/
品川区では、小中学校の自由選択制を採用したり、学童保育を充実させたりといった子育てに関する取り組みに力を入れていますが、行政だけでなく住民たちの子育て意識も高い区としても知られています。例えば、地域の大人たちが子どもたちの登下校を見守る「83運動」は品川区が発祥の取り組みです。
品川区で活動するママたちが立ち上げた「品川宿いどばた」
そんな品川区に2016年7月、住民たちによる新たな子育て支援施設が誕生し、評判となっています。京浜急行線新馬場駅近くにオープンした「品川宿いどばた」は、品川で活動するママのための自主グループ「ママかつ」が立ち上げた、情報交換と交流の拠点。古民家を利用したアットホームなスペースでは、日替わりでママと幼い子どもたちにうれしいコンテンツを提供しています。
火曜には親子で参加できる「ママかつ」主催の講座を開催。内容は、ベビーマッサージやファーストサインといった親子の触れ合いがテーマのものや、お灸や酵素シロップづくりのようなママの美容や健康に関するもの、アイシングクッキーのような親子で楽しめるモノづくりなど、多岐にわたります。これらの講座は、講師にもママさんを起用。徹底してママ目線にこだわった内容が特徴です。水曜は親子が気軽に立ち寄れる親子広場の日。この日は保育士が駐在しており、育児相談にものってくれます。木・金曜は親子が食事を楽しみながら交流できる「いどばた食堂」として、素朴でホッとできる手づくりの食事と交流の場を提供します。この試みはとくに評判で、予約だけで満席になってしまうほど人気となっているそうです。
孤軍奮闘するママの助けになりたい「品川宿いどばた」が、初めての子育てや、なじみの薄い土地で心細い思いをしているママさんの助けになれば」と話してくれたのは、「品川宿いどばた」を運営するママさんグループ「ママかつ」の代表、杉山ゆみえさん。杉山さんは、代々品川に住む品川っ子ですが、一度地元を離れ、なじみの薄い土地で子育てをした経験があるそうです。
「そのときは、困ったことがあっても身近に相談できる相手もいないし、不慣れな土地で、どんなサービスがあるのか、手続きなどもどこに行ったらいいか分からず、とても不安でしたね。けれど、地元に帰って来てみると、土地勘もあるし、相談できる相手もいるし、親もいる。支えてくれるものがたくさんあることでとてもホッとしたんです。この心強さをたくさんのママさんたちと共有できたら……と思ったのが、活動のきっかけです」
実際、「品川宿いどばた」の利用者は品川が地元でない人や、一人目の子どもで子育てが初めてのママさんが多く、ご近所にとどまらず隣の区から越境して利用しにくる人もいるのだとか。この拠点の存在が、子育てに不安を持つ近隣のママの心の拠り所になっているようです。
さらにこの界隈には、「ふれあいの家−おばちゃんち」という子育て支援NPOもあり、子育てサポートの窓口が豊富で、団体同士の情報交換も盛ん。今後、ファミリーからの注目度が高まりそうなエリアです。
構成・取材・ 文/鈴木さや香
●次にくる住みたい街はここだっ! ~北品川編~ 住まいに関するコラムをもっと読む SUUMOジャーナルこの記事のライター
SUUMO
172
『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
グルメ・おでかけの人気ランキング
新着
カテゴリ
公式アカウント