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創業112年の歴史を持つ小平が、鹿児島県日置市のシャッター温泉街で膜(まく)技術を活用した革新的な手法で空き家を改修し、従来の半額のコストで一棟貸しゲストハウスを作る実証実験プロジェクトを開始。また、CAMPFIREにて9月24日(火)より、クラウドファンディングも開始した。
鹿児島で創業112年の歴史を持つ地域商社の小平は、創業110年を迎えた2022年からの3年間を「第4創業期」と位置づけ、10年後の2032年に実現したいことの一つとして「地域だからこその可能性が花開く、ワクワクあふれる街を産み出す」というビジョンを設定した。
そのビジョンの実現に向けて、鹿児島県日置市と「企業と地域の新しい関係性を通じて、湯之元を世界に誇れるウェルビーイングタウン(※)にしていくための連携協定書」を締結。2月には、「シャッター温泉街」の湯之元へ本社を移転した。
小平は街に多数存在する空き家を改修し、宿泊施設に生まれ変わらせることで、地域に人を呼び込む新たな挑戦を始める。
日本全国に広がる空き家問題。その改修の課題として、内装の断熱(室内温度が外気の影響を受けないようにすること)や、外壁の改修に大きなコストがかかる点が挙げられてきたという。
今回、小平はイノベーションファームであるリ・パブリック社と膜素材企業との連携により、空き家の断熱性向上と外観改修を膜素材で実現するモジュールを開発。この新しい「膜素材モジュール」を活用することで、これら2つの課題を低コストで実現できると考えている。
古い家屋では、壁に断熱材が使用されていないことが多く、空き家改修の際には壁を壊して断熱材を新たに設置する必要がある。そのため、壁を壊すコストと作り直すコストが発生してしまう。
今回、小平が開発した膜を竹素材と組み合わせた2層の内装モジュールを設置することで、壁自体を改修することなく断熱性を向上させることができるのではないかと考えている。
この内装モジュールは、2層、もしくは3層の膜構造になっており、その間に空気の層を挟むことで空気断熱の効果を発揮する。今回のプロジェクトでは、専門家とともに、このモジュールの断熱性能を検証していくという。
また、建物の外装デザインを改善することは、地域の景観を向上させるために必要とされる。
今回のプロジェクトでは、建物全体を包み込むリノベーション「ラッピングリノベーション」を膜素材で行う計画だ。
この手法により、外壁材自体の工事が不要となり、加えて膜からほのかに漏れるLEDの灯りが、夜には暗い通りを照らす効果も期待できる。
実証実験の第一号となるのは、かつて地域で愛される居酒屋であった築50年の空き家。この空き家を一棟貸しのデザイナーズゲストハウスへと改装し、街に不足している宿泊拠点を提供する。
今回のプロジェクトのデザインと設計は、リ・パブリック社のミラノ工科大学出身のイタリア人デザイナー、ヴァレンティナ・マリア・ヴァシレ氏が担当。
彼女の感性と、日本の空き家や新素材の持つポテンシャルを活かした新たな空間を創り出す。
さらに、ゲストハウスの運用を通して、空き家活用の新たな収益モデルを開発する。今後は、同様の施設を近隣、鹿児島県内も含めて複数運営し、そのノウハウは全国で地域づくりにチャレンジする人々に共有していくという。
スケジュールは、9月後半から12月初旬にかけて空き家のリフォーム工事を開始。工事期間中には複数回のリノベーションワークショップを予定しており、一般参加も可能だ。
そして、2025年1月後半からは、宿の宿泊がスタートする予定となっている。
日置市長の永山由高氏は、「小平さん達の挑戦は、湯之元温泉の日常が持つ豊かさを現代の社会にフィットする形に変えていくものです。地域の記憶や思い出を大切にしていただけるからこそ、街の人たちをどんどん巻き込み、応援の輪がどんどん広がっています。今回のプロジェクトを通して、またこの温泉街を第2の、第3の故郷のように思っていただけるような新たな仲間との出会いに期待しています。私も全力で応援します!!」と話している。
地方の空き家問題に挑戦する小平の活動をチェックしてみては。
CAMPFIRE:https://camp-fire.jp
プロジェクト名:空き家が変身!創業112年企業が膜技術で作るデザイナーズ民泊と温泉街再生計画!
※ 心身だけではなく社会的にも満たされ、人間らしく豊かに暮らせるまち
(yukari)
この記事のライター
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