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大人が泣ける感動の童話といえばこれ!あなたは読んだ?「ごんぎつね」の作者が遺したもう1つの名作

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目次

親子で楽しみたい物語をご紹介している本連載「親子のためのものがたり」。今回は新美南吉の「手袋を買いに」を取り上げます。主人公は人間ではなくきつね。動物が主人公の物語は小さなお子さんも楽しみやすいでしょう。親子の愛情を描いたやさしいお話です。

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「手袋を買いに」を子どもに聞かせよう!

新美南吉は結核により29歳という若さで亡くなった児童文学作家。「ごんぎつね」の作者と聞くとピンと来る人も多いのではないでしょうか。「手袋を買いに」も新美の代表作の1つ。親子で楽しむのにぴったりのお話を紹介しましょう。

「手袋を買いに」のあらすじ

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「手袋を買いに」はきつねの親子を主人公にしたほっこりと心温まる物語です。親子愛が描かれているので、お子さんの寝かし付けにもおすすめできます。

きつねの親子が町まで手袋を買いに行く

森に住むきつねの親子がいました。寒い冬のある朝、子どものきつねが洞穴から外に出ると昨夜のうちに雪がどっさりと積もっていました。子どものきつねは外に遊びに行きます。雪の上を駆け回ったりしたあと洞穴に帰ってくると、「お母ちゃん、お手々が冷たい、お手々がちんちんする」と言って、ぬれて牡丹色になった両手をさしだしました。お母さんきつねはその手にはーっと息をふっかけて、その手でやんわり包んでやります。そして、手にしもやけができてはかわいそうだから、夜になったら町まで行って毛糸の手袋を買ってやろうと思いました。

夜になると親子は一緒に町へ向かいました。子どものきつねは母さんきつねのお腹の下に入り込んで歩いていきます。

しかし町の灯を見た時、お母さんきつねは友だちと町に出かけてとんだ目にあったことを思い出しました。友だちがあひるを盗もうとしてお百姓に見つかってしまい、命からがら逃げたことがあったのです。

「母ちゃん何してんの、早く行こうよ」と子どものきつねがお腹の下から言うのですが、お母さんきつねはどうしても足が進みません。そこで仕方なく坊やだけを一人で町まで行かせることになりました。

\ココがポイント/✅冬がやってきて子ぎつねは手が霜焼けになってしまいそうだった✅母さんきつねは子どものために手袋を買うことにする✅母さんきつねは町で人間にひどい目にあったことを思い出す✅子ぎつねが一人で町に行くことになる

無事に手袋を買えるように母きつねがしたことは…

お母さんきつねは子どものきつねの手を片方とって握りました。そしてその手をかわいい人間の子どもの手にしたのです。

「何だか変だな母ちゃん、これなあに?」「それは人間の手よ。いいかい坊や」そう言うとお母さんきつねは、町に着いたら表に丸い帽子の看板のかかっている家を探し、戸を叩いてこんばんはと言うように説明しました。「戸が少し開くから、その隙間からこの人間の手を差し入れて、この手にちょうどいい手袋をちょうだいって言うんだよ。こっちのお手々を出しちゃ駄目だからね」

子どものきつねがその理由をきくと、人間はきつねには手袋を売ってくれないどころか、捕まえて檻に入れてしまう恐いものだからだと、母さんきつねは教えます。そして、「けっしてこっちの手を出しちゃいけないよ」と言って子どものきつねの人間の手の方に二つの白銅貨を握らせました。

\ココがポイント/✅母さんきつねは子ぎつねの片手を人間の手に変えて、人間の手の方を使って手袋を買うように教えた✅母さんきつねは子ぎつねに人間のお金を持たせた

子ぎつねはお店にたどり着き無事に手袋を買う

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子ぎつねは町の灯を目あてに雪あかりの野原をよちよちやって行きました。灯りには星と同じように赤いのや黄色いのや青いのがあるんだなと思いながら。

町に着くと色々な看板があって苦労しましたが、とうとう黒い大きなシルクハットの帽子の看板が青い電燈に照てらされているのを見つけました。

子ぎつねは教えられたとおり、戸を叩いて「こんばんは」と言います。するとやがて戸が少し開き、光の帯が道の白い雪の上に長く伸びました。子ぎつねはその光がまばゆかったので驚いてまちがった方の手を差し込んでしまいました。

「このお手々にちょうどいい手袋ください」

帽子屋さんはきつねの手だと気づきました。木の葉で買いに来たのだと思ったので、「先にお金をください」と言いました。子ぎつねが白銅貨を渡すと帽子屋はそれが本物のお金だとわかりました。指の上でカチ合わせるとチンチンとよい音がしたからです。そこで、子ども用の毛糸の手袋をその手に持たせてやりました。

子ぎつねは来た道を帰りながら、「お母さんは、人間は恐ろしいものだって言ってたけど、ちっとも恐ろしくないや。だって僕の手を見てもどうもしなかったもの」と思いました。

\ココがポイント/✅子ぎつねは店の中の明かりに驚いて、出す手を間違えてしまう✅帽子屋はきつねの手だと気づいたが、銅貨が本物だったので何も言わずに手袋を渡した

子ぎつねは母きつねの元に帰る

子ぎつねがある窓の下を通りかかると、人間の声がしていました。子どもが「母ちゃん、こんな寒い夜は、森の子ぎつねは寒い寒いってないてるでしょうね」と言っているようです。するとお母さんが「森の子ぎつねもお母さんきつねのお唄をきいて、洞穴の中で眠ろうとしているでしょうね。さあ坊やも早くねんねしなさい」と言う声が聞こえました。

子ぎつねは急にお母さんが恋しくなって、お母さんきつねの待っている方へ跳んで行きました。お母さんきつねは心配で今か今かとふるえながら待っていたので、坊やが来るとあたたかい胸に抱きしめて泣きたいほどよろこびました。

「母ちゃん、人間ってちっとも恐かないや」「どうして?」「坊、間違えてほんとうのお手々出しちゃったの。でも帽子屋さん、捕まえやしなかったもの。ちゃんとこんないい暖い手袋くれたもの」と言って手袋のはまった両手をパンパンやって見せました。

お母さんきつねは「まあ!」とあきれましたが、「ほんとうに人間はいいものかしら」とつぶやきました。

(おわり)

\ココがポイント/✅子ぎつねは人間の親子の会話を聞いてお母さんが恋しくなる✅心配していた母きつねは子ぎつねを抱きしめる✅「人間は恐くない」と言う子ぎつねに母きつねは驚く

子どもと「手袋を買いに」を楽しむには?

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子ぎつねの冒険を通して親子愛を感じられるお話でした。坊やが手を間違えて出してしまう場面は少しハラハラしますが、悪い人や嫌な人が出てこない、やさしい物語になっています。

お話のあとでのお子さんとの会話では、「子ぎつねがちゃんとお母さんのところに帰ってこられてよかったね」と言ったり、・1人でお買い物に行けそう?・帽子屋さんのことをどう思う?・どんなときにお母さん(お父さん)に会いたくなる?などと聞いてみてはいかがでしょう。

また、お母さんきつねや人間の母親は話す場面では、優しい声で演じてあげるといいですね。

まとめ

親が読むと子どもが愛おしくなる「手袋を買いに」。子ぎつねのかわいらしさにもお思わずほっこりしてしまいますね。寝かしつけの際に大人も一緒に眠ってしまうかも?元気いっぱいで勇敢な坊やの冒険を、お子さんと一緒に楽しんでみてください。

(文:千羽智美)

※画像はイメージです

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