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コメディ要素をたっぷりと盛り込んだ舞台「ミッドナイト・イン・バリ~史上最悪の結婚前夜~」で5年ぶりとなる久々の舞台にのぞむ栗山千明さん。公演を控えた今の心境や役づくりについて伺った。
1984年生まれ。幼少時から芸能活動を 始め、映画「死国」で女優デビュー。以降、映画「バトルロワイアル」「図書館戦争」「秘密」、テレビドラマ「ATARU」「アル ジャーノンに花束を」「不機嫌な果実」など に出演し、現在「遺留捜査」に出演中。
―自分とかけ離れた役を演じるには、 一つひとつを共感できるまで近づくこと。緊張しない現場なんてないけれど、楽しみたい。
数多くの映画やドラマに出演しているが、舞台に立つのは2008年、2009年、2012年に1作ずつで、今作が4作目となる栗山さん。5年ぶりに舞台に立つ今の心境は。
「毎回舞台というものに慣れる前に離れてしまうので、4作目とはいえ、やはり何が起こるか分からないから怖いです。これまでの3作すべて演出が蜷川(幸雄)さんだったのですが、毎回私がビビッているのを察してくださっていたのか、蜷川さんには『舞台って楽しいものだと思ってやってくれたらいい』と教えられました。それでも久しぶりの舞台ということもあり、逃げ出したい気分でいっぱいです(笑)」
今回の『ミッドナイト・イン・バリ~史上最悪の結婚前夜~』は、現在放送中のNHK朝のテレビドラマ「ひよっこ」の原作者・岡田惠和氏が脚本を手掛けるラブコメディ。4人の役者だけのストレートプレイで、栗山さんは溝端淳平さんが演じる小暮治との結婚式を翌日に控えた妻・加賀美幸子に扮する。栗山さんが演じる女性というと、クールで強いキャラクターが多く、ストーリーも重いテーマや固いものが多いような印象だが、コメディ劇への出演に関しては。
「私自身、笑える要素があるコメディは好きなんですが、泣かせるとか感動させるとか、色々な感情があるなかで、“笑わせる”っていうのは一番難しい感情だと思っているので、難易度は高いなと感じています。でも、舞台ではお客さんのリアクションをいただきながら、楽しんでいきたいとも思います」
今回演じる役は、自分とのギャップが大きいのが課題だという。共演歴がある溝端さんとは。
「『お互いに逆だね』って言っています。溝端さんの演じる小暮治は、おどおどして、自分の想いをあまり口にしないタイプですが、溝端さん自身はものをはっきり言えてしっかりしている人です。かたや私の演じる美幸子は、ズバズバとものを言う女性だけれど、私自身は普段あまり言えないタイプなんですよね。だから『逆だね~』って。美幸子は私からすると苦手な女性というか、共感しずらい女性なんです。ズケズケ、ズバズバ、ひどい言葉をどういう気持ちで言っているのかがわからないと、台詞はもちろん、動きもどうしたらいいんだろうって模索します。仕事場や人前では見せない姿でも、彼や身近な人など甘えられる人の前では、こういうことまで言っちゃうのかなとか…。思うことも考えることも違う相手に対して、私のこと全部わかってよって、どういう気持ちなんだろうと、彼女に近づいてみたり。演じる以上、一つひとつわかっていないと役に落とせないので、そこをクリアにして、ひどいことを言っていても可愛く見えたり、どこか愛されるような女性像になれたらいいなと思います」
自分とかけ離れた役づくりのほうがしやすいという俳優さんもいるが、栗山さんは自分と近い役のほうがスムーズに感情が流れるので、入りやすいタイプなのだそう。ということは、私たちの印象にある強い女性の役は、ほとんどがふだんの栗山さんとはかけ離れたキャラクターということになるのだろうか。
「そう、自分が被害者だったとか、実はこうだったとか何か秘密や事情を抱えた女性の役で重いお話の作品が多い気がします。たまにゆるいお話の作品をやるとすごく新鮮に感じるんです! どんな作品でも現場では毎日緊張しているので、緊張しない現場はないと思いますが、自分に近い役もどんどんやっていきたいですね」
今後さまざまな役や作品でいろいろな女性を演じる栗山さんからますます目が離せなくなりそうだ。映像作品では非現実的なイメージの役が多いなか、今回の舞台はまるで日常生活のワンシーンを見ているような作品となる。
「一家族を盗み見している感覚で観ていただけるのかなと思います。ふだんはカップル同士、家族同士の言い合いやもめごとを目の当たりにすることってあまりないと思うんですけれど、今作ではみんなきついことを口に出してぶつかり合います。いつしか愛情があるからこそ、そこまで言えるんだなとか、想い合っているからこそなんだなというのが見えてくる。そして、最後にはきっと感動していただけると思います」
バリのホテルの中というシーンでのドタバタ劇は、観た後は愛する人への想い、そして何か深いものを感じることができそうだ。
衣装/トップス 16,000円 スカート 32,000円
キワンダキワンダ ☎03-6427-44019
脚本/岡田惠和 演出/深川栄洋
出演/栗山千明、溝端淳平、浅田美代子、中村雅俊
公演/9月15日(金)~29(金)
劇場/シアタークリエ(千代田区有楽町1-2-1)
TEXT / Ikumi Aihara
PHOTO / Hirohiko Eguchi(Linx)
STYLING / ume
HAIR MAKE / HIROTAKA IIZUKA
この記事のライター
Poco'ce
19074
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