と思えば、そんなに高くないともいえるのではないだろうか。また、毎日とは言わずとも週に1度くらいは、“自分へのプチご褒美”として、活用するのも悪くないだろう。
朝の混雑に巻き込まれずに通勤できるというのは、ビジネスパーソンにとっては、それだけでもありがたいことだろう。今回は、かなり快適な1時間を過ごすことができた。朝の運行本数が少なく、所沢駅発は6時24分しかないのは少々厳しいところだが、それを鑑みても、メリットは大きい。百聞は一見に如かず。まずは自身で体験してみてはいかがだろうか?
●取材協力この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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