/
英国など海外では定着している一般家庭のお庭を公開する『オープンガーデン』。近年、日本も自治体などが後押しして各地で実施されているようだ。見知らぬ方のお庭が見られるのはチョット興味津々! 草花は好きでも、育てると失敗する筆者ではあるが、2017年春に開催されたオープンガーデンで花の楽しみ方を教えてもらった。
バラへの探究心が尽きない【金子さんの~Berry’s Garden~】
ネットで見つけた横浜市港北区主催の『港北オープンガーデン』。2017年が5回目で4月・5月に3日ずつ6日間開催された。区としては、『港北オープンガーデン』を通じて、区内外多くの人にこの街の魅力を知ってもらい、“まちづくり・コミュニティづくり”にもつなげたいという趣旨。
この会場紹介マップのなかから、歩いて回れそうな4会場をピックアップして伺った。
駅から歩いて10分かからない道路沿いに、花壇が目立つお宅を発見。ここが会場【金子さんの~Berry’s Garden~】に違いない。
筆者は取材の連絡を入れていたので、金子さんご自身が出迎えてくださった。
金子さんのガーデンの見どころは、「バラが300種類ほどあります」と、個人宅とは思えない規模!
「バラの配置は品種ごとに違う咲く時期や、香りの強いものとそうでないものを考慮して植えています」と、金子さん。
朝と夕方でも庭の表情は変化するので面白いが、「香りを含め、生き生きとした花が見られるのは朝ですよ」
ここまで大きなお庭になるまでには10年ほどの過程があったということ。
「先代の日本庭園を引き継いで、徐々に自分が好きな花やデザインの庭にしていますが……終わりがありません(笑)」
オープンガーデンに参加して、今年は3日で約200人も来場があったようで「友達以外の方にも見ていただけると思うと、次は何をやろう!という気持ちになります」と、金子さんの創作意欲がかき立てられた様子。今年はDIYで3週間かけ、新たに小径(こみち)をつくったのだそう(画像8)。
お話を伺っていると、そのバイタリティに驚くばかり!
「こんなに熱中するようになったのは、バラの奥深さを知ったからかしら」と、金子さんはガーデニングにのめり込んだ理由を教えてくれた。
「若いころ、バラを枯らしてしまって、そのとき『何が悪かったのか?』と考え、肥料や害虫対策をしたら、今度は見事に咲いて応えてくれたんです」
そんな喜びが、ミニバラ4鉢から始まったバラ栽培を、300種も咲き誇るローズ・ガーデンまでにしたのだ。
今もなお、バラへの探究心が続いているのは、「バラは品種が何万と多いのと、努力の成果が白黒ハッキリしている花だから」ということ。
ガーデニングを本格的に楽しむようになって約20年、「熱中できることがあるって幸せですよね」
金子さんは子育ても手が掛かって忙しいころに、もらったミニバラを当時住んでいた家で育てていて「日々の潤いだった」とも。子育てや介護で大変なときは、花を見るだけでも心が落ち着くとアドバイスしてくれた。
また、画像12の車道に面した前庭(最初に見た、ガゼボのある所)について、興味深い話を伺った。
「実は以前、つぶれかけた物置小屋があった場所。そこにはゴミが投げ捨てられたりして困っていましたが、庭づくりをしたらゴミは捨てられなくなりました」
また、「“花友(ハナトモ)”は年齢や仕事、地域も違うので、皆さんとの交流は刺激になっています」と、花を通じてご自身の人生が豊かになっている様子。それが家族にも伝わっているようで、夫をはじめ2人のお子さんも庭づくりやオープンガーデンのお手伝いをしてくださるとか。
来年のオープンガーデンに向けて、次なるプロジェクトが進行中。金子さんの挑戦は続いている!
『オープンガーデン』は個人のお庭を公開するイベントだが、「港北オープンガーデン」は個人のお庭に加え施設やグループの方々が育てている花壇なども参加している点が、街づくりにも効果を発揮しているようだ。
ということで次に訪れたのは、「シャン ド ブレ」というパン屋さんのお庭。
待っていてくれたのは、こちらのガーデンづくりをしている嶋崎さん。
実は、こちらのパン屋さんは後に伺う「フランス料理レストランHANZOYA」のグループで、カフェと3店舗の花のお世話をしているということ。
「自分の家でNHKのテキストとか見ながらバラを勉強したり、寄せ植えを始めてみたりしていたのですが、お店の花のお世話をするパート募集があって応募したのです」
前任者から、花の水やり、剪定、植え替え、仕入れなどの手ほどきを受け実践で学び、今ではリーダーとして活躍するまでに。その結果「午前中は花にかかりっきり」と、それが生活のリズムになっているという。
庭のお世話をしていると、お店にやって来るお客さんとの会話が生まれる。
「オープンガーデンもそうですが、人に見ていただけると励みになりますよね」と、嶋崎さんもオープンガーデン参加2年目で、その効果を実感している様子。
「ガーデニングを始めるなら、実のなるものだと楽しいですよ」と、ポットで栽培しているイチゴやブルーベリーを紹介してくれた。
「ここで育てたブルーベリーやローズマリーを使ったパンもあります」とのこと。
嶋崎さんにそのままご案内いただき、次の会場「フランス料理レストランHANZOYA」に向かった。
こちらでは、広めの歩道にコンテナ・ガーデンが飾られていた。
嶋崎さんが心掛けているのは、年中花を欠かさないようにしているということ。
「冬に花が少ない時期は、葉のグリーン色の濃淡で花のように見せるなど工夫をしています」
今、使っているビオラなどは冬からの花らしく、これから植え替えに忙しくなるようで「6月には全く違う花が見ごろになっています」と教えてくれました。
最後にカフェ「ラ・ピエスモンテ」に寄って、嶋崎さんの寄せ植えコンテナを眺めながらコーヒーブレイク。
嶋崎さんも「植物は手を掛けたら掛けた分、返してくれる。子どもはそう思いどおりにはいきませんけどね(笑)」と、草花に愛情を注いでいるのが分かる。日々情熱を注げることを、仕事にできた嶋崎さんはとてもラッキーだと思えた。
今回、オープンガーデンをのぞき見に来たような筆者だったが、庭づくりをする人の熱意に触れて「何事も心だなぁ」と実感。家に帰って、伸び放題になっていたジャスミンとモッコウバラを刈ることからマイ・ガーデンの整備を始めることにした。
●取材協力この記事のライター
SUUMO
172
『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
グルメ・おでかけの人気ランキング
新着
カテゴリ
公式アカウント