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【ポコチェ】Cover interview 中谷美紀

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江戸川乱歩の傑作を三島由紀夫が戯曲化した『黒蜥蜴』。作品発表以降、何度も舞台化されてきたこの名作に自身4作目の舞台となる中谷美紀さんが挑む。「美」に執着する女盗賊“黒蜥蜴”をどのように演じるのか、意気込みは。まだ共演者との顔合わせ、制作発表も行われる前のとある日、中谷さんに今の心境を伺った。

 


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Profile

1976年1月12日生まれ。1993年に女優デビュー。確かな演技力と凛とした佇まいで幅広く活躍中。2006年『嫌われ松子の一生』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、2013年『利休にたずねよ』で同賞優秀助演女優賞など多数の受賞歴を持つ。近年では舞台でも活躍し2016年には自身が挑んだ初舞台『猟銃』が5年ぶりに再演された。

美しいもののためには冷淡になれるという黒蜥蜴の心が実は好き。極悪人に見えて実は純粋というギャップをうまく表現したい。

江戸川乱歩の中編探偵小説で1961年に三島由紀夫が戯曲化した『黒蜥蜴』。これまで幾度も様々な座組で上演され、三島戯曲の最高傑作とも言われるこの作品を英国人演出家、デヴィット・ルヴォーが演出する。“黒蜥蜴”は目を見張るような絶世の美女であり、緊張感が漂いながらもミステリアスで、周囲を惹きつける女性。その役に抜擢されたのが中谷美紀さんだ。この役のオファーがきた時、すぐには答えられず逡巡したという中谷さんに、その時の気持ちを伺うと。

「『黒蜥蜴』は三島由紀夫さんの書かれた美しい言葉とともに江戸川乱歩のスリリングな探偵物語が語られる、物語としては極上のエンターテインメント。見るのは最高に痛快で面白いのですが、それを演じるのは大変だなという思いがあって、すぐにお引き受けするとは言えませんでした」

たしかに、舞台で語られるセリフはとても詩的で特徴的。その上長セリフのシーンも多い。それでもYESと応えたのは、デヴィット・ルヴォー氏の存在が大きいと言う。

「ルヴォーさんは誰もが一度はお仕事をしてみたいと思う演出家ですし、初めてお目にかかったとき、とても安心感を与えて下さいました。この方なら丁寧に緻密に心情に気を配りながら演出してくださるのだろうなと。今回は大きな劇場ですので動きですとか、しかけ等も大切になってくると思うのですが、そういった演出上のスペクタクルな部分もルヴォーさんなりの新たな世界を描きつつ、その一方で三島由紀夫さんが伝えたかった言葉を深く掘り下げて考えて下さるのではないかと思っています。ルヴォーさんは言葉の魔術師なんです。彼の放つ言葉のひとつひとつに不思議と彼の世界へと引き込まれてしまう。そういう意味では舞台が終わるまで私をだましていて欲しいですね(笑)」

今回の会場となるのは日生劇場。収容人数は1300人を超え、中谷さん自身初となる大きな舞台となる。

「未経験の大きさなので、見え方が心配ですね。この作品は黒蜥蜴の立ち姿や歩き方など立ち振る舞いが大切な作品だと思うので、今はオペラを見るようにしています。あえて一番安いチケットを買って、三階席の遠くの席から見たときにどう見えるのか、どう声が響くのかをディーバの姿から研究しているところです。あとは大先輩の草笛光子さんから『この役は存在感が大事だからヤセちゃだめよ、食べるのよ』とアドバイスも頂きました。私は若干顔が小さ目なので貧相にみえるのではないかと心配しています」

お話を伺う中で何度も「あぁ、心配なことばかり。やっぱりやめたいです」と笑う中谷さん。中谷さんにとって舞台はテレビや映画とは違う緊張感があるという。

「映画とかテレビの方がスッと本番に入っていけるのですが、舞台は“20分前です”“30分前です”とカウントされて、本番までのストロークがだんだん狭まっていく感じが嫌。覚悟しろよって言われている感じで(笑)。出る直前まで震えていますし、出てからもときどき震えています。でも今回演じる黒蜥蜴扮する緑川夫人は震えてはいけない役なので…。がんばります(笑)」

そんな中谷さんにとって、今の楽しみを伺うと。

「これから始まるお稽古の時間ですね。1冊の台本を巡ってああでもないこうでもないと1ヶ月もかけて、ディスカッションしながらみんなでゴールに向って励むことができるというのは、とても豊かで贅沢な時間だと思います。黒蜥蜴も明智もともに犯罪に恋をした人々なので、その二人の世界感をどう描くのか。またその2人を取り巻く世界もどうえがくのか楽しみですね。黒蜥蜴の極悪人かと思いきや意外と純粋な人だったというギャップを旨く表現できたらいいなと思っています。またミステリアスでゴージャス、そしてグロテスクでもエロティックでもある世界感をどう表現するか、衣装や舞台セットも楽しみにしていただけたらと思います」

インタビューから数日後に行われた制作発表の場で、中谷さんが身を包んだのはレザーで作られたタイトなマーメイドドレス。美しいだけではなく、退廃的に穴があけられたデザインに凛とした強さと妖婉さが漂っていた。その新たな黒蜥蜴の姿に、この舞台がこれまでの『黒蜥蜴』とは違う様相をまとうことを予感させ、新たな黒蜥蜴の世界を期待せずにはいられない。

『黒蜥蜴』

原作/江戸川乱歩 脚本/三島由紀夫
演出/デヴィット・ルヴォー
出演/中谷美紀、井上芳雄、相楽樹、
朝海ひかる、たかお鷹、成河 他
東京公演/2018年1月9日(火)~ 28日(日)
会場/日生劇場(千代田区有楽町1ー1ー1)
問い合わせ/梅田芸術劇場 ☎0570-077-039



この記事のライター

Poco'ce

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