
/
お薬って、種類によって飲む時間や回数がまちまち。飲む時間が「食前」「食後」「頓服」等、正確にはどういう意味?って思ったことありませんか。飲む回数も1日3回のお薬があると思ったら、1回のも…。製薬会社や小売業、医療機関等で10年以上薬剤師をしてこられた、遠藤さちこさんが今回教えてくださいます。
みなさん、こんにちは。遠藤さちこです。
簡単に自己紹介をしますと、私は、製薬会社や小売業、医療機関で薬剤師として10年以上仕事をしてきました。お薬を作るところからみなさんの手に渡るところまでを経験していますので、意外と知らないお薬のことを楽しみながら知っていただけたらと思っています。
みなさんがとっつきにくい医療分野やお薬のことを、明日から実践できるようにできるだけ簡単にわかりやすくお伝えし、少しでも安心して暮らしが送れるお手伝いができたらいいなぁと思います。
お薬が必要になる時は、一般的には体調がすぐれない時でしょうから、今のうちに、基本的な知識として知っていただくと、いざという時に慌てないで済みますよね。
さて、今回の本題にいきましょう。今回はお薬を飲む時間や回数についてお伝えします。
お薬には、目的とした効果が体の中でもっとも発揮されるように、また、副作用が起きにくいように1回の飲む量や時間、回数が設定されています
例えば、飲む時間の指示に、「食前」「食後」「頓服(とんぷく)」等がありますよね。これって、一体どういうことなのでしょうか。
また飲む回数の指示も、1日3回のお薬があると思ったら、1日1回しか飲まないお薬もありますよね。飲み忘れた場合にはどうしたらいいのでしょうか?
お薬を飲む時間は、以下のような言葉を用いて、指示を出しています。
食前:食事が始まる30分くらい前(空腹時)
食後:食後30分くらいまで
食間:食後2~3時間(空腹時)
寝る前:寝る30分くらい前
頓服(とんぷく):必要に応じて
※1日の最大服用回数指示があることもあり
風邪薬や痛み止めの薬などは、“食後に服用”と指示があることが多いと思います。「食後」は胃の中に食べ物がある状態で服用、という意味です。ということは、ランチが終わった後にみんなの前で急いで飲まなくても、席に戻ってからでも十分間に合うということがわかりますよね。
では、ここで問題です。「1日3回、毎食後に服用」というお薬を朝食の後に飲み忘れてしまったら、どうすればいいでしょうか?
「朝の分を飲み忘れたから、昼に2回分飲んだ方がいいよね」なんて方はいませんでしょうか!?お薬の飲み方などを詳しく教わったことがある人は多くはないでしょうから、仕方がないのですが、やはり間違っているといわざるを得ません。
しかも、間違えるとどういうことが起きるのかというと、体の中に入った有効成分が多くなることで、副作用が出てしまう可能性が高まります。
逆に少なければ、効かないということになります。副作用には成分によっていろいろありますが、風邪薬であっても下痢や便秘、のどの渇きなど軽いものから、手の震えや心臓のドキドキ、発疹(体に出る赤いブツブツ)等、ちょっと怖くなるような副作用までありますので、注意が必要です。
1日にお薬を飲む回数ですが、一般的には、その決められた回数を飲むことで、1日の効果が期待できる回数を設定しています。ですので、1日3回の薬は、概ね4時間から7時間程度の効果が期待でき、それを3回飲むことで1日の効果が期待できるのです。
よって、先ほどの「朝の分を飲み忘れたから、昼に2回分飲んだ方がいいよね」というのは間違いだとわかりますよね。もし朝の薬を飲み忘れた場合は、それほど時間が経っていなければ気づいた時に飲んで、その4時間以上空けた後に昼の分を服用する、というのが飲み忘れの原則的な対処になります。
ただし、体に必要な成分を補給するようなお薬など、思い出した時に2回分を飲むことが必要なお薬もあります。また、例えば朝ご飯を食べないけれど1日3回食後の薬を飲まなければならない人、お昼は外食が多くてなかなかお薬を飲みにくい人など、上記のような時間をずらす飲み方でいいのか、お薬を説明してもらった(購入した)薬局の薬剤師や登録販売者に確認してみましょう。
この記事のライター
薬剤師、MOT(技術経営修士)
遠藤さちこ
4963
薬剤師、MOT(技術経営修士)薬局、製薬会社、流通会社等で医薬品やヘルスケアサービスに携わる。コンビニエンスストアと薬局の併設店舗の企画業務等も経験。さまざまな立場で医療や健康を見つめ、幅広い情報収集活動と情報発信を行っている。
ライフスタイルの人気ランキング
新着
カテゴリ
公式アカウント