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美しい景色と音楽とともに、もがきながらも踏み出そうとする、家族の姿を見てもらえたら。
1970年3月24日生まれ。1993年に「ネプチューン」を結成。お笑い芸人として活動する他、MC、役者とマルチに活躍中。出演作はNHK大河ドラマ「龍馬伝」、NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」、映画「神様のカルテ」シリーズや「ボクの妻と結婚して下さい。」「アウトレイジ 最終章」他多数。
一度壊れてしまった家族がそれぞれの岐路にたち、もがき悩みながらも再出発に向う様子を描いたヒューマンドラマ『ミッドナイト・バス』。原田泰造さん演じる高宮利一は東京、新潟間を結ぶ深夜バスの運転手。
10年つき合った彼女と再婚を考えた矢先、16年前に別れた妻が利一のバスに乗ってくる。関越トンネルを挟んで行き来する『父親』としての自分と『男』としての自分に葛藤する主人公を見事に演じきった。
「利一は父親としても恋人としても優しい男です。でもどこか不器用で生きるのが下手なところがあるんですよね。役作りはひたすら台本を読んで利一を頭で理解しながら、現場で実際に演じながら作り上げていった感じです。自分ならどうするだろうって擦り合わせながらですね。利一は元嫁にも今の彼女にも優しくする男ですから、そんなところにイライラする女性もいると思うのですが、利一の気持ちもわかるんですよね。偶然再会した元嫁が弱ってるのに、放っておけないじゃないですか。
でも2人が鉢合わせするシーンがあって、慌てて帰る彼女を利一は追いかけることができないんです。そのシーンは演じていてイヤでしたね。なんで追いかけないんだよ!って、ツラくなってしまいました」
利一には東京から舞い戻った息子と、アニメグッズのウェブショップを立ち上げ、実現しそうな夢と結婚の間で揺れている娘がいる。原田さん自身も2人のお子さんの父親だ。
「うちも息子と娘がひとりずつで、偶然にも利一の子供たちと同じ歳なんです。親子の距離感も実際と似てるから父親役は演じやすかったかもしれません。息子とは男同士だからラクなんですが、娘とはなんか照れちゃってうまく話せなかったりするんです。なので、もし娘から頼まれごとをされたら、利一と同じで嬉しくなって手伝っちゃうと思ういます。
それがアニメグッズの発送だとしてもね(笑)。この映画はたんたんと進んでいく映画だから、娘の明るいキャラクターや娘とのシーンに救われた部分が大きかったです。そこも注目してもらえたら嬉しいですね」
メガホンを取ったのは竹下昌男監督。原田さんとは『ジャンプ』以来、12年ぶりにタッグを組んだ。
「監督からオファーを頂いたときは嬉しかったです。12年前もそうでしたが、監督は細かいセリフの言い回しまでこだわる方。利一は決して口数が多い男じゃないから、今回も監督がセリフに込めた思いがちゃんと伝わるように何回も練習しました。役者をやっていて楽しいなって思うのはそういうところかもしれません。一生懸命台本を読んで練習したことが、現場でできる達成感。それが嬉しいんですよね」
長距離バスの運転手を演じるにあたり、実際に大型免許を取得。代役なしで関越道を走ったことにも注目が集まっている。
「竹下監督がね、直接は言わないものの『免許とって欲しいな』って匂わすんですよ。今でも覚えていますが、テレビ局にいる時に電話がかかって来て、これは免許を取らなきゃならないなって決心しましたね。関越道での撮影はカメラも回ってるし、そこまで怖くなかったんですが、練習で新潟市内を走るのが怖かったですね。スタッフを乗せて走ったんですが、信号もあるし人も大勢いましたので。ただ大型免許なんてこんな機会がなければ取ることがないから、貴重な経験をさせてもらいました」
最後に映画の見どころを伺うと。
「出てくる人みんながみんな、不器用で優しいんです。そういうダメな部分とか人間臭さを全部さらけだしながら1歩を踏み出すところですかね。あとは、本当に絵が美しいし、音楽も素敵。全体的にフランス映画のような雰囲気の映画になっています。新潟だからこそ撮れた美しい景色にも注目してほしいですね」
©2017「ミッドナイト・バス」ストラーダフィルムズ /新潟日報社
監督/竹下昌男
原作/伊吹有喜『ミッドナイト・バス』(文春文庫刊)
出演/原田泰三、山本未來、小西真奈美、長塚京三 他
公開/1月27日(土)有楽町スバル座他
TEXT / Satoko Nemoto PHOTO / Isamu Ebisawa STYLIST / Mariko Azuma HAIR MAKE / Shogo Ito (sitor)
この記事のライター
Poco'ce
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